
解散ツアー“THE END”より、“東海岸3部作”“まるで『VOL.4』”とでも言うべきライヴアルバムが登場です。欧州と並んでロック録音の本場、アメリカ合衆国。全世界から極上録音が連発している“THE END”ですが、質・量から言っても、やはりナンバー1は北米です。毎度お馴染みですが、今回もツアー概要からイメージしてみましょう。
・2016年1月-3月:北米レッグ#1(18公演)・2016年4月:オセアニアレッグ(7公演)・2016年6月-7月:欧州レッグ(17公演)・2016年8月-9月:北米レッグ#2(19公演) ←★ココ★・2016年11月-12月:北米#3&南米レッグ(11公演)・2017年1月-2月:ドイツ+UKレッグ(9公演)《BLACK SABBATH解散》
このように“THE END”の北米ツアーは「北米レッグ#1-3」の3つに分かれた計41公演。“THE END”の約半分を占めています。現在は「北米レッグ#2」が終了したところですが、本作はその中でも「2016年8月23日ホルムデル公演」を収めたオーディエンス・アルバムです。本作は、ひとつのライヴアルバムとしても素晴らしい1本なのですが、コレクターの間では“東海岸3部作”という異名も持っている録音なのです。その意味を知るためには、周辺の日程も確認してみましょう。
・8月17日ワンタフ公演(北米#2の初日)・8月19日カムデン公演・8月21日ブリストウ公演 『BRISTOW 2016』・8月23日ホルムデル公演 ←【本作】・8月25日マンスフィールド公演 『MANSFIELD 2016』・8月27日アンカスビル公演
上記は「北米レッグ#2」の冒頭6公演。このパートではアメリカ東海岸の各都市をじっくりとサーキットしています。これまでも「北米#2」からは『BRISTOW 2016』『MANSFIELD 2016』といった傑作録音をお届けして参りましたが、本作はその合間にあたるステージなのです。すでにライヴ本番からやや時間が経過してから遅れて出てきた録音なのですが、強烈な『BRISTOW 2016』『MANSFIELD 2016』に続いての東海岸録音、それも3公演連続。もちろん、他公演も登場してはいるものの、この3公演だけがズバ抜けており、一部のコレクターから「また東海岸が凄ぇのかよ!?」の敬意を込めて“東海岸3部作”と呼ばれ始めているのです。そんな本作は、3部作のラストピースに相応しい素晴らしい録音。『BRISTOW 2016』『MANSFIELD 2016』をお聴きになった方なら「今度も凄い」と期待していただけると思いますが、本作のクオリティは(良い意味で)それを裏切ってくる。クオリティのランク自体は前2作と拮抗しているのですが、サウンドの感触が非常にユニーク。いつものように「まるでサウンドボード」と呼ぶに相応しいダイレクト感たっぷりの楽音なのですが、本作は特に透明感がたっぷりで、高音の伸びが素晴らしい。まるでキラキラと輝くようなサウンドなのです。実のところ、これまでの“THE END”録音のほとんどは「重低音」がテーマになっている節があった。全世界的に「SABBATH=ドヘヴィ」のイメージが強烈で、各国各地の録音家たちは「いかに重低音をファットに、リッチに録るか」に偏りがちだったのです。ところが、本作の録音家にはどうやらそんなパブリック・イメージとは違う方向を狙っていたようで、“リフのシャープさ”を重視したブライト・サウンドで仕上げてきた。これが透明感を一層引き立て、“東海岸3部作”でありながら他2作とは大きく違う個性となっているのです。そのブライト・サウンドで描かれる“THE END”は、これまでになくエッジ鋭いショウを聴かせる。正直なところ、ギーザー・バトラーを追求したい方向きとは言えませんが、それは「ベースが主役!」ではないという意味。むしろ、ヘヴィすぎない普通のバランスであり、ベースがしっかりと轟きながらもトニー・アイオミのリフの鋭さやオジー・オズボーンの歌声が際立つのです。そうですね、『黒い安息日』や『パラノイド』のヘヴィネスと言うより、やや『VOL.4』っぽいニュアンスなのです。実際、本作の「Snowblind」は実に素晴らしい! ややもすると消えがちなアダム・ウェイクマンのメロトロンがしっかりと響き渡り、70年代ムードが一気に広がる。そして、他曲よりも高いメロディでもしっかりと歌いきる好調なオジーの声が異様に気持ちいい! 本作からさまざまな聴きどころを発見していただけるとは思いますが、まずは「Snowblind」がイチオシ、そんなライヴアルバムなのです。この“東海岸3部作”の後も各地から録音が届いておりますが、どうも今ひとつ。実に10公演くらいは不作で、次なる極上音源は今週同時リリースの『OAKLAND 2016』まで待たねばなりませんでした。それほど、この“東海岸3部作”は、固まって飛び出した特出アルバム達なのです。傑作3連作を完成させる最後の1本にして、『VOL.4』さえ思い起こさせるブライト・サウンドが眩しいライヴアルバム。“THE END”から飛び出した、また1つの個性派傑作。
Live at PNC Bank Arts Center, Holmdel, NJ. USA 23rd August 2016 TRULY PERFECT SOUND
Disc 1(58:14)
1. Black Sabbath 2. Fairies Wear Boots 3. After Forever 4. Into The Void 5. Snowblind 6. War Pigs 7. Behind The Wall Of Sleep 8. N.I.B.
Disc 2(43:19)
1. Hand Of Doom 2. Rat Salad 3. Iron Man 4. Dirty Women 5. Children Of The Grave 6. "One More Song!" 7. Paranoid