本作が撮影されたのは「1995年1月30日ミラノ公演」。そのマルチカメラ・プロショットです。姉妹作『ARNHEM 1995』にも似た企画のプロショットDVDRが付属しておりますが、クオリティはまったく違う。本作はまさに極上のプロショット作品です。ただし、シンプルに「オフィシャル作品風」とはちょっと呼びづらい。いや、単に映像クオリティや凝ったカメラワーク、作り込みの完成度なら何の問題もなく「完全オフィシャル級」と言える。しかし、そう呼んでしまうと誤解されかねない「クセ」の強さがあるのです。その個性とは、映像エフェクト。淡くうっすらと霧のかかったような柔らかい映像なのです。もちろん、これは意図的なものであり、決して欠点ではない。色とりどりの照明もエフェクトによって幻想感と艶やかさが加味され、非常に上品ですらある。言わば、プロモ・クリップのような感じ。「オフィシャル級」と呼んで公式ライヴビデオをイメージされたら誤解であり、むしろ公式のクリップ集を想像していただいた方がしっくりくる(もちろん、演奏の中身は完全にライヴです)映像美なのです。そんな艶と品格の映像で描かれるのは、普段では絶対に見られない濃密なショウ。セットの内容はCDと同一なのでそちらの解説をご覧頂くとして、映像編の旨みは現場の雰囲気。とにかく狭い。姉妹作のアルンヘム公演も小さいハコでしたが、本作の現場は輪をかけて狭く、ステージ上の4人はほとんど身動きが取れない状態。サミーが「こんな小さなクラブは10年ぶり」と言っていますが、むしろデビュー前まで遡らないとないんじゃないかと言うほどの密着ぶりなのです。しかし、そこは生粋ライヴバンドであるVAN HALEN。物理的にアクションを封じられた環境を演奏の熱気に替えている。CDでも絶好調な熱演ぶりが鮮やかでしたが、その理由が目で見えるような映像でもあるのです。ラフなダイレクト感が魅力なCDとは逆に、凝りに凝った作り込みの映像美で魅せてくれる美麗プロショットです。
Live at Factory, Milan, Italy 30th January 1995 PRO-SHOT (74:26)
1. Intro 2. The seventh Seal 3. Judgement Day 4. Don't Tell Me (What Love Can Do) 5. Amsterdam 6. Panama 7. Feelin' 8. Best of Both Worlds 9. Ain't Talkin 'bout Love Bonus Tracks Promo Videos 10. Amsterdam "Naughty Version" 11. Can't Stop Lovin' You 12. Don't Tell Me (What Love Can Do)
13. Not Enough 14. Balance EPK Sammy Hagar - lead vocals, guitar Eddie Van Halen - guitar, backing vocals Michael Anthony - bass, backing vocals Alex Van Halen - drums, percussion PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.75min.