一大エンターテインメント・ショウでロック・コンサートの基準を刷新してしまった“ZOO TV Tour”。ミラーボール・マンも登場する1992年編を目撃できる傑作映像がリリース決定です。そんな本作が撮影されたのは「1992年8月16日ワシントン公演」。そのマルチカメラ・プロショットです。“ZOO TV Tour”の映像と言えば、真っ先に公式作『ZOO TV: LIVE FROM SYDNEY』が浮かびますが、もちろん本作は別公演。互いの位置関係を知る意味でも、まずはワールドツアーの全景から振り返ってみましょう。1992年・2月29日-4月23日:北米#1(32公演)・5月7日-6月19日:欧州#1(25公演)
・8月7日-11月25日:北米#2(47公演)←★ココ★ 1993年・5月9日-7月3日:欧州#2a(20公演)《7月5日『ZOOROPA』発売》・7月6日-8月28日:欧州#2b(23公演)・11月12日-12月10日:オセアニア/日本(10公演)←※公式映像 これが1992年/1993年のU2。一連のツアー中に『ZOOROPA』の制作・発表も挟まったわけですが、公式映像はそうした活動の最終盤であった「オセアニア」レッグの記録。それに対し、本作のワシントン公演はまだ『ZOOROPA』の制作前だった「北米#2」の5公演目にあたるコンサートでした。そんなショウは以前からプロショットが残された事でも知られる定番ですが、本作は近年になって登場し「ベスト・クオリティ!」と話題になったVHSマスターからダイレクトにデジタル化された最高峰版です。実際、その映像美は絶大。もちろん画質にアナログ感は否めないために現代基準で「完全オフィシャル級!」と喧伝するかは迷うものの、当時基準であれば一瞬も迷わない。しかも、マスター鮮度も素晴らしく、白線ノイズや走行ヨレもダビング痕もほとんど見られず、発色も艶やかなのです。その映像美で描かれるのは、公式作『ZOO TV: LIVE FROM SYDNEY』とは異なる1992年編だからこそのショウ。まず何と言っても『ZOOROPA』ナンバーが一切ないセットからして異なりますので、ここで比較しながら整理しておきましょう。アクトン・ベイビー(9曲)・Zoo Station/The Fly/Even Better Than The Real Thing/Mysterious Ways/One/Until The End Of The World/Tryin' To Throw Your Arms Around The World/Ultraviolet (Light My Way)(★)/Love Is Blindness
ヨシュア・トゥリー(5曲)・I Still Haven't Found What I'm Looking For(★)/Bullet The Blue Sky/Running To Stand Still/Where The Streets Have No Name//With Or Without You その他(7曲)・WAR(闘):New Year's Day/Sunday Bloody Sunday(★)
・?:Bad(★)/Pride (In The Name Of Love)・魂の叫び:Angel Of Harlem/Desire・カバー:Satellite Of Love(ルー・リード) ※注:「★」印は『ZOO TV: LIVE FROM SYDNEY』で観られない曲 ……と、このようになっています。レアな復活曲やカバーの類は少なく、「I Still Haven't Found What I'm Looking For」「Sunday Bloody Sunday」「Bad」といった必殺のクラシックスが増量されている。もちろん、それが悪かろうハズもなく、より一層豪華なショウでもあるのです。そして、ステージ演出。いろいろと違いもありますが、一番はアンコール。“ZOO TV Tour”と言えばボノが扮する破天荒キャラ「マクフィスト」が有名ですが、本作はその誕生前。ここでは前身キャラとも言うべき「ミラーボール・マン」が登場し、銀ラメ・スーツとカウボーイ・ハット姿で熱唱するのです。このキャラはエルヴィスをベースにしながらテレビ伝道師、興行師、車のセールスマンなどを混ぜ合わせたキャラで、アメリカ南部訛りでホワイトハウスにイタズラ電話をかけまくる。そのパフォーマンスをマルチカメラ・プロショットで楽しめるわけです。アルバムとツアーの相乗効果で急速進化していった『ACHTUNG BABY』&『ZOOROPA』時代。公式作『ZOO TV: LIVE FROM SYDNEY』がその一大集大成とするなら、本作は途中経過でもある1992年編です。『ZOOROPA』へと昇華するバンド・ポテンシャルも眩しいショウを楽しめる映像傑作。Robert F. Kennedy Stadium, Washington, DC, USA 16th August 1992 PRO-SHOT
1. Intro [Televison The Drug Of The Nation] 2. Zoo Station 3. The Fly 4. Even Better Than The Real Thing 5. Mysterious Ways 6. One / Unchained Melody 7. Until The End Of The World 8. New Year's Day 9. Tryin' To Throw Your Arms Around The World 10. Angel Of Harlem
11. I Still Haven't Found What I'm Looking For 12. Satellite Of Love 13. Bad 14. Sunday Bloody Sunday 15. Bullet The Blue Sky 16. Running To Stand Still 17. Where The Streets Have No Name 18. Pride (In The Name Of Love) 19. Encore Break [Zoo TV Confessional]
20. Desire 21. Ultraviolet (Light My Way) 22. With Or Without You 23. Love Is Blindness PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.118min.