“90年代最強のYES”とも言われるイゴール・コロシェフ&ビリー・シャーウッド時代。その強力アンサンブルをステレオ・サウンドボードで収めた代表作が新発掘アップグレード・マスターで蘇りました。その強力サウンドボードとは「1998年3月27日カトヴィツェ公演(ポーランド)」。この録音自体は以前から知られ『THE REVEALING IN POLAND』として登場したもの。当時からして「オフィシャル・レベルの超極上ステレオ・サウンドボード録音」「最強のライン録音」と大絶賛を集めた超ハイクオリティ盤でした。一口に「サウンドボード」と言ってもピンキリですが、この録音は間違いなく“ピン”の方。超絶にクリアで耳に直接プラグを突っ込んだド直球感……いや、頭が再生機になったような没入感というべきでしょうか。複雑なアンサンブルの1音1音が脳のシワに刻まれるような鮮やかな極上品だったのです。いきなり猛烈に褒めちぎりましたが、これはあくまでも既発の話。本作は、そんな特級サウンドボードの新発掘マスターなのです。「あのサウンドが一体、どう良くなるんだよ?」と思いながら再生したところブッ飛びました。今さらになって気づいたのですが、既発マスターはショウ後半こそ超弩級でしたが、前半は(凄かったものの)そこまでではなかった。輝くクリアさは全編変わりないのですが、なんとなく音が薄く、ややIEMsっぽいニュアンスにも感じられたのです。ところが! 今回の新マスターは、後半で感じられたド級サウンドが全編を支配しきっている! 既発でさえ完全無欠だと思っていたのに、“それ以上”があり得たとは。ここで「後半は既発と同じ?」と誤解させてしまったら申し訳ありません。あくまで前半のアップグレードぶりに驚いただけでして、後半も新マスターの極上サウンドが一貫して貫いているのです。そんなクオリティで蘇ったライヴがまた、凄い。本作はイゴール&ビリーを迎えた“OPEN YOUR EYES AND 30TH ANNIVERSARY TOUR”なのですが、新作『OPEN YOUR EYES』からはタイトル曲と「From The Balcony」だけ。あとは30周年を祝うに相応しいキャリアを一望する名曲群が次から次へと繰り出される。もちろん、お馴染みの大代表曲もありますが、それだけではない。日本公演でも聴けた「Wonderous Stories」「Tempus Fugit」をはじめ、「The Revealing Science Of God」や「America」、スティーヴ・ハウの「Corkscrew」、さらにはJON & VANGELISの「Polonaise」まで飛び出す。このメンバーではオフィシャル作品『HOUSE OF YES: LIVE FROM HOUSE OF BLUES』も残されてはいますが、本作とダブっているのは5曲程度。『HOUSE OF YES』の補完版のようなショウを、完璧なオフィシャル級サウンドボードで聴けるわけです。サウンド、セットと来て、さらに演奏も素晴らしい。本作にはリック・ウェイクマンこそいませんが、イゴール&ビリーはその穴を埋めるに留まらない活躍ぶり。特にイゴールは、元々リックのマニアというだけあってYESの伝統を尊重した演奏ですが、その腕前は達人。しかも完コピに走るわけではなく、おおよそオリジナル・フレーズ通りに演奏しながらもネオプログレ的な音色を要所に混ぜ、よりカラフルに彩っているのです。オリジナルのイメージを崩すことなく、それでいて新鮮なサウンドで息を吹き返したクラシックス。そんな名演がたっぷりと詰まっているのです。YES史における“90年代”は、センセーショナルなヒットやコンセプチュアルなライヴにこそ欠けますが、王道のショウの完成度は凄まじい。特にイゴール&ビリーを迎えた時期は、90年代最高のバンド・ポテンシャルを誇っていました。それを極上・特級のステレオ・サウンドボードで捉えきった逸品。「良い音」「良い曲」「良い演奏」。ブートレッグに限らず、素晴らしい音楽アルバムに不可欠な要素が極上にそろったライヴアルバム。
Live at Spodek Hall, Katowice, Poland 27th March 1998 STEREO SBD(UPGRADE)
Disc 1 (75:35)
1. Firebird Suite 2. Siberian Khatru 3. Rhythm Of Love 4. America 5. Open Your Eyes 6. And You And I 7. Heart Of The Sunrise 8. Mood For A Day 9. Corkscrew 10. Clap 11. From The Balcony 12. Wonderous Stories
Disc 2 (78:41)
1. Polonaise/Igor Khoroshev Solo 2. Long Distance Runaround 3. Whitefish/Tempus Fugit/Alan White Solo/Ritual 4. Owner Of A Lonely Heart 5. The Revealing Science Of God 6. I've Seen All Good People 7. Roundabout 8. Starship Trooper
STEREO SOUNDBOARD RECORDING
Jon Anderson - Vocal Steve Howe - Guitar Billy Sherwood - Guitar, Keyboard Chris Squire - Bass Alan White - Drum Igor Khoroshev- Keyboard