ストーンズ来訪に沸く列島の熱狂を真空パックした映像集シリーズ『JAPANESE TV SPECIALS』。その第三弾となる“BRIDGES TO BABYLON Tour”篇が誕生です。ストーンズの来日は、いつの時代も一大事件。発表される前から「今回は実現するのでは?」との噂が立つだけで情報番組に特集コーナーが組まれ、いざ発表されるや特番・ワイドショーで連日報道。お祭り騒ぎの様相を呈するものです。『JAPANESE TV SPECIALS』は、そんな日本放送のストーンズ特集を集めたもの。当店ではコアな記録マニアから様々な音楽番組/情報番組の極上マスターを提供していただいていますが、その端々に存在する関連映像を集成しています。これまで初来日に沸く列島を真空パックした『STEEL WHEELS TOUR: Japanese TV Specials』、その再来日版『VOODOO LOUNGE JAPAN TOUR 1995: Japanese TV Specials』をご紹介してきましたが、本作はその続編となる1998年の“BRIDGES TO BABYLON Tour”篇なのです。そんな本作に収められているのは6つのTV番組とCM1種。それぞれ個別にご紹介していきましょう。記者会見速報「WIN(約3分30秒)」まず最初に登場するのは、深夜の情報番組“WIN”。ブルックリン橋で行われたワールド・ツアー発表の記者会見を速報したコーナーです。お馴染みの記者会見に続いて「Anybody Seen My Baby?」のPVが流れるのですが、実はコレが日本初公開。パンスト御殿を建てる前の神田う○氏が「WINがキッカケで他の番組がマネして流すんだよね」と自慢げに話しているのです。もっともPVを流す事にマネもへったくれもないわけですが、そのコメント自体がいかにも地上派の深夜枠らしくて味がある。長髪のクリス・ペ○ラー氏も妙に時代を感じさせてくれます。直前特番「ジュラシックTV(2種:約27分40秒/約10分)」速報の「WIN」はあくまでもジャブ。続いて登場するのが本作のメイン。某民放局のエンターテインメント情報番組「ジュラシックTV」です。来日公演チケットの電話予約をメインとしたストーンズ特番で、本作には2回分を収録。内容は公演告知のほかストーンズやツアーの魅力を伝えるトーク、ミニコーナーがまぶされています。1つめの放送は30分近いという大特集。パーソナリティの武居'○’征吾氏やシーナ&ザ・○ケッツがストーンズの魅力を熱く語り、歴史を辿るミニ・コーナーでは初代ファンクラブ会長だったあの方も登場します。その語り口や内容がいかにも1998年という感じ。初来日/再来日はすべてが狂乱という感じでしたが、三度目ともなるとどこか落ち着きが感じられる。例えば、武○氏も一通り熱弁した後で「アルバム全部聴いてからチケットをゲットして、見に来てください!」と口走る。今まさに電話予約を受け付けている番組で「全部聴いてから」は無茶な話ですが、恐らく初来日/再来日の一見さんに思うところがあったのでしょう。その本音がポロッとこぼれた感じなのです。また、ちょっとしたディテールにも時代感が滲む。例えば、チケットの予約電話。すでに東京が10桁になってはいるのですが、そこに続くテロップは「ダイヤル型電話ではご利用になれません」。しかも、S席の価格が1万円。一番高い席で、2014年の「参加席」と同じ価格だったとは……。そして、2つめの放送も面白い。こちらは約10分と短めですが、番組独自のレア映像がたっぷり。番組スタッフがハワイ公演まで取材に出向いており、メンバーに放送局の略称「NTV」をジェスチャーさせたり、独自コメントを取ってきたり。さらにアロハ・スタジアムでの「Flip The Switch」やシークレット・ギグの「Brown Sugar」といったライヴ映像も流されるのです。また、こちらもディテールが楽しい。こっちの放送日は「3月5日」と判明しており、つまり来日公演初日の一週間前。それにも関わらず、完売しているのは土曜日公演(3月14日)だけで、他の平日公演はすべて残っている。初来日/再来日とは違う1998年ならではの空気感が透けるのです。ペプシ・コーラCM(約30秒)本作は各種番組を集成したコンピレーションのため、ストーンズに関係ないシーンは極力排除。そのため、懐かCMの類も基本ありません。しかし、唯一の例外がペプシ・コーラのCM。蚊がこぼれたペプシを吸うとタラコ唇になって「Brown Sugar」を熱唱する。メンバーが登場するわけではありませんが、濃厚なストーンズ色が楽しい傑作CMなのです。来日初日を伝えるワイドショー(3種:約5分30秒)本作の最後を締めくくるのは、初日公演をレポートするワイドショー3種です。ここでも初来日/再来日との温度差を感じる。初日の貴重なライヴ・プロショットや会場外で興奮するファンへのインタビューが流されますが、そこに芸能人の姿はない。話題に群がるミーハーではなく、真にストーンズを愛するファンのムードが熱いのです。三度目の正直でピュアなムードに終始するかと思いきや、それでもやらかすのが地上派のワイドショーというもの。特に強烈なのが「ジパングあさ6」。例によって「パワフル50代」「結成から35年の御長寿ロックバンド」と年齢ネタで押しまくり、「昭和18年生まれひつじ年のミック・ジャガーはレツゴー長作と同い年」とのコメントと共にレツゴー三匹の漫才を流す。さらに当時パーソナリティだった故中村慶一郎氏は「今朝の新聞ににですね『ファン合唱』とあるんですね。一緒に歌えるんですね、ああいう歌をね。すごいなー」とコメント。英語で合唱を凄いと言ってるのか、歌詞内容を揶揄してるのか判断しかねますが……。さらにさらに、女子アナも「50歳を超えてロックバンドをやるのですから、そりゃあもう歌だけでじゃありません。子作りの方もパワフルなんです」と原稿を読み上げ、ミックに6人目の子供が産まれた話題をハイテンションに紹介する。実のところ「ジパングあさ6」のシーンはたった4分8秒なのですが、そのわずかな時間に下らないネタを厳選濃縮。よくもまあ、ここまで下世話になれるものです。狂乱から一歩離れたからこそ、素晴らしいジャパン・ツアーとなった1998年の“BRIDGES TO BABYLON Japan Tour”。そんな当時が画面から噴き出すタイムカプセル映像集です。ストーンズへの愛情が溢れる特番やインタビューが眩しく、相変わらずズレた放送局のごう慢さに閉口する。それもこれも懐かしい ストーンズ『JAPANESE TV SPECIALS』シリーズの第三弾。1998年来日に関する日本のTV放送を集成した映像集。初来日の『STEEL WHEELS TOUR: Japanese TV Specials』、再来日の『VOODOO LOUNGE JAPAN TOUR 1995: Japanese TV Specials』に続くBRIDGES TO BABYLON Tour篇です。6つのストーンズTV特集と「Brown Sugar」をネタにしたペプシCMを収録。ツアー発表の記者会見速報からチケットの電話予約特番、来日初日のレポートまで時系列に収録されており、当時の日本を包んでいた時代感が画面から溢れ出すタイムカプセル映像集です。
1. WIN 2. Jurassic TV Part 1 3. Jurassic TV Part 2 4. Pepsi CM Various TV Reports of Tokyo Dome Concert (12th March 1998) Aired in the morning of 13th March 1998 5. Zipangu Asa 6 6. Yajiuma Wide 7. Mezamashi TV PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.47min.