英国ブルース・ロックの粋であった古き良きWHITESNAKE。その伝統を引き継いだM3の廃盤オフィシャル映像がリリース決定です。ブルース・ロック時代のWHITESNAKE、いわゆる“クラシック・スネイク”の要であったバーニー・マースデン、ミッキー・ムーディ、ニール・マーレイ。この3人がかつての白蛇を復刻するプロジェクトを行っていたのは、90年代末から2000年代初頭にかけてのこと。THE SNAKES、COMPANY OF SNAKESとシンガーと名称を変えながらも一貫してクラシック・スネイクの名曲群を演奏していました。マースデン・ムースディ・マーレイの頭文字を取ったM3は、その最後のプロジェクト。まずは、そんな彼らの公式作品と名シンガー達の変遷を振り返ってみましょう。
【THE SNAKES (1998-1999)】●スタジオ作『ONCE BITTEN(1998年)』●ライヴ盤『LIVE IN EUROPE(1998年)』Vo:ヨルン・ランデ【THE COMPANY OF SNAKES (1999-2002)】●ライヴDVD『LIVE AT ABBEY ROAD(2000年)』Vo:ロバート・ハート
●ライヴ盤『HERE THEY GO AGAIN(2001年)』●スタジオ作『BURST THE BUBBLE(2002年)』Vo:ステファン・ベルグレン(注:この他、ゲイリー・バーデンも在籍)【M3 (2003-2006)】●ライヴ盤『CLASSIC SNAKE LIVE(2003年)』Vo:トニー・マーティン
●ライヴDVD『ROUGH AN' READY(2004年)』←※本作 Vo:ステファン・ベルグレン&ドゥギー・ホワイト M3と言えば、元BLACK SABBATHのトニー・マーティンが歌うライヴアルバム『CLASSIC SNAKE LIVE』も有名ですが、本作はその翌年に登場した映像編。SNAKES IN PARADISEの名シンガー:ステファン・ベルグレンと元RAINBOWのドゥギー・ホワイトがマイクを分け合うマルチカメラ・プロショットです。この映像作品はクラシック・スネイクをこよなく愛するファンの間で話題となりましたが、あっと言う間に廃盤。現在では入手困難となっています。しかし、その境遇の原因はネームバリューでしかない。(当然のことながら)完全オフィシャル級の映像美もサウンドも最高ですし、何よりも本家本元の3人が奏でるジューシーな白蛇の名曲群は本物感たっぷり。それこそ、デヴィッド・カヴァデール率いる再始動WHITESNAKEよりもダイレクトに“あの時代”を甦らせてくれるのです。また、本作は個性のまったく違うシンガー達の歌声もポイント。ここで3人の歌い分けを整理してみましょう。
●ステファン・ベルグレン(5曲)・Walking In The Shadow Of The Blues、Don't Break My Heart Again、Slow An' Easy、Ready An' Willing、Fool For Your Loving ●ドゥギー・ホワイト(4曲)・Lonely Days, Lonely Nights、Hit An' Run、Trouble、Crying In The Rain
●バーニー・マースデン(1曲)・Ain't Gonna Cry No More ●ステファン&ドゥギーのデュエット(2曲)・Ain't No Love In The Heart Of The City、Here I Go Again ……と、このようになっています。3人のシンガーがマイクを分け合うステージはMICHAEL SCHENKER FESTの白蛇版といった趣ですが、特に一番多く歌うステファンがバカ巧。歴代シンガーの中でも最も知名度が低いのですが、そのウェットでディープな歌声はクラシック・スネイクにジャスト・フィット。ヨルン・ランデほどカヴァデールそっくりではありませんが、それだけに物まね感がなく「どれだけ似ているか」に気を取られることなく、曲の良さ、声の良さをじっくりと味わえる。さらにステファンのステージングも渋い。若い時分のカヴァデールのような大暴れはしませんが、上下デニムで身を固め、マイクを握り込んで滋味深い美声を絞り出す姿はポール・ロジャースを彷彿とさせる。当時のWHITESNAKEよりもさらにブルージーでさえあるのです。そんないぶし銀のステファンに対し、ロック感丸出しなのがドゥギー。当時の彼はイングヴェイ・バンドに在籍していましたが、本作にもゲスト参加しています。そんなドゥギーは歌声もステージングも猛烈に熱い。ブルースを感じさせない声質だけに深みというよりはパワー。「ブルース・ディッキンソン風」と言われたアクションも健在で、クラシック・スネイクの名曲群を熱唱する。ドゥギーは数々の名ギタリストと共演してきたわけですが、彼は本作をもってRAINBOW/WHITESNAKE両方のオリジネイターをバックに名曲を歌った唯一のシンガーとなったのです。“カヴァデールの本家以上に本物らしい”とさえ言われたM3。そのオフィシャル・プロショットです。残念ながら復刻プロジェクトも休止して久しく、現在はこれほどストレートに“あの白蛇”を楽しむ事はできません。THE SNAKESでもM3でもいいから、また復活させてほしい。このステージを日本でも見せてくれたら……。そんな想いも沸き立つ素晴らしきクラシック・スネイクの世界。
Live at Mechanics, Burnley, UK June 2004 PRO-SHOT (101:37)
1. Intro 2. Walking In The Shadow Of The Blues 3. Don't Break My Heart Again 4. Lonely Days, Lonely Nights 5. Hit An' Run 6. Trouble 7. Micky Moody's Slide Solo 8. Slow An' Easy 9. Ready An' Willing 10. Bernie Marsden On Twelve String Solo
11. Ain't Gonna Cry No More 12. Crying In The Rain 13. Fool For Your Loving 14. Ain't No Love In The Heart Of The City 15. Here I Go Again
Bernie Marsden - Guitar, Vocal Micky Moody - Guitar, Vocal Neil Murray - Bass Jimmy Copley - Drums Mark Stanway - Keyboards Stefan Berggren - Vocal Doogie White - Vocal
PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.102min.