まさに、70年代ロックの“見えるジュークボックス”。クラシック・ロックの粋が詰まった極上プロショットがリリース決定です。そのジュークボックスの正体とは、西ドイツの音楽番組“BEAT-CLUB”。英国BBCと並ぶ、あの名物番組です。“BEAT-CLUB”は独自のスタジオ・ライヴが特徴の音楽番組。1965年に開始され、1972年12月までロック映像の数々を大量に放送。その後も“MUSIKLADEN”、“EXTRATOUR”と名前を変えながらベルリンの壁が崩壊する1989年までロック黄金時代を記録し続けました。本作は、そんな名物番組から選りすぐった公式コンピレーション『THE HISTORY OF BEAT CLUB VOL.2』です。“BEAT-CLUB”アーカイヴはロック界の至宝だけに、現在に至るまで数々のコンピレーションが発売されてきました。その中でも本作は1991年にシリーズでリリースされたレーザーディスク版。それを精緻にデジタル化したもの。25組のバンド/アーティストから1曲ずつベスト選曲で収録されています。曲順はランダムでもありますので、ここで放送日ごとにざっと整理してみましょう。
●1969年出演(1組):Three Dog Night ●1970年出演(9組):Renaissance、Jethro Tull、Badfinger、The Flock、Black Sabbath、Free、Ginger Baker's Air Force、Colosseum、EL&P ●1971年出演(5組):Curved Air、Yes、The Byrds、Deep Purple、Fleetwood Mac
●1972年出演(4組):Jeff Beck Group、Stephen Stills & Manassa、King Crimson、Alice Cooper ●1973年出演(4組):T. Rex、Thin Lizzy、Roxy Music、New York Dolls ●1974年出演(1組):The Doobie Brothers ●1975年出演(1組):10cc
……と、このようになっています。THREE DOG NIGHTはギリギリ60年代ですが、他は1970年-1973年を中心にしたラインナップで、各バンドとも期待の新人時代であったり、代表作をリリースしたばかりの黄金期だったりと、美味しい旬の時期ばかり。ジェーン・レルフ時代のRENAISSANCE、『FIRE AND WATER』で火が付いたFREE、デビュー直後のEL&P、コージー・パウエルを擁する第2期JBG、ジェイミー・ミューア時代のKING CRIMSON、『SCHOOL'S OUT』が世界を席巻していたアリス・クーパー、トリオ時代のTHIN LIZZY等々など。枚挙に暇がありません。しかも、すべて番組オリジナルの貴重な生演奏というのが素晴らしい。80年代に入ると家庭用ビデオデッキの普及やMTVのブレイクでロック映像が大量生産されますが、70年代は撮影しても使い道が限られている。それだけに1つひとつの映像が非常に貴重であり、特に口パクではない生演奏は極めて重要なのです。映し出される映像には70年代感が滲みますが、本作そのものから立ち上るのは90年代の薫りでもある。80年代に「家でロックを見る」が一般化したことでライヴ、PV集、ドキュメンタリー等々、映像作品が一気に花開く。そうしたバンド個別の商品が一段落した80年代末期から製作されるようになったのが映像コンピレーションだったわけです。当時の映像作品はあっと言う間に廃盤になるもので、マニアは1曲2曲の貴重映像を求めては急いでレーザーディスクを買い漁っていました。そして、重要なのは目的以外の映像にも驚いていた事。期待もしていなかった映像がことごとく素晴らしく、どんどん興味が掻き立てられていった。その次に何が出てくるか分からない雑多感、オモチャ箱をひっくり返すようなワクワク感。現在のピンポイントな検索文化とはまったく違う、90年代初頭の薫りがたっぷりと詰まっているのです。収録曲に関しては、下記の曲目をご参照ください。正直なところ、現在では個別にアーカイヴの進んだバンドも多く、個々のコレクションを埋めていくにはあまり意味がないかも知れません。しかし、次々とロックのお宝が湧き出してくる面白さはコンピレーションならでは。動く姿自体が貴重な70年代の薫り、コンピ花盛りだった90年代初頭の薫り。その両方を極上クオリティで2時間味わえる1枚。
Taken from the original Japanese laser disc PRO-SHOT (118:59)
1. Intro 2. Black Sabbath (Black Sabbath) 3. All Right Now (Free) 4. Take Me Back To Doomsday (Colosseum) 5. Island (Renaissance) 6. 12 Gates Of The City (Ginger Baker's Air Force) 7. Introduction (The Flock) 8. Come And Get It (Badfinger)
9. Take A Pebble (Emerson, Lake & Palmer) 10. Eight Miles High (The Byrds) 11. The Witch's Promise (Jethro Tull) 12. No No No (Deep Purple) 13. Yours Is No Disgrace (Yes) 14. Dragonfly (Fleetwood) 15. Vivaldi (Curved Air) 16. Rock & Roll Crazies (Stephen Stills & Manassa)
17. Larks' Tongues in Aspic Part 2 (King Crimson) 18. I'm Eighteen (Alice Cooper) 19. Definitely Maybe (Jeff Beck Group) 20. Try A Little Tenderness (Three Dog Night) 21. 20th Century Boy (T. Rex) 22. Do The Strand (Roxy Music) 23. Whiskey In The Jar(Thin Lizzy)
24. Looking For A Kiss(New York Dolls) 25. China Grove (The Doobie Brothers) 26. I'm Not in Love (10cc)
PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.119min.