1965年の伝説的なライブ音源と呼ぶべきハリウッド・ボウルだけでなく、もう一つの伝説的なライブ音源をリリースいたします。それはトーズ・プレイス。この名前を挙げただけでピーンと来るディラン・マニアはたくさんおられることでしょう。そう、ディランとバンドが1990年に行った、クラブでの公開リハーサル・ギグ。約半年前にはローリング・ストーンズがこの場所を使ってシークレット・ギグを行っており、ロック・マニアにとっても名の知れたクラブでしょう。ディランがここで行った公開リハーサル・ギグというのがまた伝説的なもので、何と四時間にも及んでいます。しかもその後には1990年ツアー最高の名演との誉れ高き、2月のハマースミス・オデオンが控えており、ディランと88年からバックを務めてきたGE・スミスを配したバンドのピークへむかう重要なギグとなりました。ハマースミスの方は当店が「FROM GRAND REX TO HAMMERSMITH」としてリリース済みですが、実はその時点から「トーズ・プレイスは出すのか?」という声がマニアから寄せられていました。もちろん当店としてもリリースの準備は整っていたのですが、ノーベル賞の受賞というビッグニュースによって再びディランが脚光を浴びている今、遂にリリースが実現します。このギグに関しては、昔から「TOAD’S PLACE VOL.1 &2」というアイテムが有名でしたが、意外にもその後でアイテムが登場することはなく、丸ごとコピーしたアイテムすら現れません。約一か月後に行われたハマースミス・オデオン、中でも最終日2月8日の音源は先のタイトルを始めとして何度かアイテムが生み出されてきたことを考えると意外な気がしてなりません。今回は当店が「TOAD’S PLACE〜」と同じオーディエンス録音のマスター・テープを入手。元々クリアネスに優れ、音像もクラブ・ギグらしい近さが大きな魅力の音源です。音質的には先のタイトルの時から素晴らしく、今回も同レベルの音質だと言えるでしょう。むしろ今回のリリースにおける最大の目玉、それはオープニング・ナンバー「Walk A Mile In My Shoes」の完全収録にあります。どういうことかといえば、この音源は同曲が始まったところで慌ててボリューム調整を行った結果、イントロの最中で一瞬ながら音が途切れてしまったのです。さらにはレベルの上下動も耳障り。ところが今回は同じギグを捉えた別音源(これが非常に貴重)を使ってアジャストし、もはや持病と言えた同曲のイントロ録音トラブルを完全に解消してしまったのです。「TOAD’S PLACE〜」で聴き慣れてこられた方であれば、この部分だけでも絶対に驚かれるはず。もう一つの大きなポイントとしては、四セットに分けて行われた公開リハーサルをそれぞれ一枚のディスクに収めていることが挙げられます。「TOAD’S PLACE〜」がリリースされた当時は74分を超える収録の概念やディスクが存在せず、完全収録ながらもセットの構成とは関係なく分断されて四枚のディスクに収録されてしまいました。。しかし今回は改めてマスターから収録し直しましたので、先のタイトルの面割りで生じる曲間の不要なカットがみられません。この点からもマスターからの収録を実感してもらえるかと思われます。しかも実際のギグのセット構成でプレイバックできるのだから、よりリアルな体感を可能としたのです。4時間にも及んだギグではありますが、演奏内容は聴きどころの連続。リハーサルということで、ライブ本番では絶対に演奏されないカバー曲が豊富に披露されました。例えば1997年の来日公演で広く知られるようになった「Oh Babe, It Ain't No Lie」のライブ披露はこの時が最初ですし、クリス・クリストファーソンの「Help Me Make It Through The Night 」クラプトン・ファンにはおなじみな「Key To The Highway」といった選曲が魅力的。この辺りはディランのルーツを偲ばせてくれるものですが、一方でブルース・スプリングスティーンの「Dancing In The Dark」という極めつけのサプライズまで登場(観客が驚いている様子までも伝わってきます)。かと思えばディラン自身のナンバーの選曲がまたユニークで、当時はまだ録音すらされていなかった後のアルバム「UNDER THE RED SKY」からの「Wiggle Wiggle」のような新曲、極めつけはトラベリング・ウィルベリーズの「Congratulations」をリクエストに応えてぶっつけ本番で始めるというアッパーなコンディション。ファースト・セットで演奏された「Trouble No More」からして超ハイテンションなディランの姿に驚かされるほどですが、それが四セットにも及んだリハーサルの最後まで持続したというのだからなおさら驚かされます。正に伝説のギグと呼ぶに相応しい、1990年のトーズ・プレイス。その世界中のマニアが望んだであろう決定版がようやく登場です。四時間という長丁場ながら、まったく飽きさせない絶品ギグ!
Toad's Place, New Haven, Connecticut, USA 12th January 1990 TRULY PERFECT SOUND
Disc 1 (1st set) (54:56)
1. Walk A Mile In My Shoes 2. One More Cup Of Coffee 3. Rainy Day Women # 12 & 35 4. Trouble No More 5. I've Been All Around This World 6. Political World 7. Where Teardrops Fall 8. Tears Of Rage 9. I Dreamed I Saw St. Augustine 10. It Takes A Lot To Laugh, It Takes A Train To Cry 11. Everybody's Movin'
Disc 2 (2nd set)(40:02)
1. Watching The River Flow 2. What Was It You Wanted 3. Oh Baby It Ain't No Lie 4. Lenny Bruce 5. I Believe In You 6. Man Of Peace 7. Across The Borderline 8. Leopard-Skin Pill-Box Hat 9. All Along The Watchtower
Disc 3(3rd set) (69:53)
1. Tight Connection To My Heart (Has Anybody Seen My Love) 2. Political World 3. What Good Am I? 4. Wiggle Wiggle 5. Stuck Inside Of Mobile With The Memphis Blues Again 6. Pay The Price 7. Help Me Make It Through The Night 8. Man In The Long Black Coat
9. Congratulations 10. Dancing In The Dark 11. Lonesome Whistle Blues 12. Confidential 13. In The Garden 14. Everything Is Broken
Disc 4(4th set) (79:48)
1. So Long, Good Luck And Goodbye 2. Where Teardrops Fall 3. Political World 4. Pretty Peggy-O 5. I'll Remember You 6. Key To The Highway 7. Joey 8. Lay Lady Lay 9. I Don't Believe You (She Acts Like We Never Have Met) 10. When Did You Leave Heaven?
11. Maggie's Farm 12. I've Been All Around This World 13. In The Pines 14. Highway 61 Revisited 15. Precious Memories 16. Like A Rolling Stone
Bob Dylan (vocal & guitar), G. E. Smith (guitar), Tony Garnier (bass), Christopher Parker (drums)