1960年代の音楽を愛する人にとって衝撃の発掘映像の登場です。サイモン&ガーファンクルが1967年の短期イギリス・ツアーの際に出演したテレビ・ライブが最高の画質&音質を誇るDVDにてリリース!この期に及んでS&Gの未発表ライブ映像が発掘されれるだなんて本当に驚きです。その内容は貴重極まりないのですが、まず1967年短期イギリス・ツアーは以下の日程で行われました。・3月18日 ロイヤル・アルバート・ホール・3月19日 バーミンガム・シアター・3月20日 マンチェスター、フリー・トレード・ホール
ご覧のように三夜連続、おまけに前後は本国アメリカでのツアー・スケジュールでぎっしりという、いかにも人気爆発後らしい過密スケジュールで行われています。このイギリス三公演に関してチケットはもとより黄色い表紙のツアーパンフまで作られたほどの人気急上昇ぶりであるというだけでなく、こうしたグッズの存在が実際に三夜連続の公演が行われた根拠となっています。こうした中で67年イギリス・ツアーからの録音とされる音源は二種類出回っていました。それらはアルバート・ホールとマンチェスターとの触れ込みです。どちらも元はサウンドボード録音とおぼしき音質でしたが、当時の放送をエアチェックしたことが明白ながらも強烈なヒスノイズにさらされた音質、これが劣悪なレベルだったのです。これらの音源はそれぞれ近年になってCD-Rアイテムに収録されたことで聞かれた記憶のあるマニアも多いと思われますが、結局は「貴重だが音の悪い音源」という印象しか持たれなかったことでしょう。ところがどっこい、これらの音源はどちらも同じライブを収録していたということが最近になって判明しました。特に収録時間の長いアルバート・ホールを聞いて、同会場とは思えないようなアットホームな雰囲気を不思議に感じたマニアもいたのでは。実のところ、どちらの音源もイギリス・ツアーのついでに出演したマンチェスターのグラナダTVでのスタジオライブだったのです。長いこと出演の存在すら忘れ去られていたテレビ映像が2015年になって突如再放送されたことで、過去の劣悪な音質なイギリス・ツアー音源がそれをエアチェックしたものだったというお粗末さが暴露されてしまった。これまで再放送されなかったということは、1990年代や2000年代にかけて本放送からのオンラインで収録したCDやビデオ、さらにDVDなどが一切存在しなかったことで証明できます。この映像の存在がほのめかされたのはバングルスが「A Hazy Shade of Winter」をリバイバルヒットさせたことにあやかって作られたS&G版ミュージックビデオの中に盛り込まれた時でしょう。それまで同曲を60年代のS&Gが演奏する映像が存在するとは知られていなかったので、マニアはこの映像の出所を思い巡らせたものです。こうして4年前に放送された割に、今まで話題にならなかったのも不思議なのですが、さすがに近年の放送だけあって画質は鮮明の一言。1960年代のS&Gの一番まとまったライブ映像は1966年のオランダ、ハーレムTVが挙げられます。そこでは左右のカメラが切り替わる度に彼らがカメラ目線で歌うことを強要された演出に気恥ずかしさを感じさせましたが、こちらははるかに自然、なおかつデュオが極めてリラックスしてステージに上がっている。それどころか少人数のオーディエンスもタバコを吸いながら二人の演奏を観ている者までいたという。何と大らかな時代だったのでしょうか。そして何よりハーレムTV、さらには(そもそも出演時間が短かった)モンタレー・ポップ・フェスティバルよりはるかに長い収録時間というのが素晴らしい。マニアならご存知にように、この時期は1月のリンカーン・センターがオフィシャル「LIVE FROM NEW YORK CITY」、アンダーグラウンドではイギリス・ツアーの一週間前に行われたタフツ大学のサウンドボード録音といった音源に恵まれていますが、それらと同様のボリュームでありながら、なおかつライブ演奏を捉えた映像というのがあまりに鮮烈。この放送は画質だけでなく音質も完璧なバランスを誇るモノラル・サウンドボード録音であり、過去の「場所間違いエアチェック音源」とは次元が違いすぎ。それだけでもすべてのファンが楽しめるであろうライブ映像なのですが、内容があまりにも貴重。あどけなさが残る二人が和気あいあい歌う様が実に愛らしく、なるほどフォークロック界のアイドル的存在と目されたのも当然かと。二部構成で放送され、ほぼ一時間近くに及ぶステージは名曲てんこ盛り。「Homeward Bound」が普段より高いキーで演奏されたかと思えば、反対に「I Am A Rock」から面白い。さらに当時ポール・サイモンに憧れてアコギを手にしたすべてのギター少年が弾いたであろう「Anji」での舌を巻くようなプレイも見事なアングルで捉えてくれる(68年の「KRAFT MUSIC HALL」TVは弟のエドとの演奏でしたが、ここではポール一人)。遂に「A Hazy Shade of Winter」も60年代の二人がライブ演奏する姿が見られてしまう。しかし極め付きはライブ・ステージで演奏されることのありえない、テレビ・スタジオだからこそ特別に披露された「7 O’Clock News / Silent Night」!おまけに二人が歌うバックに流されるニュースがアルバムバージョンのアメリカ・ニュースではなく、グラナダTVの誰かがイギリスの最新ニュースを読み上げるという凝った演出。これ一曲の場面だけでもマニア歓喜間違いなしという超貴重映像です。ちなみに過去二種類のエアチェック音源は「A Hazy~」に「7 O’Clock~」という肝心の二曲が未収録という、何とも確信犯的な状態で出回っていたのでした。こうして今になって現れたまさかの1967年テレビ放送。先にも触れたように、今までこれほどのボリュームを誇る60年代S&Gのライブ映像というのは存在しませんでした。それがこれほどの画質と内容で楽しめる日が来るだなんて、本当に驚きだとしか言いようがありません。これはもうS&Gマニアに留まらず、すべての音楽ファンに全力で薦めたい60年代フォークロック最高のライブ映像です!
Live at Granada Studios, Manchester, UK March 1967 PRO-SHOT Broadcast Date: 2nd May 1967 (56:29)
Part One 1. Intro 2. He Was My Brother 3. Leaves That Are Green 4. A Most Peculiar Man 5. Homeward Bound 6. For Emily, Whenever I May Find Her 7. The Dangling Conversation 8. The 59th Street Bridge Song (Feelin' Groovy) 9. Richard Cory 10. 7 O’Clock News / Silent Night
Part Two 11. Intro 12. A Hazy Shade Of Winter 13. At The Zoo 14. Cloudy 15. Benedictus 16. Blessed 17. A Poem On The Underground Wall 18. I Am A Rock 19. Anji 20. The Sounds Of Silence
PRO-SHOT B&W NTSC Approx.56min.