
今週当店がお送りするZEP音源の怒涛のリリースの最後の飾るのは1979年のコペンハーゲンにおける二公演。そう、マニアには説明不要な名音源。二日間に渡って行われたライブは「MELANCHOLY DANISH PAGEBOYS GET IT ON」、「COPENHAGEN WARM-UPS」という名作LPがそれぞれにリリースされたのを皮切りとして、現在に至るまで両日ともに一種類の音源しか存在しないもの。どちらに同一テーパーによってコペンハーゲン、ファルコナー劇場のバルコニー席から録音されたとのことです。よって音像バランスが「オン」と呼べるような状態でありませんが、むしろ見事なクリアネスとステレオ感が際立つオーディエンス録音ということで、古くからマニアの間でも定評の高い音源。音質が非常に優れた音源であったこと、さらにLPで早くも決定的なアイテムがリリースされていたことから、未だにCDアイテムでも先に挙げたアナログのタイトルやアートワークが踏襲されたアイテムがリリースされ続けているというのが、これまた名音源の証と言えるでしょう。ZEPライブ初期における極めつけの名音源かつ名音源と言っても過言ではない「LIVE ON BLUEBERRY HILL」と同じようにLP時代のイメージが現在も引き継がれている好例でした。この後にネブワースでのイギリス凱旋ライブが控えていたこともあり、コペンハーゲンにおける二回のショーの目的が最初からウォーミングアップとして位置づけられていたもの。つまりZEP後期のライブのスタート地点ということもあり、音質面における揺るぎない評価とは対照的に、演奏面が正当に評価されていなかったのは事実。ところが現在ではコペンハーゲン二日間こそ、後期ZEPが生み出した最高の名演という評価を受けています。あれほど音質が優れていた一方で、肝心の演奏に対する評価が後期ZEPという枠の中で甘んじていたことは皮肉なもの。それでも現在はマニアの間で高い評価を得られたという点は幸運かもしれません。むしろ後期ZEPが本来目指していたであろう、新たなライブ・サウンドがこの二日間に集約されているという点で、内容だけでなく歴史的にも非常に重要な音源だと断言いたします。ロバート・プラントに起きた不幸によって77年の夏から活動を停止していたZEPが結果的に活動期最後のアルバムとなってしまった「IN THROUGH THE OUT DOOR」を完成させた後、次のステップは当然ライブ・ステージへの復帰。しかし彼らが活動を休止していた間にロック界の流れは大きく変化していた。常に時代の変化に沿った音楽を作り上げてきたのがZEPの偉大な点。そこで彼らはステージにおけるサウンド・スタイルを大きく変化させました。言うなれば「スピーディ&コンパクト」。以前のZEPとはまったく違うタイトでキレのいいグルーブ感。そうして目指したサウンドがコペンハーゲン二日間において見事に結実しているのです。確かに23日の方は初日ということもあってバンド全体におっかなびっくりといった雰囲気が漂っています。曲間からしてまったりとした雰囲気が感じられるほど。これが久々のライブ・ステージであることを思えば無理もありません。マニアの間で「最後の名演」とまで呼ばれる翌日と比べれば、確かに粗は目立ちます。その印象を悪くした原因は「Stairway To Heaven」におけるペイジのあからさまにおざなりなプレイでしょう。それはイントロからして歴然としているし、本来ならクライマックスとなるべき終盤のギター・ソロにも冴えがありません。これと比べたら「Misty Mountain Hop」の間奏で弾いたフレーズの外れ具合には微笑ましいものがあります。演奏に勢いが溢れているので、ミスがあっても動揺に映らないのがこの日のいいところ。つまり「Stairway To Heaven」はいかんともしがたいものがありますが、「Misty Mountain~」におけるミスなどはむしろ笑い飛ばしているかのように感じられました。それにまとまりを欠きつつ、全員が懸命に演奏しようとする様がはっきり感じられる点も23日の良いところではありませんか。特にプラントは素晴らしく、演奏がコンパクトになった「No Quarter」のエンディングなどは圧巻と呼べるほどのシャウトで締めくくってくれます。そう、見え隠れした粗を超え、活力にあふれた勢いで十分に楽しませる。基本的にウォーミングアップ、さらにはステージへの復帰がお題目だったステージにおいて、ここまで聴かせてくれれば大したもの。最後の名演たる24日はいよいよ素晴らしい。結果として後期ZEPが完璧に機能して本領を発揮したライブがこの日だった。何といっても前日にあった手探り感がすっかり払拭され、全員が迷いなくステージで演奏に打ち込んでいる様子が、その音質の良さもあってリアルに伝わってくるのが大きな魅力でしょう。序盤の数曲からして圧倒的な勢いが漂っていますし、前日よりもレパートリーが増量されているところからも、彼らが取り戻しつつあったであろうライブの勘や自信、さらにはウォーミングアップならではのくつろいだ雰囲気を楽しもうという気持ちが現われています。ところがどうでしょう、この日はくつろぐどころか演奏が俄然ホット。ホットと言えばネブワース以降、ペイジがぐちゃぐちゃにイントロを弾き始めるのが当たり前だった新曲「Hot Dog」のイントロをZEPのライブ史上もっとも丁寧に弾き始めたというだけでも、この日の演奏がいかに優れていたかを垣間見られる場面です。この曲に限らず、このライブ全体から伝わってくるペイジの「弾けてる」感じこそ、24日のショーにおいて演奏の出来を大きくボトムアップさせる大きな要因となっています。後期ZEPにおいて低調になりがちだったペイジのギター・プレイ。それに加えて他の三人も好調そのもの。実を言うとボンゾは両日ともに絶好調であり、彼に関してはネブワースですら、その好調を保っていたくらいでした。そして前日よりも俄然丁寧に演奏された「Stairway To Heaven」、そしてネブワース・アレンジとも言うべき、途中で変拍子へと切り替わった独特の展開が初めて披露(それだけに少々乱れますが)された「Whole Lotta Love」など、前日に手応えを感じたからこそ次の段階へと進めたZEPの様子が、抜群のクリアネスを誇るオーディエンス録音によって、リアルに記録されています。そして高音質が故に数多くのアイテムを生み出してきたコペンハーゲン二日間ですが、今回は近年ネット上に現れた、マスター・テープからダイレクトにトランスファーされたバージョンを使用。意外にもこのバージョンがリリースされることはなく、今回のリリースが初めてとなります。もちろん元来が抜群の高音質を誇る名音源ですので、今回飛躍的な音質の向上はありません。しかし高音質をさらに磨けあげようとしてイコライズを施していた過去のアイテムと違い、今回はそうした小細工なしですっきりナチュラルな状態を尊重して収録しています。自然に伸びる高音や過剰にブーストされない低音など、マスターからのナチュラルな収録ならではの鮮度抜群な状態で、コペンハーゲンの奇跡とも言うべき後期ZEPの躍動をじっくりと味わってください!
Falkoner Theatre, Copenhagen, Denmark 23rd & 24th July 1979
Falkoner Theatre, Copenhagen, Denmark 23rd July 1979
Disc 1 (72:43)
1. Intro 2. The Song Remains The Same 3. Celebration Day 4. Out On The Tiles/Black Dog 5. Nobody's Fault But Mine 6. Over The Hills And Far Away 7. Misty Mountain Hop 8. Since I've Been Loving You 9. No Quarter 10. Hot Dog 11. The Rain Song
Disc 2 (59:29)
1. White Summer/Black Mountain Side 2. Kashmir 3. Trampled Underfoot 4. Achilles Last Stand 5. Page Solo 6. In The Evening 7. Stairway To Heaven 8. Rock And Roll
Falkoner Theatre, Copenhagen, Denmark 24th July 1979
Disc 3 (75:40)
1. Intro 2. The Song Remains The Same 3. Celebration Day 4. Out On The Tiles/Black Dog 5. Nobody's Fault But Mine 6. Over The Hills And Far Away 7. Misty Mountain Hop 8. Since I've Been Loving You 9. No Quarter 10. Ten Years Gone 11. Hot Dog 12. The Rain Song
Disc 4 (67:19)
1. White Summer/Black Mountain Side 2. Kashmir 3. Trampled Underfoot 4. Sick Again 5. Achilles Last Stand 6. Page Solo 7. In The Evening 8. Stairway To Heaven 9. Whole Lotta Love