ビートルズの軌跡を辿った傑作ドキュメンタリー作品『FROM LIVERPOOL TO SAN FRANCISCO』。その日本バージョンがリリース決定です。『FROM LIVERPOOL TO SAN FRANCISCO』は2005年にイギリスの“ITN”によって制作されたドキュメンタリー特番。約50分と短めではあるものの、ビートルズの勃興から解散までの歩みを時系列に語っていくものです。母国では2005年にテレビ放送されたわけですが、その翌年にはソフト化。日本盤も発売されました。本作は、そんな公式品のコピー。。。ではありません。2006年6月に某衛星放送局で特集された日本放送バージョンです。さて、そんな本作のポイントは3つ。1つめは映像クオリティ。これはもう耳タコだと思いますが、完全オフィシャル級の極上品。当店では、国内のコアな記録マニアによる極上マスターで数々の音楽番組をアーカイヴしておりますが、本作はその最新弾。2006年放送だけに、デジタル放送を劣化ナシでDVD似移し替えているわけです。そして2つめはドキュメンタリーそのものの番組クオリティ。これが素晴らしい。ひと口にドキュメンタリーと言っても手法も作風もさまざまで、中には関係者がメインだったり、(制作された時期の)最新インタビューで組むものもあります。それはそれで振り返りによる客観性が面白い事も(逆に歴史の改変になってしまう危険も)あるのですが、本作は違う。あくまでも4人のインタビュー、それも60年代当時の映像を組み上げて制作。それらの記録映像を見やすく、意味が伝わりやすいようにナレーションで繋いでいくスタイルなのです。実のところ、これは非常に難しい。記録映像は絶大な時代感が強みなものの、数が限られており、内容もドキュメンタリー用ではないので組みづらい。制作者のセンスや技量が大きく問われる手法なのです。ところが、本作はその点で優れている。実は、制作した“ITN”はニュース関係に特化した制作会社。BBCに先駆けた歴史的ニュース番組“NEWS AT TEN”や公共放送の“CHANNEL 4 NEWS”等を手掛けてきたイギリス報道の老舗なのです。それだけに、この番組は実にニュース感たっぷり。編集は手堅く、画面は上品で語り口も誠実。貴重なインタビューを可能な限り盛り込もうとしているにも関わらず、記録映像の見づらさなどまったくなく、老若男女がビートルズ現象を理解できる内容も素晴らしいのです。そして3つめのポイントは、そんなドキュメントを日本人に伝える字幕。本作はナレーションが主導する作りですし、主役は4人のインタビュー。その一言ひとことに日本語字幕が付いているわけですが、これが番組独自の和訳。非常に客観性の高い内容だけに豪快な意訳や爆笑の誤訳は見当たりませんが、すでに他バージョンをご覧になった方でも独自バージョンとして新鮮に再体験できるのです。英国ニュースの名門が制作したビートルズ・ドキュメンタリーの大傑作です。あくまでも60年代当時の貴重映像だけで押し切りつつ、歴史感と見やすさを両立。さらに独自の日本語字幕で綴る1枚です。放送1回だけで歴史の闇に消えてしまうにはもったいない52分間。
Broadcast Date: 25th June 2006 (51:58)
1. Introduction 2. October 1963 3. November - December 1963 4. January - February 1964 5. February 1964 6. March 1964 7. March - June 1964 8. June 1964 9. July - August 1964 10. August - September 1964 11. October 1964 12. December 1964 13. February - May 1965
14. June - July 1965 15. August 1965 16. August - October 1965 17. March - July 1966 18. July - August 1966 19. August 1966 20. May - July 1967 21. July - August 1967 22. July - September 1968 PRO-SHOT B&W NTSC Approx.52min.