GRPレーベルの創設者デイヴ・グルーシンが主催し、チック・コリアやダイアン・シューア、リー・リトナー、トム・スコット等ジャズ界の重鎮が一同に会した超豪華セッション“GRP SUPER LIVE”。その極上映像が登場です。そんな本作が撮影されたのは「1987年10月8日:昭和女子大人見記念講堂」公演。そのマルチカメラ・プロショット2種をカップリングした2枚組です。このショウは当時テレビ放送されただけでなく、『GRP SUPER LIVE IN CONCERT』と題してオフィシャル作品化。2枚組ライヴアルバムだけでなく、VHS/LDの映像編もリリースされました。そんな中で、本作は当時のTV放送プロショットをDISC 1、レーザーディスクから復刻した製品版をDISC 2に配した2枚組です。同じショウのプロショットとは言っても、TV放送版とLD版はかなり違う。細かいカメラワークやミックスと言ったレベルではなく、丸っきり別作品。まず何より、収録曲が全然違う。TV版とLD版を比較しながら整理し、それぞれ個別にご紹介してきましょう。ダイアン・シューア・TV版(DISC 1):I Just Found About Love(★)/Love Dance・LD版(DISC 2):Deedles' Blues デイヴ・グルーシン/リー・リトナー・TV版(DISC 1):The Sauce/White Water(★)/Mt. Dance(★)・LD版(DISC 2):The Sauce
デイヴ・グルーシン/リー・リトナー/トム・スコット・TV版(DISC 1):Kathy's Theme/Tootsie(★)・LD版(DISC 2):Target/An Actor's Lifeチック・コリア・エレクトリック・バンド・TV版(DISC 1):Overture/Side Walk/Ramble/Light Years
・LD版(DISC 2):Overture/No Zone/Light Years オールスター・TV版(DISC 1):Finale(★)ギターソロが長い/サックスソロが長い・LD版(DISC 2):Encore(★:上記Finaleと同じながら別編集)イントロが長い ※注:「★」印はCD版『GRP SUPER LIVE IN CONCERT』
【DISC 1:製品版を遙かに超える長尺TV特番プロショット】このように、TV版とLD版はまったくの別物。現在、一般に手に入る公式盤は2CDのライヴアルバムだけですが、2つ映像ともCD版では聴けない曲も収録されています。そして、特に美味しいのがTV版。当時の特番“SUPER JAZZ LIVE IN JAPAN”です。上記をご覧の通り曲数が一番多いわけですが、それだけじゃない。曲間にはジャパン・ツアーのオフショットもふんだんに盛り込まれ、さらにリトナーやグルーシン、スコット、チックの来日インタビューも収録されている。もちろん、日本放送ですから日本語字幕付き。インタビュー以外にもアーティストを紹介するテロップ等も完備して内容もビビッドに理解できます。さらにさらに、演奏シーンも違う! マルチカメラの別アングルも盛り込まれていますが、曲によっては編集カットも異なっている。例えば、最後のオールスター共演の「Finale」。LD版では「Encore」と題されているわけですが、基本的には同じ演奏。しかし、TV版の方が明らかに長く、リトナーやスコット、チックのソロも倍くらいたっぷり見られるのです(逆にLD版はメランコリックなイントロが長いので一長一短なのですが)。しかも、この「Finale/Encore」はライヴアルバムでは聴けないにも関わらず、このショウでもっとも苛烈な演奏が聴けるハイライト。この1曲のためにVHS/LDを購入された方もいらっしゃるとは思いますが、TV版にはさらに大量のインプロヴィゼーションがあったのです。あまりに強烈な内容で大事な事を書き損じておりました。そんな秘宝番組を記録したクオリティも超・極上。さすがにアナログ放送基準ではありますが、そのマスター鮮度は恐ろしくフレッシュでテープヨレも白線ノイズもまったく見られない。オフィシャルVHSかと思ってみていると、見慣れないテロップが出てきて「あ、放送版だったのか」と気づく……そんなレベルの映像美なのです。
【DISC 2:練り込まれた最高峰クオリティのLD版】圧倒的な衝撃度のTV版に続いて登場するのは、お馴染みの製品版。それも最高峰クオリティのレーザーディスクから聖地にデジタル化した1枚です。こちらは目にされた事のある方も多いとは思いますが、この映像美はやはり究極。規格自体がVHSより高画質であり、物理的に走行ヨレ等の狂いも生じない。もちろん、デジタル化に際しても細心の注意を払っており、まさに史上最高峰クオリティなのです。そして、映像美だけでなく内容的にも作品然とした気品がある。例えば、先ほど例に出した「Finale/Encore」ですが、ソロの長さや生々しさは間違いなくTV版の方が上。しかし、LD版は各ソロの一番美味しいパートを選び抜くことで「燃え上がるような勢い」は付加されている。しかも、編集が異様に巧み。一連のソロが綺麗に流れており、TV放送と同時再生しなければカットされているとは気づかないほど。「さすがオフィシャル仕事」と舌を巻く見事な編集技で、演奏の完成度そのものまで高まって見えるのです。ジャズ・ファンの夢を実現させた超豪華イベント“GRP SUPER LIVE”。廃盤久しいオフィシャル映像の最高峰クオリティ版だけでなく、ボリュームやインタビューも大きく上回るテレビ放送版もカップリングした2枚組です。まさに日本洋楽史に残る大傑作。
Hitomi Memorial Hall, Tokyo, Japan 8th October 1987 PRO-SHOT
Disc 1(79:19) TV Broadcast Super Jazz Live in Japan 1. Intro Diane Schuur 2. I Just Found About Love 3. Love Dance Grusin & Ritenour Project 4. The Sauce 5. White Water 6. Interview #1 7. Mt. Dance Tom Scott with Grusin & Ritenour Project 8. Kathy's Theme 9. Interview #2
10. Tootsie Chick Corea Elektric Band 11. Overture 12. Side Walk 13. Interview #3 14. Ramble 15. Light Years All Stars 16. Finale PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.79min.
Disc 2(56:38) Laser Disc 1. Intro 2. The Sauce 3. Target 4. Deedles' Blues 5. An Actor's Life 6. Overture 7. No Zone 8. Light Years 9. Encore PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.57min.
Lee Ritenour (guitar) Chick Corea (keyboards) Tom Scott (saxophone) Diane Schuur (vocals, acoustic piano) Barnaby Finch (synthesizers) Tim Landers (bass) Vinnie Colaiuta (drums) Dave Weckl (acoustic & electric drums) John Patitucci (electric & acoustic bass)
Frank Gambale (electric guitar) Eric Marienthal (saxophone) PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.136min.(Total)