21世紀を迎えるとオアシスは日本でもっともポピュラーな洋楽アーティストの地位を獲得していました。2000年から2002年までは三年連続で日本を訪れてくれましたし、また2002年以降は一年に二度来日するというペースが確立されたほど。この年の来日と言えば9月から10月にかけて大規模なジャパン・ツアーが行われ、CDで「YOYOGI 2002 1ST NIGHT: DAT MASTER」に「YOYOGI 2002 FINAL NIGHT」、そして高音質音源「TOKYO 2002 2ND NIGHT」がリリースされてまいりました。しかし2002年最初の来日と言えば東京で行われたイベントで一夜限りのギグを行った5月だったのです。おまけに当時のニューアルバム「HEATHEN CHEMISTRY」がまだリリースされていないというタイミングでもあったという。このイベントはケーブルテレビの放送局も絡んでいたことから撮影され、オアシスのステージのすべてが放送。他にも出演者がいたイベント・ライブであり、なおかつ彼らの演奏時間も45分足らずというものであったことから全曲放送という栄誉を授かったのでした。ここで披露されたレパートリーは半分以上が発売を目前に控えた「HEATHEN CHEMISTRY」収録曲であり、放送はアルバムのリリース後であったことから、なおさら新曲を押した攻めのセットリストになったのだと思われます。もっとも同アルバム収録曲のいくつかはネットを介してリリース前にラフミックスがリークしてしまうという21世紀らしいハプニングが起きており、ここでも新曲に対して好反応を見せた日本のオーディエンスに対してノエルが訝し気なコメントを発している(「何で知ってるんだ?」)場面も当時の事情を反映したものだったのです。それにしても新曲をメインにしてくれたことで、45分足らずのステージながら演奏内容が見事にこの年の予告編の役割を果たしてくれている。おまけにツアーが本格始動する前ですので、例えば「Hung In A Bad Place」などは後のライブバージョンと比べてリアムの歌声が少し高く響いてくるのが今となっては新鮮。それにアリーナや野外フェスの広大な会場と違い、本イベントは少しサイズの大きいライブハウス…といった趣の会場で行なわれましたので、ツアー本編と比べても明らかにリラックスした雰囲気で演奏を披露している様子が伝わってきます。このツアーを代表するレパートリーでもあった新しいアレンジの「Some Might Say」でリアムが歌詞を間違えそうになるとノエルが彼に向かって笑顔を見せるというのもツアー本番とは違った余裕のなせる業かと。その微笑ましい場面の表情がはっきり伝わってくるのも、一重にこの映像の画質の素晴らしさ。そのクオリティは非常にレベルが高く、放送からほぼ20年が経過した現在の目で鑑賞してもまったく遜色ないほど鮮明なもの。それでいてツアー本編での収録だった9月の代々木(この時も同じ局がオンエアしましたね)とライブの雰囲気がまるで違うので、好評「YOYOGI 2002 FINAL NIGHT」の初回納品分DVD-R「THE VIDEO」と見比べるのも面白いでしょう。そしてボーナス映像では限定配布されたイベント当日のドキュメントDVDからオアシスの場面だけを抜粋。同じイベントに出演していたラッパー、Jay-Zと楽屋で記念撮影する場面なども当時らしくて微笑ましく、またオアシス自体の会場到着や楽屋の雰囲気も非常にリラックスしたものであり、それ故にあのような和やかな演奏が披露されたのだと納得させられる貴重映像まで網羅。9月の代々木と比べて忘れ去られてしまった感のある2002年最初の来日ギグを完璧な画質と音質(当然YouTube上で見られるものよりクリアー!)"MTV THE SUPER DRY LIVE", Zepp Tokyo, Tokyo, Japan 23rd May 2002 PRO-SHOT (45:41)
1. Intro 2. The Hindu Times 3. Hung In A Bad Place 4. Better Man 5. Force Of Nature 6. Little by Little 7. Whatever (Acoustic) 8. D'You Know What I Mean ? 9. Some Might Say 10. Backstage Documentary
Liam Gallagher - vocals, tambourine Noel Gallagher - guitar, vocals Gem Archer - guitar Andy Bell - bass Alan White - drums PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.46min.