
“ロバート・ワイアット・ベネフィット”で知られる1973年のレインボー・シアター公演。1日2公演のすべてを過去最高サウンドで完全収録した決定盤が登場です。そもそもの起こりは、1973年の6月に遡る。元SOFT MACHINEのドラマー:ロバート・ワイアットは、当時MATCHING MOLEで活動していましたが、パーティの席上で酔っ払い、5階から転落するという事故に遭います。一命は取り留めましたが、これによって下半身不随となり、ドラマー人生が絶たれてしまった。そんなワイアットの窮状を救うために立ち上がったのがPINK FLOYD。彼らはクラブ時代からワイアットと旧交があり、シド・バレットの『THE MADCAP LAUGHS』にもワイアットが参加する仲だったのです。そうして企画されたベネフィット・コンサートが実現したのは「1973年11月4日」のことでした。当時、すでに“DARK SIDE OF THE MOON TOUR 1972-1973”は終了していましたが、1日2公演だけ行われた特別公演。良い機会ですので、“DARK SIDE OF THE MOON TOUR”全体像の中で見てみましょう。
・1972年1月17日-2月20日:英国#1(18公演)・1972年3月6日-13日:日本(6公演)・1972年3月29日&30日:英国#2(2公演)・1972年4月14日-5月4日:北米#1(17公演)・1972年5月18日-29日:欧州#1(5公演)《約3ヶ月後》・1972年9月8日-30日:北米#2(17公演)・1972年10月21日-12月10日:欧州#2(22公演)
・1973年1月13日-2月4日:フランス(4公演)・1973年3月4日-24日:北米#3(17公演)・1973年5月18日&19日:英国#3(2公演)・1973年6月17日-29日:北米#4(13公演)《約4ヶ月後》・1973年10月12日&13日:欧州#3(2公演)・1973年11月4日:レインボーシアター(1日2公演) 【本作】
これが“DARK SIDE OF THE MOON TOUR”の全容。ツアー本編は1973年の6月末に終了しており、約4ヶ月の間が空いてのコンサート。そして、本作は『狂気』時代最後のパフォーマンスでもあるのです。そんな節目のコンサートでもあった本作は、ディスク1に「EARLY SHOW」、ディスク2に「LATE SHOW」のフルセットを収録した2枚組。この日は前座にSOFT MACHINEを迎え、さらに1日2公演でしたので、1公演が約70分のショート・セット。通常ツアーでは2部構成になっていましたが、この日は分かれておらず、『狂気』全曲のあと「Obscured By Clouds」「When You're In」で幕を閉じる構成だったのです。さらに「Obscured By Clouds」「When You're In」の2曲は翌年のフランスツアー以降セットリストから外されてしまい本公演がラストパフォーマンスとなるっているため、その点でも注目のコンサートであるといえます。 さて、この特別公演。実は、以前から録音が知られており、現在までに2公演とも2本(計4本)の録音が発見されています。今回、世界的なFLOYD研究の権威が4本すべてのアンプロセスト・マスターを提供してくださいました。これを再生してみると、なんと4本すべてが過去の既発を大きく上回るもの。ジェネレーションはもとより、未加工のナチュラルさは圧倒的で、ヴィンテージ感覚も豊かながら鮮度も素晴らしいアップグレード・サウンドが流れ出てきたのです。本作は、そんなアンプロセスト・マスター4本を駆使し、権威の監修の下で完全・最良版に仕上げた2枚組なのです。それぞれの構成を簡単にまとめてみましょう。
【ディスク1:EARLY SHOW(17時公演)】・RECORDER 1・RECORDER 2:ディスク1のメイン 【ディスク2:LATE SHOW(21時公演)】・RECORDER 1:ディスク2のメイン・RECORDER 2
非常にシンプルですが、以上が本作の中身。両公演とも「RECORDER 1」「RECORDER 2」が知られていますが、いずれも完全収録ではなかった。そこで、音の良い「EARLY SHOWのRECORDER 2」と「LATE SHOWのRECORDER 1」をメインに、不足分をもう片方のマスターから補填したのです。その補填箇所は、ディスク1「Speak To Me」の冒頭2分27秒間と、ディスク2「Any Colour You Like」のイントロ部で4秒間。いずれも別録音を繋ぎ合わせているわけですが、精緻なマスタリング作業で違和感を極力排除。もちろん、無理矢理に音質を変えてアンプロセスト・マスターの“鳴り”を損なうような無粋なマネは一切しておりませんが、それでも繋ぎ目が分からないくらい自然に仕上げることができました。これも、アンプロセスト・マスター自体の鮮度が成せる業なのです。実際、今回のアンプロセスト・マスターは本当に驚異的。特にディスク1は、既発ではノイズや音切れが散見。なんともサウンド自体は悪くなくても、ストレスの残るものでした。ところが、今回のマスターにはそのノイズや切れがほとんどない。シームレスに美しいまま、全編を楽しむことができるのです。一方のディスク2もまた素晴らしい。既発ブートレッグ『OBSCURED AT RAINBOW』でも有名な録音ですが、本作はさらにアップグレード。ステレオの広がり感あるオーディエンス録音で、ステージ間近で録られたと思われるリアルなサウンドがより高音質で楽しめます。アジマス・コーディネーターと呼ばれる4chサラウンドを駆使したSEや「Any Colour You Like」でのリック・ライトのソロなども、同時期の他の公演と比べても会場内を音がどう飛び回っていたのかまでハッキリと分かる所がこの音源の注目すべき点と言えるでしょう。それがシームレスに蘇ったディスク1以上のクリアな美サウンドでたっぷりと浸りきることができるのです。43年の時間を超えて世に現れたアンプロセスト・マスター。その美音を最大限に駆使して1日2公演のすべてを再現いたしました。過去最高峰のサウンドで味わえる『狂気』時代のラスト・パフォーマンス。
Rainbow Theatre, London, UK 4th November 1973 Early Show & Late Show
Disc 1(68:31) Early Show The Dark Side Of The Moon
1. Speak To Me 2. Breathe 3. On The Run 4. Time 5. Breathe(Reprise) 6. The Great Gig In The Sky 7. Money 8. Us And Them 9. Any Colour You Like 10. Brain Damage 11. Eclipse 12. Tuning 13. Obscured By Clouds 14. When You're In
Disc 2 (70:01) Late Show The Dark Side Of The Moon
1. Speak To Me 2. Breathe 3. On The Run 4. Time 5. Breathe(Reprise) 6. The Great Gig In The Sky 7. Money 8. Us And Them 9. Any Colour You Like 10. Brain Damage 11. Eclipse 12. Tuning 13. Obscured By Clouds 14. When You're In