怪物『ブラックアルバム』の天文学的ヒットで時代の象徴にまで登り詰めた90年代のMETALLICA。その現場が鮮やかに甦る超絶映像がリリース決定です。そんな本作に封じられているのは「1994年6月7日アレンタウン公演」。その超極上オーディエンス・ショットです。当店ではライヴアルバム『SHIT HITS THE SHEDS』が定番となっているショウですが、本作は映像作品。それも2台のカメラを駆使したマルチカメラ作品なのです。その気になるクオリティの前に、まずはショウのポジジョン。『ブラックアルバム』時代は丸3年間で5つのワールド・ツアーを実施し、「勉強の代わりに毎日ライヴをやる学校に入学して卒業するような感じだった」とまで言わしめた怪物ツアー時代。その模様は『LIVE SHIT: BINGE & PURGE』にはサンディエゴ公演とメキシコシティ公演も収録されていますが、ここでは感動の全体像からそれぞれの位置関係を整理してみましょう。《1991年8月12日『ブラックアルバム』発売》
*WHEREVER WE MAY ROAM Tour #1(1991年8月-1992年7月:162公演) ←※公式サンディエゴ*GUNS N' ROSES/METALLICA STADIUM Tour(1992年7月-10月:25公演/北米)*WHEREVER WE MAY ROAM Tour #2(1992年10月-12月:36公演/欧州)*NOWHERE ELSE TO ROAM Tour
(1993年1月-7月:77公演) ←※公式メキシコシティ《1993年11月23日『LIVE SHIT』発売》*SHIT HITS THE SHEDS Tour(1994年5月-8月:51公演/北米)←★ココ これが『ブラックアルバム』にまつわるツアーの全体像。『LIVE SHIT』のサンディエゴ映像がツアー序盤、メキシコシティCDが中盤だとすれば、本作のアレンタウン公演は終盤の“SHIT HITS THE SHEDS Tour”。その6公演目にあたるコンサートでした。そんなショウを目撃できる本作は、超絶景同士のマルチカメラ映像。普通、マルチカメラ物は極端に違う角度が混ざるものですが、本作に使用されている2台のカメラは、どちらも遮蔽物なしにステージ真正面を見すえた絶景。片方がやや左寄りというだけで角度も酷似しています。「じゃあマルチの意味がない?」と思いきや、そうではない。座席は近いものの、各シーンで注目しているメンバーがそれぞれ異なり、しかもガンガン果敢にズームで捉えている。これを現場感覚に喩えますと、双眼鏡で各メンバーのドアップを見たり、裸眼で見た全景が混じったりする感じ。マルチカメラならではの視界が変わる旨みと、オーディエンスらしい体験感が上手い具合に融合しているのです。さらに素晴らしいのは、超極上のサウンド。もうピンと来た方もいらっしゃるでしょうが、これは名盤『SHIT HITS THE SHEDS』がシンクロされている。あの名作を体験されていない方のために言葉にしますと、この録音はタイトル通り“SHIT HITS THE SHEDS Tour”を代表する名作。卓直結サウンドボードばりの力強さとFM放送のような端正さを併せ持ち、思わず「livemetalica.comって1994年にあったっけ?」と思ってしまうほどオーディエンス離れした極上サウンドなのです。そんな絶景&極上クオリティで描かれるのは、1994年ならではのフルショウ。ここではお馴染みサンディエゴ公演の公式映像と比較しながらセットを整理してみましょう。クリフ・バートン時代(8曲+α)・血染めの鉄鎚:Seek & Destroy/Whiplash
・ライド・ザ・ライトニング:For Whom the Bell Tolls/Creeping Death/Fade to Blac・メタル・マスター:Master of Puppets/Welcome Home (Sanitarium)/Disposable Heroes(★)・その他:Kill/Ride Medley(★)ジェイソン・ニューステッド時代(9曲)
・メタル・ジャスティス:Harvester of Sorrow/One・ブラックアルバム:Wherever I May Roam/The God That Failed(★)/Nothing Else Matters(★)/Sad But True/Enter Sandman・カバー:Breadfan(★)/So What!(★)※注:「★」印はサンディエゴの公式映像で見られなかった曲。
……と、このようになっています。ひと口に「ブラックアルバム時代」とは言ってもサンディエゴ公演からは2年半が経ち、セットも様変わり。「Breadfan」でのスタートも1994年らしいですし、クリフ時代はほとんど演奏しなかった「Disposable Heroes」や「The God That Failed」といった曲も新鮮。「Justice Medley」に代わる「Kill/Ride Medley」も登場しています。そして、そんなセットを綴るパフォーマンスも1994年印。世界中のスタジアムを巡りまくった末にたどり着いたアンサンブルは、ダイナミズムの極地。当時は「ルーズ」「グルーヴ」といったワードで語られましたが、リフの一発一発を観客の肝臓に打ち込むように演奏し、ヘヴィネスも重苦しいのではなく重厚の「重」。そして、メンバーの姿も大物の風格が凄い。ジェイソンだけはすでに短髪ですが、あくまでメタリックな出で立ちがえらくカッコイイのです(ちなみに2ヶ月後のウッドストック出演辺りから徐々にカークがお洒落(?)に目覚め始めます)。超ビッグ・超ヘヴィ・超ダイナミック……だけれども、骨の髄までヘヴィ・メタリック。そんな“SHIT HITS THE SHEDS Tour”を特等席から独り占めできる極上の映像作品です。マルチカメラだから見飽きないし、視点が近いから現場の体験感も満点。そんな奇跡のような1本。
Live at Fairgrounds, Allentown, PA, USA 7th June 1994 AMAZING SHOT (w/ULTIMATE SOUND)
Disc 1(71:42) 1. The Ecstasy Of Gold 2. Breadfan 3. Master of Puppets 4. Wherever I May Roam 5. Harvester of Sorrow 6. Welcome Home (Sanitarium) 7. The God That Failed 7 8. Kill / Ride Medley 9. For Whom the Bell Tolls 10. Disposable Heroes 11. Seek & Destroy
Disc 2(60:56) 1. Guitar Solo 2. Nothing Else Matters 3. Creeping Death 4. Fade to Black 5. Whiplash 6. Sad But True 7. One 8. Enter Sandman 9. So What! COLOUR NTSC Approx.133min.