アルバムの大ヒットだけでなく、この10年で最大級のツアーでもあった“TRACKER Tour”。その現場を極上体験できる映像傑作が登場です。そんな本作に収められているのは、海外マニアが制作した2種のオーディエンス・ショット。「2015年6月2日+3日パリ公演」のマルチカメラ映像をDISC 1に、「同年7月18日パドバ公演」のフル映像をDISC 2に配した2枚組です。同じツアーのオリジナル録音『ROYAL ALBERT HALL 2015』も同時リリースとなりますので、まずは当時のスケジュールからそれぞれのポジションを把握しておきましょう。《3月16日『TRACKER』発売》・3月25日+27日:欧州#1(2公演)・4月15日:アムステルダム公演・5月12日ー26日:英国(10公演) ←※ROYAL ALBERT HALL 2015・5月28日ー6月21日:欧州#2(19公演)←★本作DISC 1★・7月4日ー31日:欧州#3(21公演) ←★本作DISC 2★・9月10日ー10月31日:北米(38公演) これが2015年のマーク・ノップラー。ツアーは母国イギリスから始まったわけですが、その後に大陸ヨーロッパへと進出。パリ公演はその前半である「欧州#2」の5&6公演目、パドバ公演は後半「欧州#3」の12公演目にあたるコンサートでした。そんなショウで記録された2種の映像は、個性もまったく異なる。それでは、個別にご紹介していきましょう。【DISC 1:パリ2日間から組み上げられたマルチカメラ映像】まず登場するのは、昨今人気のマルチカメラ編集作。パリは同会場2夜連続公演だったわけですが、その両公演から生まれたさまざまなオーディエンス・ショットを組み上げられているのです。曲によってはほとんどワンカメのこともありますが、多彩なアングルが次々と入れ替わり、視点の変化で飽きさせない映像作品になっています。そのため「角度が○○」「距離が◇◇」と言いきることが出来ないわけですが、総じて絶景。遮蔽物が一切なく、手ブレもほとんどない光景が延々と続きます。それもマルチカメラ作の醍醐味。派手に視点が変わるスイッチングのダイナミズムに注目されがちですが、実は各映像の「失敗シーン」を削れるところが美味しい。カメラワークに失敗してソロを外してしまったり、急いで向いたらフレームアウトしたり、なんとか追いついたけれどブレブレになってしまったり……。そんな瞬間を省けるわけです。実のところ、本作の編集方針は「目まぐるしく切り替わる」よりも「良いカットをじっくり見せる」という感じ。上手く撮れたシーンだけで見続ける醍醐味をたっぷり味わえるのです。そして、マルチカメラ作品と言ったら音声も重要。これがもう、超強力。「まるでサウンドボード」を地で行く……と言いますか、これはもうサウンドボードでしょう。何しろ、“TRACKER Tour”はほとんど全公演の公式サウンドボードがダウンロード販売された。制作したマニアは公表していませんが、その公式サウンドボードを使用していると思われます。【DISC 2:超特等席からパドバ公演を絶景体験できるフル映像】変わってのDISC 2は、真逆の超リアル感が眩しい名作映像です。DISC 1はさまざまな素材から組み上げていましたが、こちらは1台のカメラで一発録り。正道ド真ん中のオーディエンス・ショットなのです。しかし、そのクオリティはDISC 1をも凌駕。画質・音質・アングル……すべてが強烈なのです。アングルはステージやや左よりで、恐らく最前列。視界に前方客がまるで入らないですし、マークを見上げる角度も最前列っぽい……と言いますか、ほとんどカメラピットから撮影したプロショットの1アングルという感じです。ただし、プロショット感がまるでないのはカメラワーク。マイクの前に立つマークを画面中央に収めたまま、ほとんど動かない。もちろん、マークが歩き回れば追いかけますし、メンバー各人のソロ等では振る事もある。しかし、ズームやカメラ自身の動きでダイナミズムを演出するようなことはしない。ただ淡々とマークを見つめる感じの映像なのです。「なんだかつまらなさそう」と思われるかも知れませんが、そうならないのは強烈なまでの映像美と安定感。カメラワークは動けば動くほど派手ですが、この撮影者はそうした「欲」に囚われず、技術や良席を見せびらかす「見栄」を捨てている。ただただ職人的にビシッと安定感を追求しているからこその映像美がたまらないのです。そして、そうした映像だからこそ強く味わえるのが「体験感」。ショウの現場にいれば、アクロバティックな視点の変化などあるはずもなく、主役のマークをじっくりと見つめながら素晴らしい演奏に浸りきるはずです。この映像は、その「体験感」を最上クオリティで実現してくれる。しかも、音声も超リアルなオーディエンス・サウンド。DISC 1が(恐らく)公式サウンドボードだったわけですが、続けて観ても負けないほど超・極上。猛烈クリア&ダイレクトでありつつ、サウンドボードでは絶対にあり得ないナチュラルな体験感をたっぷり味わわせてくれる。マルチカメラ作品の方が人気が出やすい昨今ではありますが、「オーディエンスだからこその旨み」を濃縮したこちらの方こそ、強くお薦めしたい。それほどまでの名作映像なのです。個性も両極端な2つの映像で描かれるのは、素晴らしき“TRACKER Tour”のフルショウ。セットも異なっていますので、最後にまとめて整理しておきましょう。両日の共通曲・80年代:Sultans Of Swing/Romeo & Juliet/Telegraph Road/So Far Away/Going Home・2000年以降:Speedway at Nazareth/Hill Farmer's Blues/Marbletown/Corned Beef City/Privateering/Broken Bones パリ公演(DISC 1)だけの曲・Our Shangri-La/Kingdom Of Gold/I Used To Could/Skydiver/Mighty Man/Wherever I Go パドバ公演(DISC 2)だけの曲・Your Latest Trick/Father and Son/She's Gone/Postcards From Paraguay/Haul Away海外マニアが丹念に作り込んだマルチカメラ映像作DISC 1と、一期一会のオーディエンス・ショットの旨みを最高峰クオリティで体現して見せたDISC 2。どちらも現代だからこそ味わえるコンサート映像の大傑作。
Le Zénith, Paris, France 2nd & 3rd June 2015 AMAZING SHOT!!! Piazzola sul Brenta, Padova, Italy 18th July 2015 AMAZING SHOT!!!
Disc 1(122:02) Le Zénith, Paris, France 2nd & 3rd June 2015 1. Intro 2. Broken Bones 3. Corned Beef City 4. Privateering 5. Hill Farmer's Blues 6. Kingdom Of Gold 7. Skydiver 8. I Used To Could 9. Romeo And Juliet 10. Oe Oe Oe 11. Sultans Of Swing 12. Mighty Man 13. Marbletown
14. Speedway At Nazareth 15. Telegraph Road 16. So Far Away 17. Our Shangri-La 18. Wherever I Go 19. Going Home: Theme Of The Local Hero
Disc 2(113:43) Anfiteatro Camerini, Piazzola sul Brenta, Padova, Veneto, Italy 18th July 2015 1. Broken Bones 2. Corned Beef City 3. Privateering 4. Father And Son 5. Hill Farmer's Blues 6. Romeo And Juliet 7. Sultans Of Swing 8. Haul Away 9. She's Gone 10. Your Latest Trick
11. Postcards From Paraguay 12. Marbletown 13. Speedway At Nazareth 14. Telegraph Road 15. So Far Away 16. Going Home: Theme From Local Hero COLOUR NTSC Approx.236min.(Total)