グラストンベリー・フェスティバル。このイギリスでもっとも由緒あるロックのサマフェスはローリング・ストーンズともっとも縁遠いものでもありました。特に1995年辺りからは、ストーンズのライブ活動中になるといつも出演の噂が上がるのですが、結局は立ち消えということが繰り返されてきたのです。それに加えてこのフェスティバルが本格的にかいさいされるようになったのが1978年だったということは、パンクやニューウェーブの台頭が著しい状況であり、ストーンズだけでなくレッド・ツェッペリンやクイーンといったビッグネームとも縁遠い状況の中でフェスが始まったのでした。本格的にレジェンドなビッグネームが登場し出すのは1993年の再結成ヴェルベット・アンダーグラウンド辺りからでしょうか。21世紀に入るとグラストンベリー自体がサマフェスの大御所的イベントにまで成長し、広範囲に及ぶアーティストの出演が当たり前となって現在に至っています。そして2013年6月29日、グラストンベリーの開催側も夢見ていたであろう、ストーンズの出演が遂に実現しました。50周年を迎えたストーンズがグラストンベリーに出演を果たすというだけでも話題性十分ではありましたが、やはりその模様が映像という形で放送されるのは必然といえること。それだけに放送前はさまざまな噂が流れ、実際に生中継されたのはライブの中盤部分からというものです。さらに翌日に数曲が放送されたこともありました。しかしそれらとは別にライブの完全版放送が実現したのは本当にラッキーだとしかいいようがありません。ここにはその完全版映像を二枚組のDVDにて完全収録。元々がパーフェクトなクオリティの画像と音質での収録というのは当たり前ですが、ここではさらに画像にこだわり、映像を極力圧縮せずにきめ細やかでクリアーな最高画質での収録を実現。ストーンズのグラストンベリー初出演の様子をあますことなく再現させてみせるクオリティです。それに何と言っても鉄壁の演奏を見せつけるストーンズが本当に素晴らしい。大舞台や収録に強いストーンズ伝説(81ニュージャージーは除くとして…)は2013年にも改めて証明されました。特にミックとロニーはオープニングからはっきりと気合が入っている様子が映像を通して伝わってきます。そんな彼らの気合とは対照的に、やけにリラックスしていると思われるのがキース。例えばこのフェスの為に曲名を変えて歌われたことが話題となった「Glastonbury Girl」では自身がシンプルなパートを弾いているせいか、いつになく真剣なミックとロニーの間に割って入って見せるかと思えば、やはり真剣に弾くロニーに茶々を入れんばかりの仕草を見せています。さらに「Doom And Gloom」でも真剣に歌うミックを嬉しそうにキースが見守っています。だからでしょうか、「Miss You」でキースとミックの絡みが見られるという珍しい場面も登場します。そしてストーンズ・ファン以外の観客も集まるフェスティバル・ステージということで、黄金のヒット曲路線で攻め立てるかと思いきや、先の「Glastonbury Girl」を皮切りとして、しっかりマニアックなナンバーも取り上げてくれます。何よりも魅力的なのは、ミック・テイラーの参加がもっとも話題を呼んだ曲である「Can’t You Hear Me Knocking」が遂にプロショット映像で見られるようになったことでしょう。テイラーはノリノリな様子で弾きまくっており、期待を裏切りません。5月のアメリカ・ツアーから話題を呼んでいた共演の進化した形を是非とも最高画質の映像でご堪能ください。それ以上に驚きとなった「2000 Light Years From Home」久しぶりの演奏でしょう。1990年以来となるこの演奏ではおなじみイヤモニ・トラブルによってミックが歌い損ねてしまう場面がフェス直後から話題となりましたが、こうして映像を見るとミックの戸惑いながらも歌い通そうという姿、さらにその後のイヤモニ復旧による笑顔、そのどれもが本当に見ていて面白いものです。ラストの「Satisfaction」ではテイラーがアコースティック・ギターによるリズム・プレイに専念する珍しい場面など、本当に全編を通して見どころばかりとなった最新映像の最高クオリティによるリリースでストーンズの新たな歴史を刻み込みました!Live at Glastonbury Festival, Worthy Farm, Pilton, UK 29th June 2013 PRO-SHOT
Disc 1(65:46) 1. Introduction 2. Jumping Jack Flash 3. It's Only Rock 'n Roll 4. Paint It Black 5. Gimme Shelter 6. Glastonbury Girl (Factory Girl) 7. Wild Horses 8. Doom And Gloom 9. Can't You Hear Me Knocking 10. Honky Tonk Women 11. Band Introductions 12. You Got The Silver 13. Happy
Disc 2(70:31) 1. Miss You 2. Midnight Rambler (with Mick Taylor) 3. 2000 Light Years From Home 4. Sympathy For The Devil 5. Start Me Up 6. Tumbling Dice 7. Brown Sugar 8. You Can't Always Get What You Want (with Voce Choir and members of the London Youth Choir)
9. Satisfaction (with Mick Taylor) PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx. 136min.