イギリスで1960年代の大物アーティストが多数出演した「READY STEADY GO」は80年代のVHS時代に日本だけで簡単に見られる音楽番組でした。ビートルズに関しては同番組での出演を元に二種類の単体ソフトが発売されていましたし、多岐に渡る他のアーティストの映像もオムニバス形式で出されています。さらにストーンズの演奏シーンをまとめたものはソフトでのリリースこそ実現しませんでしたが、1989年に彼らの再始動に合わせる形でアメリカのディズニー・チャンネルで放映されていました(RSG他の映像も同様に放送)。つまり日本のマニアにとって「READY STEADY GO」(以下RSGと称します)はドイツの番組「BEAT CLUB」と並んで80年代にはVHSやLDで親しんだヴィンテージテレビ映像だったのです。RSG映像の権利はデイヴ・クラーク・ファイブのクラークが80年代に入って買い取り、それをバブル絶頂期だった日本の映像メーカーが許可を得てオフィシャルな形でVHSやLDでリリースしていました。しかし契約が終わり、1990年代以降になるとクラークと契約を結ぼうとする会社はなく、果てはDVDやブルーレイの時代を迎えるとVHSの頃が嘘のようにRSGが入手困難な状況へと豹変してしまいます。YouTube上で見られた同番組の映像もVHSコピーを元にしたものばかり。先の「BEAT CLUB」がDVDでも充実したアイテムがリリースされていた状況だったの比べ何とも対照的でした。ところがこの3月に入って、BBCで突如RSGを振り返る番組が放送されたからビックリ。それはこれからRSGの映像がこれから色々と発掘される布石のような内容だったのですが、一時間枠で放送された内容は大充実。映像自体はVHS時代にも見られたものが多かったのですが、さすがは2020年の放送だけのことはあり、その時(今や30年前!)とは比べ物にならないアッパー版な状態での放送となったのです。1963年から66年まで放送されたイギリスの音楽番組ですので、出演アーティストはズラリ大物ばかり。1時間でこれほどまで充実しているのも時代を反映しているとしか言いようがない。今回の放送でまず大きな反応を呼んだのは、最初に登場する1963年のビートルズ。ここで彼らが口パクした「Twist And Shout」はやはり80年代に日本だけでリリースされた彼らのRSG出演をまとめた「BEATLES SPECIAL」の冒頭に収録された演奏シーンだったのですが、そこでは曲の一番に該当する箇所がカットされていたのです。当時、この編集の原因は知る由もありませんでしたが、今回初めて演奏が完全に放送されてみて謎が解けました。演奏が始まると台に乗ったビートルズが口パクする中、何とギャラリーのガールズが台をスタジオの中央にまで押していたのです。いかにもアーリー・シックスティーズな演出だった訳ですが、これが80年代には「ダサく」映ってカットされてしまったのもやむを得ないところかと。しかし懐かしのVHS「BEATLES SPECIAL」を見慣れたベテラン・マニアであれば、遂にこの場面が完全に見られるようになったことを感慨深く感じられることでしょう。一方で2020年の放送ならではの画質のアッパー感は随所で冴え渡っていますが、中でもインパクトを放つのがザ・フー「Anyway, Anyhow, Anywhere」でしょう。この場面は彼らの映画「THE KIDS ARE ALRIGHT」に使われてマニアにはおなじみな映像だった訳ですが、そこで見られたバージョンはかなり画質が粗く、それはDVD化されてもあまり改善されなかった。ところが今回のバージョンは驚くほど鮮明で、マニアが長年親しんできたであろう例の映画でのバージョンと見比べると腰を抜かしてしまいそうなレベル。そして基本的に口パク収録だったRSGが1965年から「READY STEADY GOES LIVE!」と名前を変えてライブ収録へと進化。ところが64年の段階で既にビーチ・ボーイズがライブ演奏での放送を実現させていた事実には驚かされます。これがジェリー・リー・ルイスになるとアメリカに旋風を巻き起こしていたブリティシュ・インヴェイジョン群に対し、RSGに乗り込んで格の違いを見せつけるかのようなライブ演奏をこれまた64年の段階で披露しています(アメリカから招いた故の特別待遇だったのでしょうか)。さらにいくつかのアーティストは年代によって口パク、生演奏の両方が見られるのですが、ローリング・ストーンズに至っては「Paint It, Black」でカラオケにミックの生歌という収録パターンまで見られます。おまけに演奏の終盤でミックのマイクが接続不良を起こすハプニングまで。逆にストーンズが口パク収録を最大限に活かしたのが「I Got You Babe」。ここでは番組司会者のキャシー・マクゴワンがシェール役、ルックスも似ていたブライアン・ジョーンズがソニー・ボノの代わりを務めて口パク&芝居を披露するのですが、その後ストーンズ他のメンバーやマネージャーのアンドリュー・オールダムまで登場(マネージャーがステージに現れるというのが当時は非常に珍しい)して口パク芝居をエスカレートさせていました。とにかく60年代の名だたるアーティストがズラリと並んでいるということで見応え十分な訳ですが、ゼム在籍時のヴァン・モリソンの凛々しいルックスにも驚かされます。圧倒的に小太りな印象の彼ですが、ここでは「イケメン」とまで行かなくとも、かなりカッコいい。そうしたイギリス勢だけでなく、番組の中盤からアメリカのR&Bアーティストの素晴らしい場面が見られるのがまた魅力。中でもオーティス・レディングは歌も演奏もライブなので迫力満点。そこに当時のイギリスを代表した2大R&Bシンガー、エリック・バードンとクリス・ファーロウが加わった「Shake」の場面は圧巻ですが、それと同時にオーティスが出演した回のRSGも80年代には日本だけでVHSがリリースされていたことを懐かしく思い出されるマニアも少なくないのでは。あらゆる意味で懐かしさいっぱい、輝かしき1960年代前半のイギリスの名物番組の映像アッパー版が2020年になって突如出現。あっという間に見終えてしまう至福の一時間を!3月21日にBBC Fourで放送したばかりの「Ready Steady Go」の特集番組をDVD化!まずビートルズの初登場映像があり、この点だけでも価値があるため海外で話題になりました。この番組の映像自体VHSとLDでしかリリースされていなかったため、他の出演者の映像も大幅アップグレードとなっています。
Rebroadcast Version. Huge upgrade!!! (58:56)
1. Introduction 2. The Beatles - Twist And Shout 3. The Rolling Stones - Paint It, Black 4. Sonny & Cher, The Rolling Stones - I Got You Babe 5. The Animals - Baby Let Me Take You Home 6. Gerry & The Pacemakers - Ferry Cross The Mersey 7. The Beach Boys - I Get Around
8. Martha & The Vandellas - Dancing In The Street 9. Cilla Black - You're My World 10. Lulu - Shout 11. Them - Baby Please Don't Go 12. The Rolling Stones - Little Red Rooster 13. Stevie Wonder - Kiss Me Baby 14. The Temptations - My Girl 15. Otis Redding - My Girl
16. Marvin Gaye - How Sweet It Is (To Be Loved By You) 17. Jerry Lee Lewis & The Plebs - Hi Heel Sneakers 18. The Walker Brothers - The Sun Ain't Gonna Shine Anymore 19. Dusty Springfield - Everyday I Have To Cry 20. Dusty Springfield, Martha & The Vandellas - Wishin' And Hopin'
21. The Miracles - You've Really Got A Hold On Me 22. Georgie Fame & The Blue Flames - Yeh Yeh 23. The Who - Anyway Anyhow Anywhere 24. Sandie Shaw - Girl Don't Come 25. Otis Redding, Eric Burdon & Chris Farlowe - Shake 26. The Rolling Stones - (I Can't Get No) Satisfaction
PRO-SHOT B&W NTSC Approx.59min.