歴史から取り残されたケイト・ブッシュの名作映像たち。その中でも特に傑作の誉れ高き2作品が最高峰クオリティで登場です。ケイトの映像作と言えば、ポピュラーミュージック界の盲点。単に偉大な足跡を刻む歌姫というだけでなく、パフォーマンス的にも視覚的にも革新的な存在にも関わらず、数々の傑作映像群は一向にDVD化が進まない。歯がゆい気持ちもいつしか風化するほどの時間が経ってしまいました。中でも渇望されてきた名作が彼女の唯一のツアーを伝える『LIVE AT HAMMERSMITH ODEON』と、目で観るベスト盤であった『THE WHOLE STORY』でしょう。本作は、そんな2作品を最高峰クオリティとして知られる日本盤レーザーディスクから復刻DVD化。カップリングした2枚組なのです。そのクオリティは、まさに最高峰。当店では数々の名作レーザーディスクをDVDでアーカイヴしてきましたが、本作もその1つ。コアなコレクターが秘蔵していたミント・クオリティ盤を借用し、海外のアナログ映像専門メーカーに委託。プロユースのハイエンド環境で精緻にデジタル化しているのです。その映像美はこれまでの諸作で証明されてきましたが、本作によってさらに実績を積み上げたわけです。そのクオリティで描かれるのは、まさに「目で観るライヴ盤」と「動くベスト盤」。それぞれ個別にご紹介していきましょう。
【LIVE AT HAMMERSMITH ODEON(1981年作)】1枚目に収められているのは、彼女が歴史上1回だけ行ったコンサート・ツアー“THE TOUR OF LIFE”の映像作品。「1979年5月13日ロンドン公演」のマルチカメラ・プロショットです。ブートレッグ的には完全版も流出していますし、マンチェスター公演のプロショットも登場(当店の『MANCHESTER APOLLO 1979(Wardour-355)』でお楽しみいただけます)。1時間弱のオフィシャル版は役目を終えた感もありますが、それだけに懐かしさもひとしお。オフィシャルらしい画質と幻想感を演出するエフェクトが融合して醸す気品が絶品。単なる記録ではなく、美学を持って映像アートに仕上げられた作品感が素晴らしいのです。もちろん、映像美以上なのがパフォーマンスそのもの。衣装やダンサー、演出も1曲1曲で丸っきり世界観が変わり、パントマイムも導入したステージングはまさにアート。コンサート・ライヴであると同時に舞台芸術でもある唯一無二の世界なのです。前述の通りフルショウではないものの、その分『THE KICK INSIDE』『LIONHEART』を圧縮したセットは特濃。最後にそのセレクトも整理しておきましょう。・天使と小悪魔(7曲):Moving/Them Heavy People/Strange Phenomena/Feel It/Kite/James and the Cold Gun/Wuthering Heights
・ライオンハート(4曲):Hammer Horror/Don't Push Your Foot On the Heartbrake/Wow/Oh England My Lionheart・魔物語(1曲):Violin
【THE WHOLE STORY(1987年作)】『LIVE AT HAMMERSMITH ODEON』が映像版ライヴアルバムだとすれば、こちらはベスト盤の映像化。グレイテスト・ヒッツ『THE WHOLE STORY』と同タイトルの映像編で、数々の名作クリップ集で綴るケイトのヴィジュアル・ヒストリーです。あらゆる映像技術を自由自在に駆使できるクリップの表現力は、当然の事ながらステージ以上。ケイト独特の世界観がさらにアーティスティックに描かれていくのです。また、彼女のクリップ集と言えば『THE SINGLE FILE』もありますが、本作の方が後発で範囲が広い。時系列ではないので、ここで比較しながら収録曲を整理しておきましょう
・天使と小悪魔(2曲):Wuthering Heights/The Man With The Child In His Eyes・ライオンハート(1曲):Wow・魔物語(3曲):Breathing/Army Dreamers/Babooshka・ドリーミング(2曲):Sat In Your Lap/The Dreaming・愛のかたち(4曲):Cloudbusting(★)/
Hounds Of Love(★)/Running Up That Hill(★)/The Big Sky(★)・ケイト・ブッシュ・ストーリー(1曲):Experiment IV(★)※注:「★」印は公式映像集『THE SINGLE FILE』でも観られない曲。 以上、「目で観るライヴ盤」と「動くベスト盤」の決定映像セットです。新メディアに敏感だった日本だからこそ成し得た最高峰の映像美と、レーザーディスクだからこそ残し得た鮮度。その可能性を最大限に引き出してDVDに移し替えた2枚組です。これからのクリスマスや年末年始をリッチな音楽シーズンに変えてくれる大傑作。
Taken from the original Japanese pressing laser discs PRO-SHOT(BEST QUALITY)
LIVE AT HAMMERSMITH ODEON Taken from the original Japanese Laser Disc (MP102-15EM) ★1983年5月リリース。世界初レーザーディスク化 1. Moving 2. Them Heavy People 3. Violin 4. Strange Phenomena 5. Hammer Horror 6. Don't Push Your Foot On the Heartbrake 7. Wow 8. Feel It
9. Kite 10. James and the Cold Gun 11. Oh England My Lionheart 12. Wuthering Heights 13. End Credit
Kate Bush - vocals, piano Brian Bath - electric guitar, acoustic mandolin, vocal harmonies Alan Murphy - electric guitar, whistle Paddy Bush - mandolin, vocal harmonies, additional instrumentation Ben Barson - synthesizer, acoustic guitar
Kevin McAlea - piano, keyboards, saxophone, 12 string guitar Del Palmer - bass Preston Heyman - drums, percussion Glenys Groves and Liz Pearson - backing vocals PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.54min.
THE WHOLE STORY Taken from the original Japanese Laser Disc (L100-1076)★1987年リリース 1. Intro 2. Wuthering Heights 3. Cloudbusting 4. The Man With The Child In His Eyes 5. Breathing 6. Wow 7. Hounds Of Love 8. Running Up That Hill 9. Army Dreamers 10. Sat In Your Lap
11. Experiment IV 12. The Dreaming 13. Babooshka 14. The Big Sky 15. End Credits PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.57min. PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.111min.(total)