
キース・エマーソンとグレン・ヒューズ、それに“キース晩年の相棒”でもあったマーク・ボニーラの共演ライヴ2公演を収めたオーディエンス・アルバムがギフトタイトルで登場です。3人の共演が実現したのは、1998年のカリフォルニア。ツアーというか、5公演だけ行われたスペシャル・ライヴでのことです。オフィシャル盤『BOYS CLUB - LIVE FROM CALIFORNIA』もリリースされていますが、もちろん本作は別公演。まずは、その5公演のポジションを確認してみましょう。
・1998年1月16日:サン・ファン・カピストラーノ公演 ・1998年1月17日:ハリウッド公演 ・1998年1月30日:ロサンゼルス公演 【本作】 ・1998年5月14日:サンタクルーズ公演 【本作】 ・1998年5月15日:サンフランシスコ公演 ※公式盤
この5公演は、会場によってマーク名義であったり、キースがフィーチュアされていたりとバラバラなのですが、実質はマークと彼のバンドDRAGON CHOIRが主軸。そこにキースとグレンが客演するスタイルです。「なんだ客演か」とガッカリされる必要はありません。そのフィーチュア度は単なるゲストの次元を遙かに超えており、EL&Pやグレンのソロナンバーもたっぷり。マーク&DRAGON CHOIRをバックに伝説の2人が持ち味を爆発させるライヴなのです。そのクオリティは超絶なまでのハイクオリティ・オーディエンス。まず登場するのは、本作のメイン「5月14日サンフランシスコ公演」のフル・ライヴ。そのクオリティたるや凄まじく、生々しい観声がなければ、もし翌日「5月15日」がオフィシャル化されていなければ、サウンドボードかと思うほどにダイレクト。その上、楽音の粒1つひとつがキラキラと輝くように超クリアなのです。「でも、翌日がオフィシャルにあるんだろ?」と思うかも知れませんが、その公式盤は曲順を変えた編集の乱雑ぶりが残念な仕上がりでもありました。それに対し、本作は本生100%の自然さたっぷりにオフィシャルにも負けない超・超高音質オーディエンス・サウンドでフルショウが楽しめるのです。そんなクオリティで描かれるショウは、恐ろしく格好いいマークの「After Burner」で開演。そして、ゲイリー・ムーアのような泣きのインスト「Long Journey Home」の世界を食い破るように“あの”サイレンが鳴り響き、「Hoedown」がスタート! 登場した御大キースの指先は冴えに冴えまくり、全盛期を彷彿とする猛烈なスピードと滑らかな運指を炸裂させる。再結成EL&P後期辺りから不調が目立つライヴもありましたが、本作の演奏は完全復活を宣言するかのように鮮烈です。そして、新解釈のアレンジが猛烈にカッコイイ! メインテーマをユニゾンしていたギターがブレイクすると、カントリー調の超速カッティングが炸裂し、ブルースハープも絡んでまったく新しい「Hoedown」を聴かせる。その小粋なこと! EL&Pでも決してユーモアを忘れなかったキースのキャラクターを大事にしながら、見せ場を濃縮増量する見事なバージョンです。続く「Nutrocker」も、まるで火曜サスペンス劇場でも始まりそうな劇的イントロや流麗なギターが追加。メインテーマをピアノとギターが重ねる重厚バージョンでありながら、キースの指先がどこまでも快調に突っ走ります。さらにキースの独壇場「Close To Home」「Honky Tonk Train Blues」「Creole Dance」3連発やマークとスリリングなバトルをたっぷりと聴かせてくれたところで、キースに「The Voice of Rock’n Roll」と紹介される最後の主役、グレン・ヒューズが登場。PROCOL HARUMやTHE ALLMAN BROTHERS BANDのカバーで神の声を存分に轟かせるわけですが、何と言っても強烈なのは「Tarkus」! オリジナルを大事しながらもキースはジャズ風味を加え、マーク&DRAGON CHOIRは重厚さを加え、グレンは穏やかな声で神々しさ、アグレッシヴなシャウトで絶頂を加える。この3人が並び立つ意味の総てを凝縮し、新たな魅力が二重三重に上乗せされた重厚壮麗な「Tarkus」。まったく、まったく持って素晴らしい……。長々と書いてきましたが、これでもディスク1。代わってのディスク2には、これまた斬新な解釈の「Fanfare For The Common Man」「Rondo」に加え、さらにもう1公演「1月30日ロサンゼルス公演」の6曲が追加収録。このロサンゼルス公演も本編サンタクルーズ公演に勝るとも劣らない超・超高音質オーディエンスです。ともかく絶好調のキースと、彼の個性を最大限に尊重しながらも斬新なアレンジ、そして豪華極まる「Tarkus」。“EL&P以降のベスト”と呼ぶに相応しい名演の総てを超・超ハイクオリティ・サウンドで記録しきった1枚です。2016年の4月、私たちは再びマークと並び立つキースに逢えるはずでした。何度も口を付きそうになりながら、飲み込んだ言葉「生きることをあきらめないでくれさえすれば……」。でも、一度だけ。今週末、一度だけその言葉を口にすれば、彼を送れる。そんな想いを共にしてくださる方へ。マークと共に最高に輝いていた本作を贈ります。
Palookaville, Santa Cruz, CA. USA 14th May 1998 TRULY PERFECT SOUND
Disc 1(76:12)
1. Intro 2. After Burner 3. Long Journey Home 4. Hoedown 5. Nutrocker 6. Close To Home 7. Honky Tonk Train Blues 8. Creole Dance 9. White Noise 10. A Whiter Shade Of Pale 11. Cover Me 12. Dreams 13. Tarkus
Disc 2(63:14)
1. Fanfare For The Common Man 2. Rondo
NAMM (National Association of Music Merchants)
Bonaventure Hotel, Los Angeles, CA. USA 30th January 1998
3. Introduction 4. After Burner 5. Hoedown 6. Creole Dance 7. White Noise 8. A Whiter Shade Of Pale 9. Tarkus (with Bob Moog on Theremin)
Keith Emerson - Keyboards Glenn Hughes - Vocals Marc Bonilla - Guitar
Dragon Choir
Mike Wallace - Guitar Mick Mahan - Bass Joe Travers - Drums Ed Roth – Keyboards