
ブルース道に踏み込んだばかりのゲイリー・ムーアを本生100%でたっぷりと味わえるライヴアルバムが登場です。『STILL GOT THE BLUES』を契機にブルース道に目覚めたゲイリーですが、その初期には、まだまだハードロック色が濃厚。フォームや曲はブルース・スタイルながら、その弾きっぷりはハードロック時代と変わらず、“ブルースに憧れるロック・ギタリスト”丸出しだからこその味に溢れていました。そんな本作は、そんな時代の「1990年8月13日ブライトン公演」を収めたオーディエンス・アルバムです。そのサウンドは、素晴らしい本生オーディエンス・サウンド。現場となったのは、約200年の歴史を誇る“ブライトン・ドーム”で、1700人規模のホール。そのスケール感と伝統会場らしい暖かみのある残響も美しく、その中をマシンガン・ピッキングの1音1音が真っ直ぐに突っ切り、耳に飛び込んでくるタイプの録音なのです。「まるでサウンドボード」というダイレクト感とはちょっと違いますが、それがブルース・スタイルにやたらと似合う。何と言っても素晴らしいのが、現場の空気感。ビートに乗って沸き上がる手拍子、ゲイリーの求めに応じる唱和の分厚いこと! 冒頭の「Oh, Pretty Woman」からやんやの大喝采で「Walking By Myself」でもゲイリーが「You know!」と一声かけるだけで歌う歌う。ホンキートンク調のピアノにビシッと合った手拍子はほとんどパーカッション、歌声はほぼコーラス隊。楽曲に不可欠なアンサンブルの一部と化している。そんな現場の熱いムードを空気ごと吸い込み、スピーカーから吐き出してくれるのです。そのムードを支えているのは、間違いなくイギリス人の熱狂。ブルース時代というとアメリカでも成功したことが話題になりますが、それまでのゲイリーがアメリカで無風だったことの裏返し。決してアメリカに魂を売ったわけでも、主戦場を移したわけでもありませんでした。実際、『STILL GOT THE BLUES』はアメリカではゴールド・ディスクでしたが、イギリスでは初のプラチナムに輝いた。“ゲイリーのブルース”にもっともビビッドに反応し、諸手を挙げて歓迎したのはイギリス人であり、そのリアルな反応がそっくり本作に詰まっているのです。やたらと大人気ぶり、盛り上がりぶりを書いてきましたが、こう書くとファンの大騒ぎにまみれた録音のように思われてしまうかも知れません。しかし、もちろんそうではないからこその通常リリースです。歓声・声援・唱和がアンサンブルの一部ではあっても、あくまで一部。主役は当然ゲイリーの歌とギター。それこそがデン!と主役を張り、ベースやドラム、キーボードと同じように歓声をも従え、いかに盛大であっても総てを突き抜け、会場中を指揮しているのです。そして、その弾きっぷりこそ“ギター・クレイジー”の面目躍如。後の『AFTER HOURS』『BLUES FOR GREENY』では、どんどんディープなブルース道を突き進んでいきますが、ここではブルースに憧れながらも“ロック野郎”の出自も丸出し。ブルース道に喜びいっぱいで踏み出しながらも、まだまだ深みを追求する段階には至っていない。しかし、だからこそ、良い。ブルースファンからするとゲイリーの泣きは派手すぎるそうですが、そうでなかったらゲイリーじゃない。そこに、高ぶる気持ちを抑えもしないマシンガンが絡み、ブルースでも弾いて弾いて弾き倒す。いかにブルースの深さや引きの美学を語ろうと、ステージの現場では全部ぶっ飛んで弾かずにいられなくなるパッション。そう、これ。これがあるからゲイリーのブルースは最高! それがたっぷりとつまったライヴアルバムなのです。20年に及ぶブルース道の最初、そこには求道者になる前の憧れが素直に滲み、それでいて熱く弾き倒す“ギター・クレイジー”の姿がありました。後にピッキング1つ、チョーキング1つ、トーン1つに表現力を増していった時代も素晴らしいのですが、軸足がロックに残っていたからこその熱いハードロッキン・ブルース。この時代だけの味をこよなく愛する方へ。本場イギリスのロック・ファンと共に酔いしれることができる絶品の現場録音をお届けいたします。
Live at Brighton Dome, Brighton, UK 13th August 1990 TRULY AMAZING/PERFECT SOUND
Disc 1 (34:39)
1. Intro 2. Oh, Pretty Woman 3. Walking By Myself 4. All Your Love (I Miss Loving) 5. The Stumble 6. Midnight Blues 7. You Don't Love Me 8. Still Got The Blues
Disc 2 (50:03)
1. Texas Strut 2. Moving On 3. Too Tired 4. King Of The Blues 5. Stop Messin' Around 6. The Blues Is Alright 7. The Messiah Will Come Again 8. Member Introduction
Gary Moore - Guitars, Vocals Don Airey - Keyboards Andy Pyle – Bass Graham Walker - Drums