メロディアスな名盤『5150』『OU812』で時代の寵児として君臨していた1988年のVAN HALEN。彼らをヘッドライナーとした伝説の“MONSTERS OF ROCK TUOR 1988”を極上体験できる映像作がリリース決定です。そんな本作が撮影されたのは「1988年6月26日イーストラザフォード公演」。そのオーディエンス・ショットから制作されたマルチカメラ映像です。『OU812』時代と言えば、80年代唯一の来日公演も思い出深いところ。まずは、それも含めて当時のスケジュールからショウのポジションを振り返ってみましょう。1988年《5月24日『OU812』発売》・5月27日-7月30日:北米#1(28公演)←★ココ★
・9月30日-11月28日:北米#2(38公演)1989年・1月19日-2月2日:日本(9公演)・2月4日+5日:ハワイ(2公演)これが1988年/1989年のVAN HALEN。来日公演は年の改まった1989年で、1988年は主戦場の北米のみ。そのうち、“MONSTERS OF ROCK TUOR”は『OU812』発売直後から始まった「北米#1」のことであり、本作のイーストラザフォード公演はその「16公演目」にあたるコンサートでした。そんなショウを記録した本作は、まさに極上。コレクターにはお馴染みの名門が制作したマルチカメラ作品なのですが、1曲内でも頻繁に切り替わる編集も素晴らしければ、その1カット1カットも非常にアクティヴかつ絶景。80年代オーディエンスのマルチカメラ編集というと、フレームアウトや前方客の影を入れないために繋ぎ合わせているようなものも珍しくないのですが、本作は違う。見どころの1シーンでもアチコチの視点を積極的に使い、どのカメラもノーミスだったんじゃないかと思うほど多彩なカットを盛り込みまくる。しかも、すべてのシーンの各アングルがステージだけで占領されており、視界を邪魔するものが一切入ってこない。撮影に失敗したシーンを誤魔化すためのマルチカメラを「守りの編集」とするならば、本作は1台1台で強力な映像の強みを見せまくる「攻めの編集」作品なのです。その映像美で描かれるのが、イケイケ(死語)で攻めまくる80年代VAN HALENのフルショウ。『OU812』時代と言えば東京ドーム公演のプロショットが象徴として君臨しておりますが、あれはあくまで放送枠に沿った抜粋映像。それに対して本作はフル映像ですので、ここで比較しながらセットを整理してみましょう。
デイヴィッド・リー・ロス時代(4曲)・炎の導火線:Runnin' With The Devil(★)/You Really Got Me/Ain't Talkin' 'Bout Love(★)・1984:Panama サミー・ヘイガー時代(8曲)・5150:Summer Nights/Why Can't This Be Love/Best Of Both Worlds
・OU812:A.F.U. (Naturally Wired)/Mine All Mine/Sucker In A 3 Piece(★)/When It's Love/Black And Blue その他(5曲)・サミーのソロ:There's Only One Way To Rock『STANDING HAMPTON』/I Can't Drive 55『VOA』/Eagles Fly『I NEVER SAID GOODBYE』
・カバー:Superstition(★:スティーヴィ・ワンダー)/Rock and Roll(★:LED ZEPPELIN)※注:「★」印は東京ドームのプロショットでは観られない曲。……と、このようになっています。『5150』『OU812』のエッセンスを濃縮しながらDLR時代やサミーのソロ、カバーも盛り込んだオモチャ箱のような豪華セット。自らのヒット曲を網羅する90年代以降のグレイテスト・ヒッツも良いのですが、本作は余裕のあるセットでライヴならではの魅力がたっぷり。しかも、このツアーだけの「Sucker In A 3 Piece」のような激レア曲も楽しめるのです。そんなライヴ本編だけでも最高ですが、本作はその後まで面白い。実は、本作の撮影に使用した機材の解説コーナーがあるのです。ビデオ・カメラにレンズにマイク……1つずつを手に取り、コツから何から詳しく説明していく。ご覧になると分かりますが、本作は80年代映像で無数の名作をモノにしてきた名門の作。さすがに30年後ですから、いくら開設されても現在同じ機材を使うことはないものの、シーンを揺るがした有名作の数々がどういう機材で撮影されたのかが思いっきり明かされているのは実に面白いのです。さらにダメ押しで当時のVAN HALEN特番まで追加収録されたサービス精神満点の本作。満面の笑みで語り合い、軽快にステップするエディとサミー。その後、長年に渡って犬猿の仲になるなど想像もできない蜜月のフルショウをマルチカメラで楽しめる大傑作です。1カット1カットが絶景な映像を、名門が惜しげもなく使って組み上げた編集作品。
Live at Giants Stadium, East Rutherford, NJ, USA 26th June 1988 AMAZING SHOT!!!
Disc 1(57:23) 1. A.F.U. (Naturally Wired) 2. Summer Nights 3. There's Only One Way To Rock 4. Panama 5. Bass Solo 6. Runnin' With The Devil 7. Why Can't This Be Love 8. Mine All Mine 9. Drum Solo 10. You Really Got Me 11. Sucker In A 3 Piece 12. When It's Love
Disc 2(58:55) 1. Eagles Fly 2. I Can't Drive 55 3. Best Of Both Worlds 4. Eddie Guitar Solo 5. Black And Blue 6. Ain't Talkin' 'Bout Love 7. Superstition 8. Rock 'n Roll 9. Extras (Video Equipments, MTV Special)
Sammy Hagar - Vocals, Guitar Eddie Van Halen - Guitar Michael Anthony - Bass Alex Van Halen - Drums PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.116min.