日本武道館ライヴが実現した事でも思い出深い2003年の来日公演。あの熱狂を真空パックした大傑作TVプロショット集が登場です。本作に収められているのは、当時の日本で放送されたさまざまなストーンズ特番。当店お馴染みの記録マニアによる秘蔵マスターから傑作番組を選りすぐって編集された映像作品で、約94分に渡って“LICKS Tour”漬けになれる超極上プロショットなのです。そんな本作のメインは2つの大特集。早速、個別にご紹介してきましょう。【ニュース番組の大特集『現地取材・“40年後の不良少年”』(約27分)】まず登場するのは、故筑紫哲也氏が看板を務めていたニュース番組による特集コーナー『現地取材・“40年後の不良少年”』。ニュースだけでなくさまざまな特集を組む番組でもありましたが、ストーンズには破格の大特集を放送していました。この特集は、質・量の両面で凄い。まず「量」ですが、ほとんど1つの番組に匹敵する約30分もの時間をかけてくれる。そして「質」ですが、ほぼほぼ番組オリジナル。PVや60年代/70年代のライヴ映像など一部アーカイヴ映像も使われていますが、当時の最新ライヴ(2003年1月21日シカゴ公演)やインタビューなど、ほとんど流用なしで組まれている。しかも、そのライヴ映像には番組独自の歌詞対訳まで付く念の入れよう。1曲フルで演奏することはありませんが、お馴染みの歌詞が独特な口調で日本語されるのが面白いのです。さらに凄いのは特集のメインである独自インタビュー。普通、日本番組と言ったら「好きな食べ物は何ですか?」「日本の女の子とは好きですか?」のようなアホ質問が浮かんでしまいますが、さすが国民的ニュース番組。音楽的な質問もしつつ、それだけはなく多岐に渡る話題で魅せるのです。例えば「お金」。“LICKS Tour”開始にあたって動機やコンセプトを聞いていくのですが、その中で立案や運営にも踏み込み、いかにビッグ・ビジネスであるか、ミックがいかにすべてを掌握しているか等、普通の芸能番組ではあり得ない話を次々と引き出すのです。チャーリーが「お金は目的のひとつさ」「ビジネス契約を結ぶとき、果てしない会議が続く。そのときミックがスタッフを集めてあらゆることを取り仕切るんだ」と証言し、そのミックは「アーティストだからってビジネス面を無視するのはバカさ」とビジネス・マンの顔を見せる。そして素晴らしいのは、お金の話題だからと言って下世話にはならいこと。例えば「メンバーを結ぶきずなとは?」との質問にミックは「それはとてもはっきりしている。『成功』がメンバーを結びつけてるのさ。『失敗』はメンバーをばらばらにする。神秘的な答えではないが、それが真実さ」と過去の経験を噛みしめるように話す。もちろん、普通なら「絆は?」の質問からいきなりこんな赤裸々な答えになるはずがない。番組では美味しいシーンだけを編集しているわけですが、ここまでの赤裸々なコメントを引き出す流れ上がったはず。さすが国民的ニュース番組のインタビュー能力。その凄みをさらりと見せつけるのです。さらにニュース番組ならではなのが世界情勢について。当時は目の前にイラク戦争の開戦が迫っており、空気感がヒリヒリとしていた。なんでストーンズに聞こうと思ったのかはさておき、その回答が絶妙すぎるのです。例えば、キースは同時多発テロを機にキナ臭くなった世情に対して「アメリカ人は冷静さを失っているね。でも僕らイギリス人は爆撃を受けたんだ。攻撃を受けるのは特別なことではない。おれは“アメリカよ現実へようこそ”と言いたいね」と一刀両断にする。その一方でミックは「アメリカはイラクの政権を交代させる理由を十分説明していない」「もしも攻撃すれば、この地域(中東)のためにアメリカは長いフォローが迫られる」と警告を発している。結局イラクに多量破壊兵器がなかった事やその後の混乱も知っている現在の私たちには、まるでミックが予言者のように見えるのです。また、そんな2人に対してロンは「みんな戦争なんてやめればいいのに。戦争ではなく音楽を作ろう」と60年代そのままに呼びかける。単に小難しい話題をしゃべらせたいわけではなく、三者三様の人となりをしっかりと炙り出しているのです。他にも長く続けられる秘訣や生々しいドラッグ/アルコール問題など、枚挙に暇がない。超社会派視点でストーンズを切るとこうなるのか……という特濃の大特集なのです。【来日直前特番『Keep On Rolling Stones』(約52分)】さて、特濃な社会派特集の次に登場するのは、普段ノリ(?)の来日エンターテインメント特番。某民放局による『Keep On Rolling Stones』です。こちらは約50分の尺が素晴らしく、当時の最新ライヴ「2003年2月8日ラスヴェガス公演」のマルチカメラ・プロショットや独自インタビュー、さらにはお気楽なコーナーの数々で楽しく来日の期待を煽っています。長い放送枠を活かしたライヴ映像は美味しいですし、インタビューも見応えたっぷり。前半のニュース番組が強烈すぎるのでコメントが普通だったりしますが、ロンにTHE FACES来日の想い出を語らせるなど、決してマヌケではなくツボを押さえています。そんな独自取材こそが貴重で番組の命なのですが、実は一番面白いのは合間合間に挿入されるミニ・コーナー。映像的には貴重度ゼロなのですが、ファン心理丸出しの企画力が楽しいのです。例えば、「ストーンズのここがスゴイ」。100億円を超えるツアー興収で凄みを語ったかと思えば「アルバム24枚中プラチナが18枚だからプラチナ打率7割5分!」とナゼか打率で喩える。さらにミックやキースと同世代な日本人として小泉首相(当時)を持ち出したり、前座バンドの遍歴を並べて「こんなスター達を従えたストーンズ」像を描き出す。他にも「日本公演セットリスト予想」「名曲ダイジェスト」など、曲をネタにスタッフも素で楽しんでいるのがよく分かる。そして、極めつけなのが「ストーンズグッズお宝鑑定団」。初代ファンクラブ会長だったあの方が登場し、激レアグッズをランキング形式で紹介してくれる。スタッフ所有のグッズがショボくて微笑ましかったり、本当のお宝(デビューシングル盤『Come On』やブライアン・ジョーンズのサイン入りパンフ等々)の激レア度が強烈だったり、思い入れ先行のランキングに愛を感じたり……と、とにかく心くすぐられる名コーナーなのです。【その他、日本公演CMやワイドショー】2つの長尺特集だけでなく、本作には日本公演を喧伝するテレビCMやリアルタイムで放送されていたワイドショーなども多数収録しています。特に面白いのは、朝のワイドショー。成田空港に到着した際の騒ぎを取材したコーナーが2種、歴史的な日本武道館が5種、その後の横浜公演が1種と、合計8種ものコーナーが極上クオリティで見られます。まあ、さすがにワイドショーですからノリは“ザ・ゲーノー界”。特に民放Fテレビは超軽量でして、「多角的に検証!」と銘打って何をするのかと思ったらファンのプレゼントは花束が多いとか、ボディガードのスキンヘッドが目立つとか、死ぬほどどうでもいい話に終始。ライヴ会場にどんな芸能人が来たとか、日本語MCのミスを指摘する字幕「ハジマ(メ)テヨコハニコレテウレシイ!!」を付けたり……とまぁ、いつもの地上派ノリ。しかし、その合間や背景で映し出されるのは日本武道館や横浜公演のマルチカメラ・プロショット。すべてが歴史になっていくであろう光景なのです。以上、多種多様なお宝映像が大集成された約94分の映像傑作です。国民的ニュース番組によるクレバーな濃厚特集やファン気質丸出しの長尺特番。そして、リアルタイム感が噴き出すワイドショー。あらゆる視点で2003年来日の衝撃を活写したドキュメンタリーであり、類い希なる個性的な超娯楽大作。まさに日本発の名作映像、どうぞ胸いっぱいにお楽しみください。2003年の来日にまつわる様々なTVプロショットを集成した映像傑作。メインとなるのは国民的ニュース番組による特集コーナー(約30分)と来日直前の特番(約50分)。前者は独自インタビューでイラク戦争や9.11テロ、ドラッグなどの切り口でメンバーの素顔に切り込む社会派で、後者はお宝グッズや来日セット予想など、ファンならではの企画コーナーも楽しいエンタメ特番。さらに当時のワイドショーなどもタップリ収録。約94分に渡って2003年来日の衝撃を活写したドキュメンタリーであり、類い希なる個性が輝く超娯楽大作です。(93:32)
Chicago Report 2003【ニュース番組の大特集『現地取材・“40年後の不良少年”』(約27分)】Interviews (Hotel Ritz, Chicago 20th January 2003) Live Reports (United Center, Chicago 21st January 2003) 1. Opening. Intro 3. United Center, Chicago 21st January 2003
4. You Got Me Rocking (Live)(独自対訳)5. Interviews with Mick Jagger, Charlie Watts, Ronnie Wood & Keith Richards 6. Don't Stop (Live)(独自対訳)7. Intro 8. Interviews with Mick Jagger, Ronnie Wood & Keith Richards タイトル「ミックが語るイラク攻撃」当時は目の前にイラク戦争の開戦が迫っており、空気感がヒリヒリとしていた。なんでストーンズに聞こうと思ったのかはさておき、その回答が絶妙すぎるのです。例えば、キースは同時多発テロを機にキナ臭くなった世情に対して「アメリカ人は冷静さを失っているね。でも僕らイギリス人は爆撃を受けたんだ。攻撃を受けるのは特別なことではない。おれは“アメリカよ現実へようこそ”と言いたいね」と一刀両断にする。その一方でミックは「アメリカはイラクの政権を交代させる理由を十分説明していない」「もしも攻撃すれば、この地域(中東)のためにアメリカは長いフォローが迫られる」と警告を発している。結局イラクに多量破壊兵器がなかった事やその後の混乱も知っている現在の私たちには、まるでミックが予言者のように見えるのです。また、そんな2人に対してロンは「みんな戦争なんてやめればいいのに。戦争ではなく音楽を作ろう」と60年代そのままに呼びかける。単に小難しい話題をしゃべらせたいわけではなく、三者三様の人となりをしっかりと炙り出しているのです。
9. Wild Horses (Live) 10. Interviews with Ronnie Wood, Mick Jagger, Charlie Watts & Keith Richards 11. CM for Tokyo Dome (15th & 16th Marc 2003) 12. Cm for Budokan (10th March 2003) Las Vegas Report 2003【来日直前特番『Keep On Rolling Stones』(約52分)】
Exclusive Interviews & Reports from MGM Grand Garden, Las Vegas 8th February 2003 13. Intro 14. Start Me Up (Live) 15. CM for Yokohama Arena (12th March 2003) 16. Interviews with Ronnie Wood 18. Interview with Keith Richards & Mick Jagger 19. Don't Stop (Live)
Licks Japan Tour 2003 TV Reports 20. Programme #1 (Airport) 21. Programme #2 (Airport) 22. Programme #3 (Budokan) 23. Programme #4 (Budokan) 24. Programme #5 (Budokan) 25. Programme #6 (Budokan) 26. Programme #7 (Budokan) 27. Programme #8 (Yokohama) 「ハジマテヨコハマニコレテウレシイ!!」テロップ PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.94min.