
今を去ること20年前、1996年に実現した初・北海道公演のライヴアルバムが登場です。“PURPENDICULAR WORLD TOUR 1996”での来日公演は、スティーヴ・モーズが加入しての初来日でもあったわけですが、この日はDEEP PURPLE全史でも初めての北海道公演でした。本作は、その記念すべきオーディエンス・アルバムなのです。1996年のジャパンツアーは、日本全国を全10公演ものスケールで縦断するスケジュールでしたが、本作が記録されたのは9公演目にあたる「1996年11月6日・札幌公演」。録音家は、北海道に“その人あり”と知られる札幌の達人。最近ではポール・ロジャースの『SAPPORO 1996』やジェフ・ベックの『SAPPORO 2005』がハイクオリティ・サウンドで話題を呼びましたが、あの超傑作群をモノにしたテーパーです。そんな達人から直接譲られたマスターは、今回全世界初公開となる録音。そこに封じ込まれていたのは、その名声を高める素晴らしいサウンドでした。とにかく楽音がクリアで、低音も図太く轟く。現場となった“北海道厚生年金会館(現:さっぽろ芸術文化の館)”は、2300席で北海道最大規模のホールなのですが、その空間スペクタクルを感じさせながらも残響が透き通っており、総ての楽器のエッジまで鮮やか。その上で、会場の床や壁が振動するのまで伝わるような豊かな低音も素晴らしいのです。北海道といえば、長年テーパー不足にあえぐ不毛地帯のイメージがありますが、本作のクオリティは、名手ひしめく東京や大阪の都市圏であっても十二分に通用する。それどころか、凌駕しかねないレベルの名録音なのです。しかし、そこに封じ込まれているのは、間違いなく貴重な初・北海道の実録。本作には、やっと出逢えたDEEP PURPLEに熱狂する大歓声も封じ込められているのですが、その熱さ、喜びようったらない。「Fireball」の開演から、文字通り火の玉のようです。それもそのはず、“初めてのPURPLE”でもあるわけですが、ファミリー全体を振り返ってみても、北海道公演は1978年悲劇のRAINBOWや1983年・1984年のWHITESNAKEくらい。もちろん、時代は既に90年代でもあり、1978年のような騒乱ではなく貴重な機会を目に、耳に焼き付けようという集中力が凄いわけですが、その上で1曲1曲が終わるごとに沸き上がっては会場中に広がる歓喜が喩えようもなく美しいのです。いつしか外タレのコンサートも当たり前になり、忘れかけていたあの歓喜。その気持ちをハイクオリティに録音できる時代にまで保ち続けていた。まさに札幌ならではの空気、1996年だからこその透明感が広がるのです。そんな熱狂に引っ張り上げられるようなDEEP PURPLEのパフォーマンスも素晴らしい。既にリッチー・ブラックモアの姿はありませんが、“リッチー後の最高傑作”と謳われる名作『PURPENDICULAR』のバンド・ポテンシャルもそのままに、約半数となる6曲もがセットイン。このツアーでは日本全国で新編成の魅力を証明しようという熱演を聴かせてくれましたが、初の北海道ではその魅力を素直に受け止める観客のおかげで、いつになくノビノビとしています。オフィシャル盤『LIVE AT THE OLYMPIA '96』でも聴けない「The Aviator」も嬉しいところですが、一番感動的なのはやはり名曲中の名曲「Sometimes I Feel Like Screaming」。モーズの美しくもダンディなトーンと故ジョン・ロードの伝統ハモンドオルガンが絡み、良く伸びるイアン・ギランのシャウトが絶頂を美しく彩る。いや、本当に、この札幌公演で公式ライヴアルバムを作っていたら、とんでもない名盤になったのではないでしょうか。この1996年は、リッチーが去った後でもっとも良い……いえ、もしかしたら1985年に再結成してから一番良い時期だったのかも。そんなバンドの魅力が溢れ出し、初々しい札幌ファンが暖かく受け止めるショウ。これほど美しいライヴアルバムは、それこそ1972年の『MADE IN JAPAN』以来かも知れません。そんなバンドと観客の交感を見目麗しい達人サウンドで収めきった1本なのです。2016年5月、三度目となるDEEP PURPLEの北海道公演が発表されました。今度は札幌に加え、函館でも開催されます。彼らがロックの殿堂に輝き、北海道に戻ってこようとしている今だからこそ、振り返ってみたい“初めての札幌”。現場の空気をたっぷりと吸い込んだオリジナル・マスターから、バンドとファンの輝く交感が溢れ出るライヴアルバム。ぜひ、存分に味わってください。
Live at Koseinenkin Hall, Sapporo, Japan 6th November 1996 TRULY PERFECT SOUND(from Original Masters)
Disc 1(57:06)
1. Intro 2. Fireball 3. Vavoom: Ted The Mechanic 4. Pictures Of Home 5. Black Night 6. Cascades: I'm Not Your Lover 7. Sometimes I Feel Like Screaming 8. Woman From Tokyo 9. The Aviator
Disc 2(63:27)
1. MC 2. Rosa's Cantina 3. No One Came 4. Smoke On The Water 5. When A Blind Man Cries 6. Speed King
Encore
7. Perfect Strangers 8. Hey Cisco 9. Highway Star
Ian Gillan - Vocal Steve Morse - Guitar Roger Glover - Bass Ian Paice – Drums