昨年、37年ぶりの全米ツアーを行って話題となったJEFF LYNNE'S ELO。今年も実現した最新ツアーの極上映像が登場です。本作が撮影されたのは「2019年7月25日セントポール公演」。その絶景オーディエンス・ショットです。今回の全米ツアーは6月20日から8月1日まで全20公演が公表されており、2019年の予定はそれですべて。本作のセントポール公演は、その終盤17公演目にあたるコンサートでした。そんなショウを目撃できる本作は、まさに絶景を画に描いたような直写とほとんどプロショットなスクリーン・ショットが絶品。詳しいポジションまでは伝わっていないものの、映像から察するにステージ左側のスタンド席。やや斜めに見下ろしたアングルなのですが、どうやら現場の座席はかなり角度が急らしく、とにかく目の前に何もない。ただただ遮蔽なしにステージだけが視界を占領しているのです。スタンド席だけに距離もそれなりではあるのですが、それも欠点ではなく美点。今回のツアーはステージ後方にビルのような巨大スクリーンが5つ配されているのですが、思いっきり引くとそれも全部視界に入る。名曲群のイメージを掻き立てる映像演出の数々もしっかりと楽しめるのです。もちろん、ただの遠景ショットでもない。その距離を相殺するのが果敢にして美しいズーム。遠景から見どころに向かってグイグイと迫っていき、最アップではジェフ・リンの姿が画面いっぱいになる。しかも、それだけのズームにも関わらず、美しく見やすい。強烈なズームでも細部までクッキリと繊細であり、大所帯の1人ひとりを確認するように動いても、スクリーン映像に戻っても、その移動やズームがゆっくり滑らかでブレない。ズームにしても、安定感にしても最新デジタル機材の性能の賜とは思いますが、それを駆使した上で“見やすさ”を心がけている撮影者のセンスも感じられるのです。そして圧巻なのが、中盤からフィーチュアされ始めるスクリーン・ショット。ステージ後方のスクリーンはイメージ映像ですが、脇のスクリーンにはマルチカメラで撮影されたメンバーのドアップがたっぷり映し出されている。曲やシーンを選ぶように脇スクリーンも撮影しているのですが、これが凄い。角度的にほぼ正面なので歪みがなく、枠も綺麗に外してスクリーンを捉えており、それこそマルチカメラ・プロショットにしか見えない映像美になるのです。さらに言えば、サウンドも絶品。こちらも距離感ゼロとは言えないわけですが、真っ直ぐ手元まで芯が届く力強さ、ディテールまで繊細な透明感が絶品。曲間では眼下から盛大な喝采が湯気のように沸き立ってくるものの、演奏音の力強さには遠く及ばず、スペクタクルだけが美味しく感じ取れるのです。何もかもが素晴らしい映像ではあるものの、1つだけ欠点があった。それは4曲目の「Showdown」。どうやら撮影者はこの曲を自分だけのものにしたかったらしく、1曲だけカットして公開したのです。そこで、本作では似たアングルの別映像を挿入。可能な限り自然にフルショウを堪能できるように仕上げました。そんなクオリティで描かれるのは、ELOの栄光が凝縮したショウ。近年の彼らと言えば、『LIVE IN HYDE PARK』『WEMBLEY OR BUST』といった公式作もありますが、本作はさしずめ「生体験版WEMBLEY OR BUST」といった感じ。もちろん、会場規模はまるで違いますが、演奏される名曲群は(曲順こそ異なるものの)ほぼ同じ。『A NEW WORLD RECORD』『OUT OF THE BLUE』の2枚を軸としながらも、デビュー作『NO ANSWER』から『XANADU』までの黄金期の名曲群が一気呵成。そこに最新作『ALONE IN THE UNIVERSE』の「When I Was A Boy」やTRAVELING WILBURYSの「Handle With Care」を織り交ぜる。実際、オープニングの「Standin' In The Rain」以外はすべてシングル・ヒットという豪華ぶり。さらにポイントなのは「Handle With Care」。この曲ではツアーの前座を務めているダーニ・ハリスンが登場。父ジョージ縁の名曲でジェフとマイクを分け合うのです。昨年、奇跡と言われた全米ツアーが再び動き出した。そのフルショウを遮蔽物ゼロの絶景とプロショットにしか見えないスクリーン・ショットで現場体験できる大傑作映像です。まだ最終ピッツバーグ公演も終わっていないので断言はできませんが、恐らく“2019年のELO”を象徴していく事になるであろう極上の1枚。
Live at Xcel Energy Center, St. Paul, MN, USA 25th July 2019 AMAZING SHOT!!! (98:17)
1. Standin' in the Rain 2. Evil Woman 3. All Over the World 4. Showdown 5. Do Ya 6. When I Was a Boy 7. Livin' Thing 8. Handle With Care (with Dhani Harrison) 9. Rockaria! 10. Last Train to London 11. Eldorado Overture 12. Can't Get It Out of My Head
13. 10538 Overture 14. Shine a Little Love 15. Wild West Hero 16. Sweet Talkin' Woman 17. Telephone Line 18. Don't Bring Me Down 19. Turn to Stone 20. Mr. Blue Sky 21. Roll Over Beethoven COLOUR NTSC Approx.98min.