9年ぶりにして、ギルモア最新のソロツアー“RATTLE THAT LOCK TOUR”。その超極上マルチカメラ映像が登場です。そんな本作に収められているのは「2015年9月17日オランジュ公演」。フランスの世界遺産“ローマ劇場”で撮影されたオーディエンス・ショットです。このツアー模様は公式作品『LIVE AT POMPEII』も残されていますが、本作はその正反対と言っても良い。その辺の事情をご説明するためにも、まずは当時のスケジュールを振り返り、ショウのポジションを確かめておきましょう。2015年・9月5日-9月19日:欧州#1(6公演) ←★ココ★・9月23日-10月3日:ロンドン#1(5公演)
・12月11日-12月20日:南米(6公演)2016年・3月24日-4月12日:北米(11公演)・4月24日:TEENAGE CANCER TRUST出演・6月25日-7月28日:欧州#2(17公演)←※公式映像・9月23日-30日:ロンドン#2(5公演) これが“RATTLE THAT LOCK TOUR”の全体像。ツアーはヨーロッパから始まり、南米/北米を挟んでヨーロッパに還ってくるスタイルで、公式『LIVE AT POMPEII』はその終盤。それに対し、本作は極初期にあたる「欧州#1」5公演目のコンサートでした。そんなショウを記録した本作は、マニアが丹精込めて製作したであろう超美麗な映像作品。とにかく凄い完成度。使われているカットも膨大なら、1カット1カットのクオリティも極上。遠景アングルは巨大な円形スクリーンが丸ごと入るスペクタクルが圧倒的で、ズームはプロショットとしか思えないほどのドアップ。それもあらゆる角度・距離の映像が駆使されており、何台のカメラが再調されているのk見当も付きません。そして、そんな極上の光景を組み上げていく編集もハンパではない凝りよう。見どころで超ズームが採用されているのはもちろん、その1カット1カットがまったくブレない。ブレたシーンをことごとく削っているのか、トリミングで安定化させているのかは分かりませんが、ビシッと美しい光景がゆったりと動く様は気品さえ漂わせ、オーディエンスという事実を忘れさせる。さらに言えば、切り替えにもセンスと美学が注ぎ込まれ、音楽のタイミングとイメージにピタッとシンクロ。全景+ズームのように異なるアングルを透かしで重ね合わせる等の細かい演出技法も駆使され、本当にプロショットかのよう。さらにさらに一気貫通の音声もオンで超美麗であり、さらにプロショット感を高めているのです。そんな映像美で描かれるのは、FLOYDを受け継いだ“RATTLE THAT LOCK TOUR”のフルショウ。前述の通り、『LIVE AT POMPEII』とは時期が違うこともあってセットも異なる。ここでは公式品と比較しながらまとめてみましょう。
ソロ(9曲)・ON AN ISLAND:The Blue/On an Island・RATTLE THAT LOCK:5 A.M./Rattle That Lock/Faces of Stone/A Boat Lies Waiting/In Any Tongue/The Girl in the Yellow Dress(★)/Today FLOYDナンバー(12曲)・夜明けの口笛吹き:Astronomy Domine(★)
・原子心母:Fat Old Sun・狂気:Money/Us and Them(★)/Time/Breathe (Reprise)・炎:Wish You Were Here/Shine On You Crazy Diamond (Parts I-V)・ザ・ウォール:Run Like Hell/Comfortably Numb・鬱:Sorrow・対:High Hopes/Coming Back to Life
※注:「★」印は公式『LIVE AT POMPEII』では観られない曲。……と、このようになっています。当時からFLOYDナンバーの大盤振る舞いが話題となりましたが、本作ではシド・バレットに捧げられた「Astronomy Domine」や「Us and Them」も楽しめるのです。とにかく、マニアの情熱とセンスと意地が結晶となった映像傑作です。オーディエンス・ショットのマルチカメラ編集も一般的になって久しいものの、ここまで美学が溢れ出す傑作はそうはない。単に「マルチカメラ」というだけではクオリティを保証することにならなくなった時代にあって、本作は間違いなく「超」の付く傑作なのです。
Live at Roman Theatre of Orange, Orange, France 17th September 2015 AMAZING SHOT!!!
Disc 1(64:33) Set 1 1. 5 A.M. 2. Rattle That Lock 3. Faces of Stone 4. Wish You Were Here 5. A Boat Lies Waiting 6. The Blue 7. Money 8. Us and Them 9. In Any Tongue 10. High Hopes
Disc 2(90:05) Set 2 1. Astronomy Domine 2. Shine On You Crazy Diamond (Parts I-V) 3. Fat Old Sun 4. Coming Back to Life 5. On an Island 6. The Girl in the Yellow Dress 7. Today 8. Sorrow 9. Run Like Hell 10. Time 11. Breathe (Reprise) 12. Comfortably Numb
David Gilmour – guitars, vocals Phil Manzanera – guitars, backing vocals Guy Pratt – bass, backing vocals, lead vocals on "Run Like Hell" Jon Carin – keyboards, lead vocals on "Time" and "Comfortably Numb" Kevin McAlea – piano, keyboards, accordion
Steve DiStanislao – drums, percussion, backing vocals Theo Travis – saxophones, clarinet João Mello – saxophones, keyboards Bryan Chambers – backing vocals Louise Clare Marshall – backing vocals COLOUR NTSC Approx.155min.(total)