リッチーの息子ユルゲン・ブラックモアとジョー・リン・ターナーを中心として結成された「OVER THE RAINBOW」は、2009年2月のツアー開始と共にファンの間で大きな話題を巻き起こしました。元メンバーが4人集まってRAINBOWの曲のみを演奏するというプロジェクトの方向性は、一部の頑ななマニアからは斜に構えた見方をされたものの、心からRAINBOWの音楽をリスペクトするメンバーの演奏を前にした時、ほとんどのファンはこのバンドが"単なるカヴァー・バンド"とは異なる事に気付き、'09年4月末に行われた来日公演でも多くの人々からポジティヴなリアクションを得ていました。本作はこの来日公演の終了後、秋に行われた同年ヨーロッパツアーの2ndレッグより、ツアー終盤にあたる10月24日、オランダ・ウーデンの"De Pul"におけるライヴを、オーディエンスショットとしてはこれ以上望みようがない最上級のクオリティで完全収録しています。「Tarot Woman」の幻想的なキーボードが流れる中、メンバーがステージに上がる様子を舞台裏から収めたオープニングは、まるで公式のライヴ作品を観ている様な気分にさせられ、この映像がただのオーディエンス映像とは根本的に異なる事を思い知らされます。画面は客席から見た時、このステージに向かって右側ソデから撮影したものと、左側最前列からのショットをプロ・クオリティの技術でミックスしています。何者にも遮られない撮影と巧みな編集に加え、ライン音源のように安定したサウンドのバランスと輪郭も、本作へ"公式代わりの一本"としての説得力を与えています。ジョーはソロライヴや各種のプロジェクトでもRAINBOWナンバーをさかんに取り上げていた事もあって、「Can't Let You Go」や「Death Alley Driver」といった自身のナンバーはもちろん、ロニー・ジェイムズ・ディオの「Kill The King」やグラハム・ボネット時代の「Eyes Of The World」といった楽曲もしっかりと歌い上げています。ジョーはこれら前任者の曲も単に自己流のパフォーマンスのみで通すのではなく、彼らに敬意を表するトリビュート的な解釈もうかがわせ、OVER THE RAINBOWとしてのバンドサウンドを聴かせてくれます。ユルゲンのギタープレイは、音源だけで聴いたときはちょっと物足りなさを感じる場面もありましたが、映像で"動くユルゲン"を観ると、なぜこのユニットがユルゲンを迎えたのか理解できるでしょう。面立ちはもちろんの事、ステージ上における仕草や雰囲気まで若き日の父ブラックモアを彷彿させ、オールドファンにも「あっ」と驚かせる場面があるはずです。特に彼が「Eyes Of The World」中盤のギターソロで聴かせる「ON STAGE」版「Still I'm Sad」のフレーズは、これこそ「リッチーのD.N.A.」がなせる業で、いかなるファンの耳をも惹き付けずにはおかないでしょう! 来日公演の終了後、キーボードがトニー・カーレイからポール・モーリスに交代していますが、ジョーやベースのグレッグ・スミスらとも共演経験があるポールは、最初からこのバンドの一員だったかのような安定感でプレイを披露しています。ジョーが歌う「Ariel」と「Wolf To The Moon」の「STRANGER IN US ALL」ナンバーは、ファンによっては「ドゥギーよりも魅力的だ」と言われていましたが、'95年編成のメンバーが増えた事でより輝きを放ち、本映像でも大きな見どころとなっています。ドラムソロから流れ込む「Stargazer」と「Long Live Rock' n 'Roll」では、ボビー・ロンディネリの豪快なプレイが曲想にマッチし、ライヴのハイライトを盛り上げています。本作最大の見せ場は何と言ってもアンコールの「Gates Of Babylon」です。秋のツアーから取り上げられるようになったこのRAINBOW屈指のナンバーは、キーボードのイントロから会場全体に極上のムードを漂わせ、ライヴを彩る最高の盛り上がりを演出しています。グレッグがサポートするコーラスも楽曲の重厚感を引き立たせ、アレンジ面でも充分な聴き応えを味わえます。この曲が来日公演で取り上げられていたら・・・と思わずにはいられない、ファン必見の名場面です!全編で2時間に迫るライヴは、ジョーそしてRAINBOWファンにとって必ずや夢のようなひと時になる事でしょう。オリジナル・メニュー付きの超ハイクオリティな完成度を誇る内容は、誰もが驚くに違いありません。ファンならば是が非でも手に入れたい一本です!
Live at De Pul, Uden, Netherlands 24th October 2009 AMAZING-SHOT!!!(MULTI CAMERA EDITION)
1. Tarot Woman 2. Kill The King 3. Can't Let You Go 4. All Night Long 5. Death Alley Driver 6. Keyboard Solo 7. Eyes Of The World 8. Ariel 9. Wolf To The Moon 10. I Surrender 11. Man On The Silver Mountain 12. Jealous Lover 13. Drum Solo 14. Stargazer
15. Long Live Rock 'n' Roll 16. Gates Of Babylon 17. Since You Been Gone 18. Can't Happen Here 19. Spotlight Kid Joe Lynn Turner - Vocals Jurgen Blackmore - Guitar Paul Morris - Keyboards Greg Smith - Bass Bobby Rondinelli - Drums COLOUR NTSC Approx.111min.