本作が撮影されたのは「1985年8月31日オークランド公演」。そのマルチカメラ・プロショットです。この映像はまさに衝撃でした。2013年に“Wolfgang's Vault”から発掘されたマスターなのですが、そのクオリティは超極上の完全オフィシャル級。まさに公式リリース可能……と言いますか、マニア間では「きっとデラックス・エディションに収録されるだろう」と噂されたほどでした。ただ、クオリティは公式級でありつつ、作風はオフィシャルっぽくないところもあった。例えば、明らかにミックス卓直結な音声や観客席を一切映さないカメラワーク。オフショットも交えて家庭再生用に作り込まれた『WORLD WIDE LIVE』とは趣が異なり、コンサートの体験感の再現も度外視されています。もちろん、それが悪いわけではない。アンプから直に吐き出されるようなサウンドは生演奏の醍醐味満点ですし、スクリーン映像をそのまま見せているようなカメラワークも「今そこで演奏している」というバンドの存在感が凄い。コンサートの臨場感ではなく、生演奏とシンクロする現実感が強烈なのです。そのクオリティで描かれるのは、HR/HMの象徴でもあった黄金時代のSCORPIONS。本編解説ではフルセットの整理を行いましたが、こちらは映像作品。ここで映像版『WORLD WIDE LIVE』との比較で整理し直しておきましょう。ラヴドライヴ・Loving You Sunday Morning/Coast To Coast(★)/Holiday/Can't Get Enough(★)アニマル・マグネティズム・Make It Real(★)/The Zoo(★)ブラックアウト・Blackout/Can't Live Without You(★)/No One Like You 禁断の刺青・Coming Home/Bad Boys Running Wild/Big City Nights/Still Loving You/Rock You Like A Hurricane ※注:「★」印は公式映像『WORLD WIDE LIVE』で観られなかった曲。1983年のUSフェスティバルでオジー・オズボーンやJUDAS PRIESTと並び立ち、お茶の間にまで「欧州HR/HM」の伝道師として認知されたSCORPIONS。特に“LOVE AT FIRST STING Tour”の彼らは、『月に吠えろ』のオジーや『背徳の掟』のプリーストと同じく、その立ち振る舞いが「HR/HM」の音楽イメージそのものに直結する存在でもありました。本作は、その姿を生々しいマルチカメラ・プロショットで約71分も楽しめる映像傑作なのです。歴史的な名作プロショット。
Live at Oakland-Alameda County Coliseum, Oakland, CA, USA 31st August 1985 PRO-SHOT (71:03)
1. Countdown 2. Coming Home 3. Blackout 4. Bad Boys Running Wild 5. Loving You Sunday Morning 6. Make It Real 7. Big City Nights 8. Coast To Coast 9. Holiday 10. Still Loving You 11. Rock You Like A Hurricane 12. Can't Live Without You 13. The Zoo 14. No One Like You
15. Can't Get Enough Klaus Meine - Vocal Matthias Jabs - Guitar Rudolf Schenker - Guitar Francis Buchholz - Bass Herman Rarebell - Drums PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx. 71min.