
二週間ほど前の929関連アイテムの再リリースは元々ZEP初来日公演から45周年を記念して企画されたものであり、新音源リリースではなかったにもかかわらず、ここでの告知から驚くべき速さで完売、改めて1971年来日公演の絶大なる人気ぶりを痛感させられました。それどころか、この時の再リリースをきっかけとして初来日公演の新たなテープの提供者が現れたのだから驚きのタイミングでした。ZEP初来日公演と言えば今や武道館初日と929こそ決定的な高音質音源のアイテムがそれぞれに存在していますが、それら以外の公演となれば音質が悪かろうが、不完全収録であろうとも注目されるであろう、大きな歴史的価値を持っているもの。なんということでしょう、今回のリリースに当たって提供されたマスター・カセットの音源は9月28日の大阪フェスティバル・ホール初日公演、つまり「928」の新たなオーディエンス録音だったのです。929ほど決定的な音源やアイテムが存在しないことから、こちらも凄まじい名演だったにもかかわらず印象の薄い928。そこで今回の音源を紹介する前に、これまでに出回ってきた928の音源についておさらいしてみましょう。
recorder 1
928ショーを捉えたオーディエンス録音としてはもっともポピュラーなもの。ステレオ録音で音像は意外なほどオンな状態。ただし音質が濁った感が否めず、もう少しマスターかジェネレーションの低いバージョンが登場すればさらに聴きやすくなるのでは。全体的な録音イメージが同年のフロイド大阪(当店が各種リリース済)の音源によく似ているので、同じテーパーによって録音された可能性も考えられます。そして録音は「Whole Lotta Love Medley」の「Hello Mary Lou」が終わったところまで。
recorder 2
recorder 1では聴かれなかった「C'Mon Everybody」や「High Heeled Sneakers」といった曲が演奏されたアンコール部を解き明かしてくれたという点で意義のある音源ではありましたが音質が非常に悪く、ダビングを繰り返したようなヒスノイズの強さと、それの向こうから音像の遠い演奏が鳴って来るという状態が辛い。
recorder 3
こちらは最近になって「Black Dog」のみが発掘されたサウンドボード録音。完全版の登場が待たれます。
このように今まで三種類の音源が確認されていましたが、今回は「recorder 4」であり、オーディエンス録音としては三番目の登場となるもの。928ショー全体を捉えたオーディエンス録音としては、LPブートの時代からの定番音源と呼べる「recorder 1」以来。そうした状況からも、今までいかなる形でも出回っていなかったブランニュー・ソースであることを理解していただけるかと思います。そんな衝撃のニュー・マテリアルではありますが、45年もの間眠っていただけのことはあり、いくつかの劣化や録音の欠損というデメリットもあります。最初にそれらの問題を挙げておきますと「Since I've Been Loving You」の4分半ばから一分近くにかけて起こるテープの劣化のドロップアウト。「Dazed And Confused」では長い演奏が災いしてテープの面変え(7:30)と劣化によるカットがエンディング付近で確認できます。さらに「Stairway To Heaven」が終わった辺りで、今度は二本目のカセットにかけ変えとなってしまい(録音者としては余裕を持ってチェンジしようとしたのだと思いますが)、結果、さわりだけ演奏してみせた「Please Please Me」と「From Me To You」というビートルズの二曲の場面と「Celebration Day」の出だしが欠けてしまいました。今回の新音源における最大の欠点と呼べる箇所です。その後はスムーズに録音が進行しましたが、今度は「Moby Dick」でテープチェンジのカットが入り(13:06)、アンコール「High Heeled Sneakers」の終盤で遂にテーパーが用意したカセットが尽きてしまいました。初来日の中でも大阪二日間はショーがあまりに長かったことから、単一ソースで完全収録されたオーディエンス録音というのがまったく存在しないのですが、今回の音源もまたしかり。そして音質に関してですが、演奏の音像は奥行きのあるもので「recorder 1」には及びません。しかしながら「recorder 2」のようなザラザラに荒れた質感とはまるで別次元な、非常にナチュラルで鮮度の高い状態はマスター・カセットからの収録ならではのもの。今回の音源によって「High Heeled~」などのアンコール部分をようやく「音楽」として聴けるように感じるマニアが多いかと思われます。それでは今回の音源のメリットを紹介いたしましょう。先に挙げた欠点を補って余りある、928の新事実が明らかとなるのです!それがCDボタンを押した瞬間からさっそく訪れるという衝撃。何しろZEPが登場する前におけるフェスティバル・ホールの雰囲気を12分にも渡ってドキュメントしてくれるのです。まずは出ました、司会者によるMCが聴かれるのですが「ロックファンとして、レベルの高い大阪の方々へお願いが…」と語り掛ければ、テーパー近くのファンが「名古屋もいるよ、名古屋も」と答える。この場面だけでも捧腹絶倒の場面なのですが、その後に聴かれた「まさかこの中に警察の方 いらっしゃらないでしょうね?」という客席からの意味不明な野次には周囲がドン引き(笑)。ZEP登場前、正に嵐の前の静けさと呼ぶべきのどかな光景でした。 今回の音源が明らかにしてくれた928の新事実はライブの終盤に集中します。まず何といっても遂に登場した「Whole Lotta Love」の完全版は世界中のマニアの注目を浴びることでしょう。そうです、ようやく「Hello Mary Lou」の後が聴けるようになったのです!それに続いたのはジーン・ヴィンセントの「Be-Bop-A-Lula」。これは前日の広島でも取り上げていましたが、ここではペイジが間奏でエルヴィス・プレスリー「Heartbreak Hotel」のソロを弾くという面白い展開。広島ではこの曲からエンディングへと向かいましたが、ここではさらにヴィンセントつながりの「Say Mama」。これも71年のメドレーらしい選曲で、そこからさらにファッツ・ドミノやプレスリーで知られる「Lawdy Miss Clawdy」に流れ、最後は「You Shook Me」でメドレーが締めくくられていたのです。とどめはアンコールの開始場面!これまでは幕開けとなった「C'mon Everybody」の歌い始めから録音が残されていますが、ここでは一度ステージから引っ込んだZEPが再び現れるところまでもドキュメント。しかも彼らがステージに戻れば、プラントによって「ここからはロックンロールをやろうと思う。そこで二人のベーシストを紹介するよ、フィル・カーソンとジョン・ロー(というように聴こえる)」と語り掛け、しかも「C'mon Everybody」はイントロから完全収録。カーソンはアトランティック・レコードの重役でZEPと親密だったことがマニアにはよく知られるところですが「ジョン・ロー」と聴こえる名前はジョンジーをからかった呼び方かもしれません。そのせいでプラントが「二人のベーシスト」といった風に紹介したのではないでしょうか?確かに今回の音源ですが、音質面においては過去のアイテムを超えられるようなレベルではなく、おまけに「Black Dog」以降はマイクの向きが変わったと思われる音のこもりまで感じられます。さらには未収録部分まで存在する訳ですが、それでも今回の発掘によって初めて聴けるようになったパートの衝撃はあまりにも大きい。そこで今回のCD化に際し、ピッチの見直し以外には余計な手を加えることをせず、さらには別音源で補填する手段もあえて避け、あくまで音源とドキュメントとしての歴史的価値を尊重し、テープの原音を忠実に封じ込めることだけに神経を注いでいます。もちろん余計なイコライズなど一切施していません。それはヒスノイズさえもナチュラルで自然に聴こえる質感を聴いてもらえば明らかなこと。大好評を博した929アイテムの再リリースに続き、本当に久々となる928のブランニュー・ソース、これは間違いなくマニア感涙モノでしょう!
Live at Festival Hall, Osaka, Japan 28th September 1971
Disc 1 (74:47)
1. Introduction ★初登場の開演前アナウンスに続いて、場内の様子を延々ノンカットで12分も収録。(開演前BGMは無し)9:13の誰かの「まさかこの中に警察の方 いらっしゃらないでしょうね?」の大声とそれに対する微妙な反応が面白い
2. "Good Evening" 3. Immigrant Song 4. Heartbreaker 5. Since I've Been Loving You ★4:31 - 5:23迄 厳しい状態。(2分台からテープ劣化スタート) 6. Black Dog 7. Dazed And Confused ★4分目から7:30のテープチェンジカットまで、やや劣化気味。21:43(D&C エンディング) 22:48(曲間 のカット)はそれぞれ元テープの劣化によるもの。
8. Stairway to Heaven ★終演後「アリガトウ。Good Evening!」でテープチェンジ。録音者が手間取ったのか、次のPlease Please Me, From Me To You が残念なことに未収録。
Disc 2 (38:09)
1. Celebration Day ★カットイン 2. Bron-Yr-Aur Stomp 3. That's The Way 4. Going To California 5. We Shall Overcome 6. Tangerine 7. Down by The Riverside 8. What Is And What Should Never Be
Disc 3 (64:07)
1. Moby Dick ★13:06テープチェンジカット & 15:06 カット 2. Whole Lotta Love 3. C'mon Everybody 4. High Heel Sneakers ★3:11でカットアウト