1974年の“DIAMOND DOGS TOUR”はマニアの間で高い人気を誇り、動画サイトDAILYMOTIONにはDIAMOND DOGS TVという名のアカウントがるほど。そこでマニアが同年のツアー映像を熱心にまとめてくれています。4年は一応プロショット映像の存在は確認されていて、オフィシャル「DAVID LIVE」の元になったタワー・シアターが白黒で、ラジオ・シティ・ミュージック・ホールがカラー映像にてそれぞれビデオカメラで撮影されています。ところがどちらも映像ソフトとしてのリリースよりは記録用レベルの画質であり、前者はオフィシャルがアプリなどで小出しに、後者はマニアが秘匿して一曲のみの流出に留まっています。さらに“DIAMOND DOGS TOUR”の定番映像であるBBC制作「CRACKED ACTOR」はドキュメンタリーゆえにライブ映像が抜粋のみといった具合で、人気とは裏腹に歯がゆい状況が続いています。そんなマニアの溜飲を少しでも下げてくれるのがこのDVD。例のDIAMOND DOGS TVアカウントが客席から撮影されたオーディエンスショットの8mm映像に音声を丁寧に合わせてくれたのです。もちろん8mm映像ですので演奏シーンは細切れ状態ですし、ケベック公演とトロント公演はピンボケも甚だしい。それでもなお、音声がシンクロしているおかげで十分に楽しめる映像集となっているのです。まず6月のトロントは「TORONTO 1974 AFTERNOON SHOW」の映像版ということになりますし、7月のニューヘイヴンは正に今回リリースされるCDの映像版。このニューヘイヴンに関しては最も優れた映像クオリティだったこともあり、一度「PHILADELPHIA 1974」のDVD「THE DICK CAVETT SHOW & LIVE TRACKS 1974」に取り込まれた実績がありますが、収録時間は今回の方が長いから見逃せません。一方11月のステージを捉えた各映像に関しては、どれもあいにくと同日の音源が発掘されていない日ばかりので、別の日の録音がアフレコされているのですが、中でも11月8日のバッファロー公演には今回CD-Rリリースが実現するマディソン公演の音声があてがわれているから面白い。これらの中では11月11日のワシントンの映像が素晴らしく、おまけに「Young Americans」に「Can You Hear Me?」といった当時の新曲を歌うボウイの雄姿を捉えてくれていて見ごたえは十分。「DAVID LIVE」のジャケット写真そのままのルックスで動くボウイが見られる6月から7月の映像、一転してシックな装いへと進化した11月の映像。こうして演奏やステージだけでなく、ルックスまでも変化を続けた1974年のビジュアルが堪能できるマニアックなDVDです。
DAVID BOWIE - RIPPED & REWRAPPED: THE 1974 TOURS OF AMERICA 8MM FILM COLLECTION
1. Montreal Forum, Montreal, Canada 14th June 1974 2. O'Keefe Auditorium, Toronto, Canada 16th June 1974 3. Veterans Memorial Coliseum, New Haven, USA 14th July 1974 4. Radio City Music Hall, New York, USA October - November 1974
5. Memorial Auditorium, Buffalo, New York, USA 8th November 1974 6. Capitol Centre, Washington, USA 11th November 1974
COLOUR NTSC Approx.29min.