
オフィシャル盤『飛翔伝説』だけでなく、これまで数々の傑作オーディエンスを生み出してきた初来日の日本武道館公演。Definitive BUDOKAN 1981(以下2CD)の解説でも触れましたが、このライヴの記録には、もう1つFM音源もありました。本作は、その放送を収めたステレオ・サウンドボードアルバムです。本作は、オフィシャル作品『飛翔伝説』がリリースされる以前に放送されたラジオ番組を収録したもの。この放送は当時から幾多の既発を生み出してきたわけですが、本作のマスターは2012年になって発掘され、最上級サウンドを更新した超一級品です。そのサウンドは、文字通りの「オフィシャル級」でして、既発の数々を一掃する凄まじさ。実際にオフィシャル盤『飛翔伝説』も存在するわけですが、それにも負けていないだけでなく、ナチュラルな“鳴り”は上回っていると言っても過言ではありません。実際、究極的な記録だけに究極サウンドを目指すリマスターも目論んだのですが、あまりに完璧で手の付けようがない。もちろん、ムリヤリ迫力を出してギンギンに仕上げるのは簡単ですが、それをしてしまったら“鳴り”が汚れ、せっかくの真実が歪んでしまう……。その結果、発掘されたままのナチュラル・サウンドのままお届けする事にいたしました。2CDの解説でも触れましたが、オフィシャル『飛翔伝説』はかなり豪快なオーバーダブによって“作品”としての完成度を高めているわけですが、本作は武道館の生演奏そのまま。それだけに、公式盤では差し替えられたミストーンやドタバタ、歌いきれない声も正確・克明。2CDでは、現場のマジックによってミスを吹っ飛ばすライヴ感もたっぷり味わえましたが、本作では生演奏だけが丸裸になっており、ちょいとトホホな感じまで鮮やかに描かれているのです。「では、本作の意味はない?」となると、そうではない。確かに聴き応えはオフィシャル盤や2CDには及ばないものの、この放送自体が歴史でもある。特にそれを猛烈に感じさせるのが、冒頭のDJ。ロックとは似つかわしくない某公共放送局の男声アナウンサーの落ち着いた声からして、猛烈な郷愁を呼び起こす。ちょっと書き出してみましょう。「『LIVE SPECIAL』。これから1時間西ドイツ出身のギタリスト、マイケル・シェンカーを中心にしたロックバンド“THE MICHAEL SCHENKER GROUP”のライヴをお送りします。これは去る8月12日、東京の日本武道館でのコンサートを録音したものです」「“西”ドイツ」やら“1981年”をヌキにいきなり「去る8月12日……」と言い出す等々、端々から猛烈な時代感覚が匂い立つ。これは、ミスが目立つ“真の生演奏”についても同じ。テープに録音しては聴き倒した記憶、いざ公式盤がリリースされてまるで違うと気づいたときの衝撃、公式盤を買う前に録音テープを消してしまった後悔(……はちょっと個人的すぎました)。そうした想い出が一気にフラッシュバックしてくるのです。さらに強烈なのがコージー・パウエルのドラムソロ。オリジナル・リリースの『飛翔伝説』ではカットされ、2009年の『飛翔伝説完全版』では「武道館のソロは出来が良くない」という理由で大阪公演が採用されていたソロ(いや、このライヴは、出来の良し悪しじゃないんですってば……)。そんな想いに駆られた“本物の武道館ソロ”が公式級サウンドで聴けるのです(公式盤と放送を合わせても聴けない“武道館のTales of Mystery”は、2CDでご堪能ください)。再び男声アナウンサーが登場し、「去る8月12日、東京の日本武道館で行われた“THE MICHAEL SCHENKER GROUP”のライヴ演奏をお送りしました。演奏した曲は……(中略)……以上9曲でした。『FM LIVE SPECIAL』を終わります」と読み上げて終了する本作。「Never Trust A Stranger」「Let Sleeping Dogs Lie」「Tales Of Mystery」「Courvoisier Concerto」「Lost Horizons」「Doctor Doctor」の6曲がない不完全な放送ですが、番組自体は完全収録です。約1時間に渡って“真の武道館”をステレオ・サウンドボードで味わえる名放送、その史上最高峰版。新発掘の頂点オーディエンス・アルバムと共に、存分にお楽しみください!
Live at Budokan, Tokyo, Japan 12th August 1981 STEREO SBD(UPGRADE)
1. DJ Intro. 2. The Ride Of The Valkyries 3. Armed And Ready 4. Cry For The Nations 5. Attack Of The Mad Axeman 6. But I Want More 7. Victim Of Illusion 8. Member Introduction 9. Into The Arena 10. On And On 11. Drum Solo incl. 633 Squadron & 1812 Overture 12. Are You Ready To Rock 13. DJ Outro.
Michael Schenker - Guitar Gary Barden - Vocal Chris Glen - Bass Cozy Powell – Drums Paul Raymond - Keyboards
FM Broadcast Recording