核爆発級の衝撃を振りまいた映像作『11PM presents THE ROLLING STONES SPECIAL 1990』。その続編とも言うべきTV放送コレクションがリリース決定です。それにしても『11PM presents THE ROLLING STONES SPECIAL 1990(以下、前作)』は強烈でした。国民的番組のストーンズ特集で、初来日真っ直中だからこその爆テンションが深夜番組ならではの馬鹿ノリとシンクロした衝撃映像でした。もちろん、あの怪番組を録画したマニアは1本だけたまたま記録していたわけではありません。ありとあらゆる情報を駆使し、ストーンズ関係の特番やコーナーをチェックしまくっていたからこそ、録画にも成功できたわけです。本作は、その「あらゆるコーナー」を選りすぐったもの。前作を録画したマニアによるさまざまなストーンズ関連放送のコンピレーションなのです。そんな本作に記録されているストーンズ放送は9種類。30秒に満たないニュースから20分に及ぶMTV特番に至るまで、約1時間に渡って「ストーンズに飢えた1989年の日本」に浸りきれる映像集です。それぞれに画質は異なるものの、総じて極上。中にはLDから起こしたんじゃないかと思うほど超美麗なものまであります。そしてもう1つ特徴なのが時系列であること。このマニアのマスターには「ストーンズ関係の1989年放送」以外にコンセプトはなく、次から次へと放送された番組を記録していた。そのため、時間の経過がリアルに感じられるのです(前作はその時系列マスターから抜き出したものでした)。それでは、そんな9種の映像を大きく3つのセクションに分けてご紹介していきましょう。【ツアー開始前の速報時期(2種)】ベストヒットUSA#1(約11分)最初のセクションはツアーの発表記者会見をメインとした速報時期の放送で、1つめは日本洋楽史の象徴番組です。記者会見が「1989年7月11日」ですから、恐らくその直後。新曲のクリップも到着していませんし、挟まれるライヴも1982年のもの。記者会見や曲目から分かる断片的な情報しかないもどかしさが当時らしくて新鮮ですし、伝説的DJがポロッと語る「それから相変わらずですが、来日の噂もチョット流れています」にハッとする番組です。CNNエンターテインメント・ニュース#1(約30秒)続くはCMサイズのミニ・ニュース。ミックとチャーリーがプロデュースしたアパレル・グッズを紹介しています。【ツアーが始まった序盤の2週間(4種)】ナイトライン(約2分)ここからはいよいよツアーがスタート。まずは、初日「8月31日フィラデルフィア公演」をレポートする2分ほどのコーナーです。ファンへのインタビューやダフ屋を15人(!)も逮捕した話題も紹介されますが、肝心なのは「Start Me Up」のライヴ・プロショット。これこそ7年ぶりツアーの初日の1曲目。ホンの僅かではありますが、再始動を象徴する光景なのです。11PM(約9分)ここで国民的深夜番組が登場。ツアーがトロント(3-4公演目)まで進んだ辺りの放送で、もちろん来日中だった前作とはまったくの別放送です。フリップでメンバーの逮捕歴を紹介するなど、ここでもなかなか飛ばしてはいますが、さすがに前作ほどブッちぎれてはいない。スタジオもお茶の間ではなく通常セットですし、高田純○氏も「5時から男」そのものです。早口で「ファンの盛り上がりがストーンズを来日させるのに結びつくはず!」とまくし立てる辺りにジワジワと盛り上がってきた当時感が滲んでリアルです。CNNエンターテインメント・ニュース#2(約45秒)再びCNNニュース。ちょっと長くなったもののやはりCMサイズで、ツアーが始まった事を伝えています。ベストヒットUSA#2(約10分)再び国民的な洋楽番組が登場。「Mixed Emotions」のクリップと12曲分を繋いだ独自メドレーをメインに、ツアーの最新情報をレポートしています。実のところ、本作には「Mixed Emotions」が何回か登場するのですが、一番オイシイのがこの番組バージョン。一部ではありますが、歌詞に独自の対訳字幕が付くのです。そして12曲メドレー。実際にはクリップをブツ切りで並べているだけですが、「ストーンズの80年代」を駆け足で追いかける圧縮感が楽しい。ここでもツアー日程が流れ、それによるとこの番組は9公演目シンシナティ辺りの放送だったようです。ちなみに、メドレー12曲の内容は↓。「Miss You(1978)→It's Only Rock'n Roll(1979)→Emotional Rescue(1980)→Start Me Up(1981)→Hang Fire(1981)→Waiting On A Friend(1981)→Going To A Go Go(1982)→Time Is On My Side(1982)→She Was Hot(1983)→Undercover Of The Night(1983)→Harlem Shuffle(1986)→One Hit (To The Body)(1986)」【本格化した1989年10月以降(3種)】LAスペシャル(約3分)最後のセクションは、ツアーも本格化してきた1989年10月以降の放送。これは「10月21日ロサンゼルス公演」をレポートするコーナーで、「Start Me Up」のプロショット・ライヴやファンのインタビュー。一瞬ですが、ツアー客と思しき日本人の姿も映る。「ミックさん達、日本に来るとか来ないとか。これを見てしまったからにはもう来てもらうしかないですね!」というナレーションに、噂が現実味を帯びてきた空気感を感じます。SHOWBIZ CNN(約3分半)そして、三度CNNが登場。ここではCMサイズではなく、メンバーのインタビューを中心としたミニ・コーナーになっています。本作でしか見られないであろうインタビューのレア度は目も眩むばかりで、ビル・ワイマンがチャーリーについて語ったりもします。しかも、内容はリズム隊の相棒としてではなく、チャーリーの記者嫌いについて。なぜチャーリーの事をビルに訊こうと思ったのか定かではありませんが、とにかく貴重です。MTV特集(約20分)最後は、本作でもっとも長尺な特集。改めてツアーは発表記者会見から始まり、クリップや9月3日シアトル公演の「Mixed Emotions」も流れます(ちなみに、この火は長尺プロショットも残されていますが、この放送は別アングルです)。ここでも独自インタビューが貴重ですし、現地MTVで頻繁にながされたであろうツアー・トレーラーも見られる。しかも画質が異様に素晴らしく、このトレーラーは素材コレクションとしてもお宝です。また、この番組は萩原健○&カールスモーキー石○の両氏が進行役を務めており、そのトークの中でサラッと「もしかしたら来年辺り日本に、ってね」と語る。その言葉通りに2月に来日が実現するわけですが、この段階でもまだ呑気なことを言ってる事が驚きだったりもします。以上、9つの日本放送を集成した秘宝集です。前作『11PM presents THE ROLLING STONES SPECIAL 1990』ほどブッ飛んではいませんが、貴重度ではさらに上を行く。そして何より、時系列でじわじわと過熱していく過程がリアルなのです。噂が少しずつ確信に変わり、公然の秘密へとなっていく。そんな1989年の薫りを胸いっぱいに楽しめる1枚。
Various TV programmes broadcast in Japan 1989
BEST HIT USA (Star Of The Week) 1. Press Conference (Grand Central Station Terminal, New York 11th July 1989) 2. Under My Thumb (Wembley Stadium, London 26th June 1982) 3. Press Conference (Grand Central Station Terminal, New York 11th July 1989) 4. MC CNN
5. Entertainment News Night Line 6. Veterans Stadium Report (Philadelphia 31st August 1989) 7. Start Me Up (Philadelphia 31st August 1989) 11PM 8. Studio Talks 9. Mixed Emotions (PV) CNN 10. Entertainment News BEST HIT USA (Star Of The Week) 11. MC 12. Mixed Emotions (PV)
13. MC 14. Twelve Songs Medley LA SPECIAL 15. Shops, Fans & Start Me Up(Memorial Coliseum, Los Angeles 21st October 1989) SHOWBIZ CNN 16. Interviews MTV 17. Press Conference 18. Start Me Up (PV) 19. MC 20. Mixed Emotions (PV) 21. Interviews 22. MC 23. MTV's 1989 Tour Trailer
24. MC 25. Mixed Emotions (Live Satellite, Toronto 3rd September 1989) PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.59min.