
極上の最新ライヴアルバムが登場です! 近年の活動がなかなか伝わってこないジョー・リン・ターナーですが、実は意外なほどに良いショウをやっていた……そんな知られざる“今のJLT”がたっぷり詰まった傑作です。まずは、近況をカンタンに。現在のジョーは割とコンスタントにライヴを行っています。場所は、本国アメリカとRAINBOW人気の生きているヨーロッパが主体で、月ごとにヨーロッパと北米を行ったり来たり。多いときでひと月に5・6回ほどのペースでステージに立っている。本格的なツアー活動とはいかないまでも、65歳の年齢を考えれば、悪いペースでもありません。そんな中で、本作は「2016年8月21日ダラス公演」で録音されたオーディエンス・アルバムです。本作最大の旨みは、極上のサウンド。現場となった“カーテン・クラブ”は、約500人収容の小さな会場なのですが、それだけに間近感・密着感が凄い。すべての楽器が猛烈に近く、目の前で演奏しているのが見えるよう。特に凄いのがヴォーカルで、わずかにかかったエフェクトも鮮明に卓直結サウンドボードとなんら変わらないダイレクト感で見事な歌声が流し込まれる。先日も2010年のステレオ・サウンドボード『SAO PAULO 2010 SOUNDBOARD』をご紹介しましたが、あのド直結サウンドにも負けず、さらにオーディエンスならではの自然さまでそろっている。曲間には喝采も起こりますが、演奏中は静かに聴き入る観客なため、それこそ“オフィシャル級オーディエンス”とでも呼びたくなるライヴアルバムなのです。さて、本題。そんな激烈サウンドで描かれる最新ライヴが意外なほどにカッコ良く“おっ!”となる素晴らしいショウなのです。基本は近年の当たり前になっている“RAINBOWパラダイス”。『SAO PAULO 2010 SOUNDBOARD』もRAINBOWたっぷりでしたが、本作はさらに徹底。ソロ曲を完全に排除し、「Power」「Stone Cold」も演奏。なにより、オープニングが「Over The Rainbow」であり、“RAINBOWのシンガー:ジョー・リン・ターナー”を全面に押し出している。しかし、全曲RAINBOWというわけでもなく、DEEP PURPLEの「Highway Star」「Burn」を披露(『SLAVES AND MASTERS』にしなさいよ……)し、さらにイングヴェイ・マルムスティーン時代の「Rising Force」も歌っています。いかにも“いつも通り”なショウですが、一体何が良いのか。まず、バックバンド。近年のジョーは固定バンドを持たず、公演地の地元ミュージシャンを使うことも少なくない。そのため、公演地によってはヨレヨレであったり、コピーバンド然としたアマチュア感が漂うこともあるのですが、本作はさすが本拠地アメリカ。有名人とは言い難いものの、しっかりとロックシーンで生き残ったキャリア組を揃えているのです。ギターはTRIXTER(懐かしい!)のスティーヴ・ブラウンですし、ドラムはMR. BIGの一員として来日もしたマット・スター。一番経歴が豪華なのはベースのシーン・マクナブでして、元在籍バンドを列挙するとQUIET RIOT、HOUSE OF LORDS、GREAT WHITE、ROUGH CUTT、XYZ、DOKKEN、BURNING RAIN……と、まるでLAメタルの生き字引なのです。そんなキャリア組だけに、プロフェッショナルながらも確かな演奏が素晴らしい。単に“お上手に再現”しているのではなく、オリジナルを尊重しつつ、自分なりのアレンジやフレーズを随所に加え、何よりも熱くロックしている。特にギターのスティーヴ・ブラウンは素晴らしい。「Death Alley Driver」にしろ、「I Surrender」にしろ、「Spotlight Kid」にしろ、決めの代名詞フレーズをしっかり再現しながら、それ以外にもガンガン自分流を差し込む。それがまた、えらくメロディアスでキャッチーでして曲にピタッとハマっているのです(逆に言えば、オリジナルの精緻な再現を求める方には向かないかも知れません)。タフでタイトなリズム隊も良いですし、変に地方ミュージシャンなど雇わず、堂々と「これが今のJLTバンド!」と全面に出した方がイイと思うのですが……。そして、肝心要のジョーの声がまた素晴らしい。かつての線の細さはどこへやら、野太く逞しい歌声は“ロックシンガー然”とした頼もしさ。それでいて伸びる声の密度は変わりなく滑らかで、ショウが進んでも掠れも割れもしない。80年代当時、いくら「ジョーはポール・ロジャースを思わせる」と言われてもピンと来なかったものですが、今ならば納得もできる。すでに65歳だというのに、見事なヴォーカルです。ソロ曲なしのセットはやや残念な気もしますが、RAINBOWまみれでつまらないわけがない。80年代の輝く歌声とは違いますが、逞しくなったロックヴォイスが格好悪いわけがない。その上、歴戦のキャリア組がオリジナルにさえなかったメロディアス・フレーズまでも散りばめたライヴ。“良い音・良い曲・良い演奏”が総てそろった1本。
Live at Curtain Club, Dallas, TX. USA 21st August 2016 TRULY PERFECT SOUND
Disc 1(45:27)
1. Over The Rainbow 2. Death Alley Driver 3. I Surrender 4. Power 5. Street of Dreams 6. Jealous Lover 7. Spotlight Kid 8. Stone Cold
Disc 2(43:44)
1. MC dedicated to Jimmy Bain & Ronnie James Dio 2. Man On The Silver Mountain 3. Highway Star 4. Can't Happen Here 5. Rising Force 6. Long Live Rock 'n' Roll 7. Burn
Joe Lynn Turner - Lead Vocal Steve Brown - Guitar, Vocal Sean McNabb - Bass, Vocal Gary Zaffa - Keyboards Matt Starr - Drums