BAY CITY ROLLERSの『ON TV 1975-1976』。誠にありがとうございます。本作は、始まって以来という衝撃映像。BAY CITY ROLLERS初来日を軸として「70年代の洋楽」そのものを超リアルに描き出すプロショット作品です。そんな本作に収められているのは5つのTV番組プロショット(合計2時間51分27秒)。1976年/1977年の某放送協会の人気音楽番組「ヤング・ミュージック・ショウ」をメインに、人気絶頂だった70年代の日本放送をコンパイルしています。1976年と言えば、ビクターが家庭用VHSレコーダの1号機を発売した年でもあり、当時自宅で録画できたのは極々一部の恵まれた富裕層だけ。本作ではそんな選ばれしコアなBCRのマニアからオリジナル放送の極上マスターをご提供いただいたのです。それでは、5つの番組をそれぞれご紹介していきましょう。
【DISC 1:1975年9月:ウィークエンドTVスタジオ(約50分)】DISC 1に収められているのは、英国で制作された2つのテレビ特番。現地放送版が有名ではありますが、本作は初来日を煽るように放送された日本放送バージョンで収録しています。最初に登場するのは『噂のベイ・シティ・ローラーズ』時代の”1975年9月”に収録された特番。本作では日本初回放送となった1976年5月5日の「ヤング・ミュージック・ショウ」から収録しています。番組内容はマニアにはお馴染みかと思いますが、四方を客席に囲まれたステージでローラーズが16曲を熱演するというもの。とにかく強烈なのが観客。真っ黄色なキャアッキャアが演奏を押し流しそうな勢いで吹き出し、全編途切れない。最初は歓声テープをオーバーダビングしすぎているような気がするのですが、よくよく見るとメンバーの一挙手一投足に反応して蠢き、女性客の顔アップではちゃんと口元と絶叫がシンクロしている。実のところ、ローラーズの演奏はマイムだったりもするのですが、観客のライヴ感は圧倒的です。もちろん、ローラーズが現場にいるからこそのライヴ感。王子様然としたメンバー達を目の当たりにした客席達は半狂乱ですし、そんな客席にレスリーが飛び込むものだから暴動寸前。「揉みくちゃ」という次元を超えて本当に引き裂かれそうですし、エリックとセックスを模したアクションをしようものなら「キャアア」が「ギギャアアァァァア」に代わる。さらにはステージ上のメンバーにしがみついて離れない観客も現れ、ゴツいセキュリティが全力で引っぺがしていく。マイムのせいで止められないのか、本当のコンサートだったら即中断という混沌の空間にポップな大ヒット曲群が流れるのです。そんなショウ内容に加え、本作は日本放送ならではの日本語字幕が美味しい。曲間MCの他、略歴テロップや歌詞の対訳(5曲)も付いている。しかも、その語感がいかにも70年代。「思い切りノロウね!」「ロックでセメルんだ」「ロックなしにはキマラない」「宇宙中継」等々、何気ないようでいて現代では目にできない言葉遣いが連発するのです。
【DISC 1:1976年9月:エデン・スタジオ(約38分)】続いては『青春に捧げるメロディー』時代。初来日も間近に迫った1976年9月エデン・スタジオで制作された特番です。こちらも「ヤング・ミュージック・ショウ」で公開された「1977年7月23日」の初回放送バージョンです。やはりマニアには有名な番組で、12曲をマイム演奏していくもの。ただし、上記“ウィークエンドTV”とは雰囲気がだいぶ違って1曲1曲を異なるセットでパフォームしており、観客もなし。言ってみれば、ローラーズだけで『ザ・ベストテン』をやっているような感じです。観客なしなのでMCもないわけですが、歌詞対訳は3曲に付属。それ以上に美味しい独自演出なのがテロップ。「これはイアン・ミッチェルがローラーズのメンバーとしてはじめてTVに登場したショーである」「1976年11月イアン・ミッチェルがローラーズを脱退。代わりにパット・マッグリンが加入した」と、ショウの歴史的な意味を教えてくれるのです。そして、最後には「1976年12月彼等ははじめて日本にやってきた」とテロップが流れてフィニッシュ。初来日篇となるDISC 2へと続くのです。
【DISC 2:初来日の特番1976年12月19日:101スタジオ(約45分)】と言うわけで、代わってのDISC 2は伝説の初来日が甦る3番組を収録しています。メインはこれまた「ヤング・ミュージック・ショウ」で、年の改まった「1977年1月8日」に放送された某放送協会でのスタジオ・ライヴです(冒頭午後「4:30」の放送時間入り)。言ってしまえば『ウィークエンドTV(DISC 1)』の日本版のような番組なわけですが、雰囲気はがかなり違う。冒頭のメンバー紹介で誕生日や星座テロップが流れるのも日本らしいですが、現場の観客達も「ザ・洋楽女子」。手作りの横断幕やボード、ぬいぐるみを自賛し、バレーボールの応援よろしく「(チャチャッチャ・チャ・チャ)We want ROLLERS!!」と大合唱。アップになると1人ひとりは半泣き・半狂乱ですし、身を挺してメンバーをガードする男性警備陣は必死の形相で「座ってください!」と叫ぶほど鬼気迫りつつ、レスリーが「Sit down, sit down, please」と言うと素直に座る。DISC 1の英国ファンも凌駕する猛烈な熱量ながら、同時にどこか日本らしさも滲む熱狂なのです。
【DISC 2:初来日の特番「独占登場!ベイ・シティ・ローラーズ」(約10分)】ここまでは「ヤング・ミュージック・ショウ」3連発でしたが、本作にはそれ以外の貴重なテレビ特番もコンパイル。同じマニアによる高画質マスターで2種収録しています。まずは、某民放局で放送された「独占登場!ベイ・シティ・ローラーズ」。約10分のコーナー特集で、赤坂プリンスホテル前に集結した女性ファンのリアル映像や関○宏(当時33歳!!)が直接ホテルを訪ねてメンバーにインタビューします。インタビュー内容は日本の印象や趣味など当たり障りがなく、やけに出しゃばるマネージャーやふざけ半分な関口○氏の態度がややカンに障ったりもするのですが、それもまた時代の妙味というもの。特に面白いのが部屋の端っこに置かれているパチンコ台のくだりでして、「名前知ってるの?」と質問されるとメンバーが「チンコ!チンコ!」と騒ぐ。そこですかさず○口氏が「パ、パ。チンコだけダメ」と突っ込むのです。一応、暇つぶし用に日本スタッフが用意した体裁にはなっているものの、間違うのが分かっているような質問も不自然で「外人アイドルだからって言わせてるだろ?」と勘ぐりたくなる流れです。
【DISC 2:初来日の特番「若者たちは今~アイドルを追え」(約30分)】さてさて、最後に登場するのが最大の衝撃映像。某放送協会が作成し、黒田征太郎氏が司会・インタビュアを務める30分特番「若者たちは今~アイドルを追え」です。内容的にはツアー・ドキュメンタリーで、来日時の空港での大混乱から記者会見、コンサートを経て、帰路につくまでジャパンツアーを追っています。しかし、その主役はバンドでもなければ、音楽でもヒット曲でもない。番組タイトル通り、タータン・ハリケーンに舞い狂っていた当時のファン達なのです。それもそのはず。この特番の主眼はBAY CITY ROLLERSと言うよりは「若者文化としてのロック」。空港で張っている1000人の徹夜組やハチの巣のように人が蠢く大混乱、押し寄せる加入希望を断りまくるファンクラブ「タータン・カンパニー」、東京マラソン状態で移動車を追いかけるファン、失神して武道館から運び出されるファン等々、当時の熱狂ぶりが生々しく描かれていくのです。そのどれもが凄い迫力。例えば、コンサートの前夜祭として開かれたフィルムコンサート。当然メンバーもいないわけですが、会場中に黄色い絶叫が吹き荒れ、ほぼ全員が泣き崩れてる。途中で帰る女の子は親でも殺されたのかと思うほどに号泣し、足を引きずるように会場を去っていく。本人を目の前にしたコンサートならまだ分かりますが……。そして、そんな熱狂を引き立てているのが「無理解な大人」。この番組は洋楽ファンのためのものではなく、一般層に向けた社会派ドキュメンタリー。インタビュアを務める黒田氏(当時37歳)は思いっきりオッサン視点で洋楽女子達に「ロックの何が面白いの?」「彼らのどこが良いの?」「彼氏の代わりなの?」と豪快な疑問をズケズケとぶつけていく。空港の徹夜組には「(一晩中帰らないで)ご両親は怒らないの?」と投げかけ、路上のファンには「勉強しないの?」「合格できるの?」と問い詰めるのです。現代なら「余計なお世話だ、クソオヤジ」となじられそうですが、女子達が真っ正面から答えるところも70年代。「今日テストだけど(サボっちゃった)」「親なんてどうでもいい」という娘もいれば、「勉強もちゃんとやってる!」「私たちは何も悪いことはしていない」と主張する真面目女子、「お小遣いいくら?」と訊かれて恥じらいながら「1750円……細かいんですけど」と答える女の子……みんな顔出しで答えるのです。終盤、数々のインタビューを経た黒田氏は自身で総括するわけですが、これがまた強烈。「いみじくもお父さんがおっしゃってたんですけどね、とりあえず音楽なんかにうつつを抜かしてくれてるうちはいいけれども、これがヒョイッと足をすくわれて悪い方にね、持って行かれる可能性もあると」。せいぜい徹夜組とテストをサボった女の子しか出てこないのですが、「悪い方に持って行かれる」。まさに「ロック=不良」の意識がドクドクと脈打っていた時代の生命力が露わになるのです。海外番組の日本バージョンであるDISC 1と、伝説の初来日のDISC 2。本作はBAY CITY ROLLERSの極上プロショット集ではありますが、とてもそれだけでは済まない。「70年代」という時代、「洋楽」という文化そのものまでえぐり出してしまう映像超大作なのです。全力で文字にしてみましたが、やはり映像のド迫力は伝え切れていません。この内容の凄さ、生々しさは、ちょっと言葉で表現できない。過激なまでにえぐいリアリズムは絶対に再放送などできませんし、これほど凄いロック・音楽映像番組は世界でも類を見ない。2時間51分27秒に及ぶ衝撃。
London Weekend Television Studios 20th September 1975 Eden Studios September 1976 NHK 101 Studio, Tokyo, Japan 19th December 1976 Exclusive Interview at Akasaka Prince Hotel on 11th December 1976 TV Special "BCR In Japan"
Disc 1 (87:11) Young Music Show (49:28) London Weekend Television Studios 20th September 1975 Broadcast Date: 5th May 1976 午後04:10と出るので初回放送(5/5/76)「このコンサートは1975年9月20日ロンドンーウィークエンドテレビのスタジオで行われた」1. Keep On Dancing
「いいかみんな!」「楽しくやろうぜ」「踊り続けよう」2. Shang A Lang 3. Remember「今のは「リメンバー」次は新しいLPから「ギブ・ア・リトル・ラブ」」4. Give A Little Love 5. All Of Me Loves All Of You「ベイ・シティ・ローラーズは1967年スコットランドのエジンバラに生まれた。最初グループの名前はサクゾンズといった。1971年「キープ・オン・ダンシング」でレコード界にデビュー。1975年「バイ・バイ・ベイビー」の大ヒットで世界的に名前を知られるようになった。イギリスにおける彼らの人気は、かつてのビートルズに匹敵するほどである。」6. Let's Go 7. Disco Kid「LP「ローリン」から「エンジェル・エンジェル」」8. Angel Angel 9. My Teenage Heart ★対訳入り 10. La Belle Jeane ★対訳入り 「今度はアランが歌うよ」11. Rock 'n' Roll Honeymoon「次はウッディが歌います」12. When Will You Be Mine 13. Shout 14. Be My Baby★対訳入り 15. Summerlove Sensation★対訳入り
16. Saturday Night★対訳入り 訳詞:Campbell Gray 小松ふみ子 資料提供:山本チャッピー(37:42) Eden Studios September 1976 (Mike Mansfield Enterprise) Broadcast Date: 23rd July 1977 17. Rock 'N' Roller 18. Don't Worry Baby 19. Honey Honey 20. Dedication★対訳入り
21. Don't Stop The Music 22. Maybe I'm A Fool To Love You 23. Are You Cuckoo 24. Shanghai'd in Love★対訳入り 25. Let's Pretend★対訳入り 26. Saturday Night 27. Rock And Roll Love Letter 28. Bye Bye Baby エンドテロップ「1976年11月、イアン・ミッチェルがローラーズを脱退。代わりにパット・マッグリンが加入した。そして1976年12月彼らは初めて日本にやってきた。」
Disc 2(84:16) Young Music Show Broadcast Date: 8th January 1977 Live at NHK 101 Studio, Tokyo, Japan 19th December 1976 (44:29) 1. Introduction 2. Rock 'N' Roller 3. Rock And Roll Love Letter 4. Bye Bye Baby 5. Don't Worry Baby ★対訳入り 6. Too Young To Rock 'N Roll
7. Don't Stop The Music 8. Maybe I'm A Fool To Love You ★対訳入り 9. You're A Woman ★対訳入り 10. Yesterday's Hero 11. Money Honey 12. I Only Want To Be With You ★対訳入り 13. Saturday Night (10:14) 14. Interview in Tokyo (11th December 1976) 「独占登場!ベイ・シティ・ローラーズ」
ホテル・インタビュー レポーターは関○宏(33歳)(29:37) 15. N○K 特別番組 「若者たちは今~アイドルを追え」時刻は10:15と出る。(おそらく夜10:15-10:45放送の30分番組)12/11早朝 到着前の羽田空港からロケスタート。「前夜からファン1,000人が空港周辺に泊まり込んだ」
到着と同時に空港ロビー大パニック。阿鼻叫喚の全員ヒステリー状態。ファンクラブ「タータン・カンパニー」取材。入会希望者が殺到、電話で受付を断ってる。12/12 東京駅「名古屋5000人のファンが詰めかける」「前夜祭」「その夜、東京では公演を待ちきれないファン400人が前夜祭を開いた。」(フィルムに向かって手拍子と絶叫)ほぼ全員号泣してる「NHK控室・インタビュー」「101スタジオ」「ヤング・ミュージック・ショウ」「貴女はお小遣いは月に幾ら位もらってるの?」女の子「1750円・・細かいんですけど」(かわいい)「3000円」「2500円」「東京公演当日」移動バスに向かって狂乱「記者会見」ゴールド・ディスク授賞式「赤坂ホテル前」「親なんてどうでも良いの!」「ローラーズだけ!」「今日はテストだけど」2/20 武道館(東京最終公演)ファンの両親へのインタビュー(心配で武道館の外に来てる)失神したファンが警備員に抱きかかえられてる (→武道館の扉からスタッフ3人がかりで運び出される様子も映ってる)終演後、やっぱり全員うずくまって号泣してる 12/21帰国 PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.171min.(total)