2020年10月6日に永眠した巨匠エディ・ヴァン・ヘイレン。そんな彼の最後のステージをフル体験できるマルチカメラ映像が登場です。世界は今なおエディ逝去の衝撃に打ちのめされていますが、彼のラストショウは最近ではありませんでした。ここ数年のエディは療養説が噂されつつも沈黙を守り、VAN HALENは開店休業状態。ラストステージは5年前の「2015年10月4日ロサンゼルス公演」の事でした。本作は、そのフルショウをマルチカメラ編集されたオーディエンス・ショット+ステレオ・サウンドボードによって描ききる映像作品なのです。そのクオリティが気になるところですが、そもそもエディ最後のステージはいかなる活動の中にあったのか。多くの方が『TOKYO DOME LIVE IN CONCERT』にもなった来日公演が最後の想い出となっているでしょうから、まずはデヴィッド・リー・ロスとの再結成時代の全景から振り返ってみましょう。2007年《2月2日:デイヴ・リー・ロス復帰を公表》・9月27日-12月30日:北米#1(40公演)
2008年・1月22日-2月20日:北米#2(15公演)・4月17日-7月3日:北米#3(22公演)2012年《4年後》《『A DIFFERENT KIND OF TRUTH』発売》・1月5日-6月26日:北米#4(53公演)2013年・4月20日:シドニー公演・6月18日-26日:日本(4公演)・7月20日+24日:北米#5(2公演)
2015年《2年後》・7月5日-10月4日:北米#6(41公演)←★ココ★ これがVAN HALEN最後の9年間。来日公演は『A DIFFERENT KIND OF TRUTH』に伴うワールドツアーの一環でしたが、その後に2年間のオフを挟んだ2015年にもツアーを実施しました。本作のロサンゼルス公演は、その千秋楽。当時はツアー終了の達成感に満ちたショウだったわけですが、今となってはあまりにもメモリアルな一夜となったのです。そんな特別すぎる夜を記録した本作は、クオリティも特別。最大の特徴は何と言ってもマルチカメラ編集。冒頭でやや解像度の低い画面も現れて一瞬心配になるものの、すぐにそれが例外だと分かって一安心。多彩なアングルは「距離は○○」「角度は△▽」とひと口に語れないものの、総じて言い切れるのは遮蔽物のない絶景ぶり。ステージ全景を捉えた遠距離ショットからメンバーのドアップに至るまで、画面に余計なものが映り込まない。恐らく元映像には前列の影やカメラのブレなどもあったと思われますが、巧みな編集でそうしたシーンは悉くカット。徹底的にVAN HALENの4人に集中できるのです。そして、その多彩な光景に一本筋を通している音声もスペシャル。まるでサウンドボード……と言いますか、本当にサウンドボード音声。実は、最近になって登場したALD録音なのです。ALD(Assistive Listening Device)とは、ライヴや講演スピーチ等で聞き取りづらい音をハッキリ届けるためのライン音声。特にコンサート会場では聴覚障害の方のために設置されており、そうした設備のある会場ではイヤホンからサウンドボード音声が録音できるのです。そして、本作の現場となった“ハリウッド・ボウル”もそうしたALD設備のある会場。文字通り、距離ゼロ完全ド密着なサウンドボードでフルショウを楽しめるのです。さらに付け加えますと、本作は最高峰版でもある。このマルチカメラ映像は現在、世界中で話題を引き起こしているのですが、実はサウンドボード音声と映像にわずかにギャップがある。ネット版でもアングルのスイッチングでかなり違和感を解消しているのが分かりますが、本作はさらに1コマ単位の微調整まで実施。ド密着なサウンドボードの完全シンクロを実現致しました。そんな「マルチカメラ+サウンドボード」で描かれるのは、エディ生涯最後のフルショウ。今後、永久に語り継がれるショウでもありますので、セットも整理しておきましょう。
・炎の導火線:Runnin' With The Devil/Feel Your Love Tonight(★)/Ice Cream Man/Ain't Talkin' 'Bout Love/You Really Got Me・伝説の爆撃機:Light Up The Sky(★)/Somebody Get Me A Doctor/Dance The Night Away/Beautiful Girls/Women In Love
・暗黒の掟:Romeo Delight/Everybody Wants Some!!・戒厳令:"Dirty Movies"(★)/Unchained・ダイヴァーダウン:Little Guitars(★)・1984:Drop Dead Legs(★)/I'll Wait/Hot For Teacher/Panama/Jump・ア・ディファレント・カインド・オブ・トゥルース:She's The Woman
※:「★」印は公式ライヴアルバム『TOKYO DOME LIVE IN CONCERT』で聴けない曲。……と、このようになっています。この1曲1曲、1フレーズ1フレーズ、1音1音がメモリアルで記念碑。その重みに胸が潰れそうになりますが、もっとも強烈なのがエディのギターソロでしょう。これは単に記録的な意味だけでなく、美しさも圧倒的。実のところ、このシーンでは現場スクリーンにエディが大写しとなっており、本作でもそのスクリーン・ショットが多用されている。と言うことは、光景はプロ撮影そのものですし、音声サウンドボード。つまり、完全プロショット・クオリティなのです。そして、手元が画面からハミ出す程の超ズームで迫るのは「Mean Street」や「Spanish Fly」「Eruption」等々、世界のド肝を抜いてきた妙技の数々。もちろん、そのキレはこの日が最後のショウとは思えない(恐らく、本人も最後とは思っていなかったでしょう)。弦の振動まで眼に見える画面の美しさ、サウンドボードの密着感、そして苛烈な演奏そのもの。背筋がゾクッとする本作の……いえ、間違いなく世界一の名シーン。2020年に体験しうるロック最大・最高の瞬間なのです。これがロック史に残る巨人エディ・ヴァン・ヘイレン最後のフルショウ。その一部始終です。マニアが情熱の限りを込めて制作したマルチカメラの映像と、脳内に侵入してくるようなサウンドボードの音声。まさにロックの文化遺産にして強烈無比な映像傑作です。
The Last Concert Ever Live at Hollywood Bowl, Los Angeles, CA, USA 4th October 2015 (Synched with ALD) AMAZING SHOT & MIX!!! (118:49)
1. Intro 2. Light Up The Sky 3. Runnin' With The Devil 4. Romeo Delight 5. Everybody Wants Some!! 6. Drop Dead Legs 7. Feel Your Love Tonight 8. Somebody Get Me A Doctor 9. She's The Woman 10. I'll Wait 11. Drum Solo 12. Little Guitars
13. Dance The Night Away (with Smoke on the Water & Jamie's Cryin) 14. Beautiful Girls 15. Women In Love... 16. Hot For Teacher 17. "Dirty Movies" 18. Ice Cream Man 19. Unchained 20. Ain't Talkin' 'bout Love
21. Guitar Solo (with Little Guitars, Mean Street, Spanish Fly, Eruption & Cathedral) 22. You Really Got Me 23. Panama 24. Jump David Lee Roth - lead vocals Eddie Van Halen - guitar, backing vocals Wolfgang Van Halen - bass, backing vocals Alex Van Halen - drums, percussion
COLOUR NTSC Approx.119min.