HR/HM黄金時代に開かれた最後の伝説フェスとも言われた「ロシア版MONSTERS OF ROCK」。その象徴映像が最高峰クオリティで復刻です。【幻の廃盤オフィシャル映像を史上最高峰クオリティでDVD化】そんな本作が撮影されたのは「1991年9月28日モスクワ公演」。そのマルチカメラ・プロショットです。このショウにはAC/DCをヘッドライナーに、METALLICA、THE BLACK CROWES、PANTERAが参加。さらに地元バンドE.S.T.も含めた全5組が出演しました。その模様はオフィシャル収録され、各バンドの公式ライヴアルバムやシングルにも採用。つい先日もMETALLICA『BLACK ALBUM』のデラックス・エディションに完全版ライヴアルバムが収録され、話題となりました。本作は、そんなオフィシャル品の中でも映像編となるもの。出演した5組の13曲をフィーチュアしたプロショット作品『FOR THOSE ABOUT TO ROCK: MONSTERS IN MOSCOW』をDVD化した1枚です。この映像作は1993年にVHSやレーザーディスクでリリースされつつ、すぐに廃盤。現在に至るまでDVD化されていない。本作は、そんな秘宝映像でも最高峰クオリティとなる日本盤LDから復刻。ミント・クオリティ盤を海外の専門メーカーに委託して精緻にDVDに移し替えたのです。さまざまな廃盤映像をLDから復刻しており、その品質の高さはすでにご存知のことと思います。時には、公式DVDが出たらマスター・テープが経年劣化していて当店のLD起こしの方が美しかった……というケースもあるほどの映像美。本作でもその精度は健在です。【軍隊まで導入された混沌の超巨大フェスの実録】画質・音質は「完全オフィシャル級」「史上最高峰」とだけご理解頂き、内容に移りましょう。本作には5組・13曲が収録されており、それぞれが貴重なプロショットなのですが、実はそれだけでありません。現場となった「ロシアの現実」が強烈なのです。その意味をご説明するには、イベントの背景をご紹介せねばなりません。少々長くなりますので、軽く読み飛ばしてください。“MONSTERS OF ROCK”と言えば、1983年に西ドイツ版が開催されて以降、年々拡大して欧州全土を巡るフェスティバル・ツアーへと成長してきました。そして、冷戦終結の1991年には遂に共産圏の本丸ロシアへ進出したのです。しかし、このモスクワ大会は他国版とは意味も規模もまるで異なっていました。まず、意味。当時はソ連邦の崩壊真っ直中でして「8月クーデター」の終結から約1ヶ月しか経っていない。14あったソ連の構成国のうち10ヵ国までもが独立を宣言しており、1日また1日と世界最強の連邦共和国が音を立てて崩れていた。その中で「自由の象徴」としてロック・フェスが乗り込んでいったのです。そして規模。資料によりますと、このフェスは160万人(!)という途方もない動員が記されているのです。この数がどれだけ膨大かと申しますと、例えば1983年の“US FESITVAL”は4日間で67万人ですし、1985年の“第1回ROCK IN RIO”でも10日間で140万人。1日平均では15万人前後なわけです。ところが、このイベントはたった1日で10倍をかき集めてしまった事になる。まあ、さすがに資料が間違っているとしか思えないわけですが、仮に一桁下だとしても16万人(ちなみに、本作の2年前の“モスクワ・ミュージック・ピース・フェスティバル”は12万人でした)。とてもではありませんが「フェス・ツアーのうちの1回」とは次元が違う事がご理解頂けるでしょう。そして、本作はその巨大イベントの現実がアリアリと描かれていく。ライヴの合間にはメンバーや観客のインタビューが挿入されるのですが、その言葉から匂い立つ時代感が強烈。「共産主義は過ぎ去った。もう存在してないよ」「ロックオンロールを守るためにアカと戦ってきたんだ」等々、他の時代・場所ではあり得ない証言が次々と溢れ出す。起きたばかりの「8月クーデター」も話題に上り、友人が殺された若者やエリツィンの家を守るために市民たちが築いたバリケードも登場する。もちろん、本作は日本盤LDですからそうしたコメントも完全字幕でビビッドに理解できます。ドキュメンタリー・シーンだけならまだ分かるものの、本作はライヴ中も普通ではない。数え切れない膨大な群衆が蠢く光景もド迫力ですが、その会場を仕切っているのが警察ではなくソ連軍。「もし警察官だったら(若者から)憎まれているから大変だ」という証言も出てくるものの、ソ連軍が好かれているとも到底思えない。セキュリティと観客が睨み合い、押し寄せる群衆を警棒で殴るわ、蹴るわ。文字通り、血まみれになってつまみ出される若者も映されている。それがTHE BLACK CROWESやMETALLICAの極上ライヴ・プロショットに乗せて出てくるのですから……もう完全にカオスです。ソ連崩壊の時代感と当代きってのHR/HMを奏でていた4組のプロショット・ライヴ。双方が絡み合って「1991年」を描き出す映像傑作です。60年代、ロックは世界を変えられると信じられていました。その信念と憧れは70年代の商業化を経ても生き続け、80年代のチャリティ・ブームへと結実していきました。しかし、90年代に入ると音楽業界そのものが衰退を始め、ロックも「時代のパワー」を失っていった。本作に刻まれた1991年とは、その直前。「モスクワ版MONSTERS OF ROCK」とは新時代の夜明けであり、同時に最後の輝きだったのではないでしょうか。HR/HM黄金時代の幕開けが1983年の“US FESITVAL”だとするなら、最後の打ち上げ花火が本作。時代色が濃厚だからこそ、オフィシャル再発も望めない幻の名作「1991年9月28日モスクワ版MONSTERS OF ROCK」のマルチカメラ・プロショット。廃盤オフィシャル映像を日本盤LDから精緻にDVD化した史上最高峰クオリティ版です。AC/DC、METALLICA、THE BLACK CROWES、PANTERAの4組に地元バンドE.S.T.も交えた全5組・13曲の公式プロショット・ライヴが楽しめる。さらに強烈なのはソ連崩壊のムード。曲間には「8月クーデター」から約1ヶ月の生々しい傷跡が描かれ、会場でもソ連軍が警備を担当し、観客を暴行するシーンも登場する。超極上プロショットと時代感が混じり合った幻の超傑作映像です。Live at Tushino Airfield, Moscow, Russia 28th September 1991 PRO-SHOT Taken from the original Japanese Laser Disc(NJL-35514)
1. Introduction 2. Cowboys From Hell - Pantera 3. Primal Concrete Sledge - Pantera 4. Psycho Holiday - Pantera 5. Bully - E.S.T. 6. Stare It Cold - The Black Crowes 7. Rainy Day Woman - The Black Crowes 8. The Ecstasy of Gold / Enter Sandman - Metallica 9. Creeping Death - Metallica
10. Fade To Black - Metallica 11. Back In Black - AC/DC 12. Highway To Hell - AC/DC 13. Whole Lotta Rosie - AC/DC 14. For Those About To Rock (We Salute You) - AC/DC 15. End Credits PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.84min.