昨年ネット上に現れて世界中のマニアを驚かせたヤードバーズの未発表テレビ・ライブ映像を収録。ジミー・ペイジ時代のヤードバーズ純生ライブ映像といえばドイツの「BEAT BEAT BEAT」とフランスの「BATON ROUGE」が存在しますが、今回の映像はその間の時期に属する貴重な発掘。前者の出演直後、フランスのフェスティバルに出演した時の模様をテレビ局が撮影していたのですが放送されることなくお蔵入りし、2016年になってコア・トレーダーの間で取引されていたものが昨年になってネットに広まったというもの。60年代のお蔵入りしていたライブ映像が発掘されたというだけでも大トピックですが、さすがに放送されなかっただけのことはある内容でもあります。ヤードバーズはオープニングの「Shapes Of Things」から間髪入れず「Train Kept A-Rollin'」を始めたものの、キース・レルフのボーカル以外の音が出なくなってしまい中断。彼は英語が通じないオーディエンスの前で困るものの、結局フランスの司会者が事情を説明して撮影まで中断。そのせいで「Train Kept A-Rollin'」から仕切り以降もサウンド・バランスはイマイチ(ペイジのギターがオフ気味)で自分たちの演奏を聞くのもままらない状況なのでしょう。全体の演奏も普段のヤードバーズに輪をかけて荒くなっていますが、それでも腐らず元気にパフォーマンスするレルフの姿には釘付けにさせられます。野外の明るい時間にステージを駆け回るレルフの姿も先に挙げたペイジ時代のテレビ映像二種では見られない光景ですので、これがまた貴重かと。それ以上に注目すべきは、ペイジのヤードバーズ時代ならではのレパートリーだった「My Baby」とボブ・ディランのカバー「Most Likely You Go Your Way (And I'll Go Mine)」を鮮明なビデオ・カメラ映像で見られるということでしょう。おまけにこれら二曲ではペイジがVOXの「Phantom XII」12弦エレキを弾く姿が見られるのだから、世界中のマニアが色めきだったものです。今まで写真でしか見られなかったペイジがVOXの12弦を操る姿は必見ですが、今度は「My Baby」を演奏中に彼のスカーフが風で弦に当たってしまうというハプニングが発生。今まで眠っていたとは思えないほどビデオの状態もよく、なおかつ「Most Likely~」の演奏シーンを始めとして物凄くレアな発掘映像だったんですが、結局最後までハプニング続きだったからこそ放送されずにお蔵入りしたんでしょうね。それだけにこの日は「Happenings Ten Years Time Ago」をやっていないのが惜しまれます(笑)。
Fete du Muguet, Chaville, France 30th April 1967 PRO-SHOT (18:23)
1. Shapes Of Things 2. Train Kept A-Rollin' 3. Mister Your A Better Man Than I 4. Heart Full Of Soul 5. My Baby 6. You Go Your Way, I'll Go Mine
Keith Relf - vocals, harmonica, tambourine Jimmy Page - guitar Chris Dreja - bass Jim McCarty - drums
B&W PRO-SHOT NTSC Approx.18min.