現在、ジャパンツアー真っ最中のWHITESNAKE。その最速ライヴアルバムが登場です! 本作が録音されたのは「2016年10月9日ラウドパーク・フェスティバル」。この駄文が公開されるのは11日ですから、録音されたのはわずか2日前。まだ最終日の大阪を残しているタイミングであり、まさに最新・最速リリース決定です! 念のため、今回のスケジュールも確認しておきましょう。
・10月9日:さいたまスーパーアリーナ【本作】 ・10月10日:静岡市民文化会館 ・10月13日:大阪国際会議場
以上、全3公演。本作に収められた“ラウドパーク2016”は、初日公演でもありました。その現場に赴いた録音家は、なんと“西日本最強テーパー”氏。その名の通り、普段は大阪・名古屋を中心として活動している名手ですが、今回は東京まで遠征。一大イベントを見事に収めきっているのです。そのサウンドは、名手のテクニックが光る逸品。そもそもラウドパークの音響は例年不安定で、バンドによってバラバラ。今年のWHITESNAKEについては「塊になってた」「デスメタル並の音圧」との評判が乱れ飛んでおります。ところが、本作から流れ出るのは、そんな悪評が信じられないほどに見事なオーディエンス・サウンド。「まるでサウンドボード」と呼ぶタイプではないものの、図太い楽音が轟く様はライン録音ばりのド迫力。それでいて各楽器も1音1音鮮やかに聴き取れるのです。正直なところ、次々と届く録音の中には「デスメタルみたい」の感想を裏付けるものもあったのですが、さすが名匠の作。“現場よりも良い音で録る”と噂される実力は本作でも輝いている。さらに素晴らしいのは、ポジショニング。周囲に人がいないポジションで録音されたそうで、フェスティバルの巨大な喧噪がまったく気にならない。正確に言いますと、大歓声も拾ってはいるのですが、それが非常に遠く、小さく、極太の楽音や歌声にかき消されるほどなのです。これほど図太い演奏が聴けながら、周りに人がいない。一体、あの会場のどこにそんなポジションがあったというのか……。名匠の眼は、“西日本”以外の会場でも音響を鋭く見抜いたわけです。そんな来日初日は、ド迫力サウンドが猛烈に似合うパワー・スネイク。DEEP PURPLEナンバーを復刻させた昨年から一転、今年は“GREATEST HITS TOUR”と題し、ゲフィン時代の『SLIDE IT IN』『SERPENS ALBUS』『SLIP OF THE TONGUE』3枚を大フィーチュア。メタリックな名曲群を猛プッシュするパワフルなショウなのです。そんなセットリスト以上に、肝心要のデヴィッド・カヴァデールの気迫が凄まじい。65歳となる彼の歌声は80年代とだいぶ変わりましたが、目の前の観客を熱くさせ、圧倒するロック魂は今なお灼熱。そのパワーは、DEEP PURPLEナンバーに沸いた昨年さえも超えているかも知れません。来日前には、カヴァデール本人が「日本でのライヴは最後かも知れないね」と不穏なことを言っていましたが、まさか最後の決意が滲んでいるのか………そんな不安に駆られるほど鬼気迫る熱唱なのです。もちろん、そんなカヴァデールを支えるメンバー達も素晴らしい。カヴァデールより1歳上のはずのトミー・アルドリッジは相変わらずパワフルなドラミングを轟かせ、レブ・ビーチ&ジョエル・ホークストラのツインは、歴代No.1とも言えるテクニックと相性の良さを聴かせる。その輝くフレーズやハーモニーの数々は、DEEP PURPLEよりもゲフィン時代のメタルナンバーにこそ似合っています。さらに、トミー以外の全員で歌いかかるコーラスはぶ厚く美しい。特にベースのマイケル・デヴィンやキーボードのミケーレ・ルッピの歌声の素晴らしさといったら(ルッピの本職はヴォーカルで、新世代のジェフ・テイトとさえ言われるほどの名シンガーです)。この充実のライヴ、本当に最後になるのでしょうか。近年では来日の度に「これが最後かも」と噂されますが、それはあくまでもファン側の不安でした。しかし、今回はカヴァデール自身が「最後」を口にした。まだ断言でも宣言でもないわけですが、そんな弱気が信じられないほどに素晴らしく、逆に決意めいた力強さが不安を掻き立てるライヴ・イン・ジャパン。そんな喜びも興奮も不安もない交ぜになった“今”。この刹那を味わい尽くす1本。
Live at Saitama Super Arena, Saitama, Japan 9th October 2016 PERFECT SOUND(from Original Masters)
Disc 1 (49:03)
1. My Generation 2. Intro. 3. Bad Boys 4. Slide It In 5. Love Ain't No Stranger 6. Deeper The Love 7. Fool For Your Loving 8. Ain't No Love In The Heart Of The City 9. Judgement Day 10. Guitar Solo 11. Slow An' Easy
Disc 2 (45:25)
1. Bass Solo 2. Crying In The Rain 3. Drum Solo 4. Crying In The Rain (reprise) 5. Band Introduction 6. Is This Love 7. Give Me All Your Love 8. Here I Go Again 9. Still Of The Night 10. Burn 11. We Wish You Well
David Coverdale - Vocal Joel Hoekstra - Guitar Reb Beach - Guitar Michael Devin – Bass Tommy Aldridge - Drums Michele Luppi – Keyboards