オアシスのライブ史にあって、これほどまで初日と二日目で内容がまったく異なってしまったギグというのもそうそうないのでは…と思える迷演が2000年ウェンブリー・スタジアム。初日は後の「FAMILIAR TO MILLIONS」各種オフィシャル・リリースが実現しましたが、二日目に関してはリアタイでのテレビ放送が実現しています。よって2000年のウェンブリー二日間はそれぞれにプロショット映像が存在している訳ですが、二日目はリアムが泥酔した上でステージに現れ、しかもそれがテレビで放送されてしまうという、今では考えられないような事態となりました。先のオフィシャル・リリース時にノエルが「どちらの日を使うかなんてまったく迷わなかった…二日目はひどかったからね」と発言したように、二日間がまるで違う演奏内容となってしまったのです。まず2000年のツアー自体がオアシスのキャリアの中で見過ごされがちな時期であったことはCD「MARSEILLES 2000」のリリース時にも述べた通りですが、ウェンブリーに関しても初日が先のタイトルでリリースされたことで二日目に関してはテレビ放送されたにも関わらず、現在ではすっかり入手困難な映像と化してしまいました。テレビ映像ということから一応YouTube上でも見られるものの、極度に圧縮されたバージョンで画質の劣化が半端ない。また近年トレーダー間に出回った「2ND NIGHT IN A SHIT HOLE」はYouTubeのそれよりはるかに上質だったものの、代わりに音声がモノラルという大きな欠点を抱えていました。しかし今回イギリスのオアシス研究家から提供いただいたのは「2ND NIGHT~」より画質が良いのはもちろん、何より音声がちゃんとステレオで収録されているバージョン。まだ録画メディアがVHSの時代の放送でしたので、今回のバージョンも現在のデジタルのレベルからすると若干ながら粗い画質ではあるものの、それでもYouTubeや「2ND NIGHT~」とは比べ物にならない見やすさ。先の理由からYouTube上でもまともなバージョンがなかっただけに、今となってはこの映像を見たことがない…という方も少なくないのでは。こう言っては何ですが、何しろ前日とまるで雰囲気が違うので見どころの連続。リアムがどうしてここまで酔った状態でステージの登場したのか理由は定かではありませんが、登場するなりこのスタジアムがライブ・エイドの舞台となったことを思い出したのか「ボブ・ゲルドフ!ファッキン・シンプル・マインズ!」とまくしたてるテンションの高さ。それでいて相当にぐでんぐでんな歌いっぷりが「Who Feels Love?」辺りから加速、また歌詞を飛ばしてしまう箇所まで散見されるほど。なるほどノエルが「どの日を採用するか迷わなかった」というのも当然かと。おまけにリアムは演奏中も歌のないパートですらマイクに向かってまくしたてており、大人しくしているという事がない。「Gas Panic!」辺りから本格的にノエルに絡みだし、それをいかにも面倒臭い表情を浮かべる彼の表には爆笑。ところがリアムは酒の勢いもあってひるまず、遂には「Cigarettes & Alcohol」の前でノエルにキスしてみせるという(会場は大歓声が起こります)。以降はMCもまるで兄弟漫才の様相。アンコールになってもリアムは引っ込まず、他のメンバーが再び登場したのを見計らって引っ込むという有様。それでもリアム以外のメンバーはあくまでプロフェッショナルに徹して演奏に没頭、観客も盛り上がるなど、それぞれがバラバラな振る舞いの空間と化しながらもライブとして成立しているのがまた面白い。とにかく最後までハイテンションで振り切れたリアムのふるまいが前日とはまるで別人。「Shakermaker」のエンディングではブルースハープを吹く仕草をみせるなど、本当に意味不明な(笑)アクションと発言の連続。それ故に二日連続でここまで内容の違うライブがプロショット映像で記録され、なおかつ放送されたとは何と大らかな時代でしょうか。反面それだけ酔っていたリアムのルックスが凛々しいというのもこの年ならではであり、最後まで波乱万丈だった2000年ツアーを象徴するようなツッコミどころ満載の迷演を捉えたプロショット映像が画質も音声もベスト・バージョンにて登場です!Wembley Stadium, London, UK 22nd July 2000 PRO-SHOT
1. Intro 2. Fuckin' In The Bushes 3. Go Let It Out 4. Who Feels Love 5. Supersonic 6. Shakermaker 7. Acquiesce 8. Step Out 9. Gas Panic 10. Roll With It 11. Stand By Me 12. Wonderwall 13. Cigarettes And Alcohol 14. Don't Look Back In Anger 15. Live Forever 16. Hey Hey My My
17. Champagne Supernova 18. Rock 'n' Roll Star 19. Outro 20. End Credit Liam Gallagher - vocals, tambourine Noel Gallagher - guitar, vocals Gem Archer - guitar Andy Bell - bass Alan White - drums PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.108min.