2014年来日公演のほぼ全日をリリースし続けていましたが、その別格のクオリティから「こういった音源こそCDで持っていたい」との声が多く寄せられました。とはいっても公演数の多さやセットリストの構成から全公演をリリースするのは難しいと思い、今回の一連の公演の中でも特に評判がよかった二日間をカップリングしてCDでのリリースが決定いたしました。既に大好評となっていたHIDE音源ですが、そのクオリティの高さはディラン版T&Jと呼びたくなるほど見事なもの。テーパーHIDEによる録音はオンな音像の迫力が素晴らしく、ディランが目の前で歌っているかのごとく錯覚しそうになるほどです。しかしそれだけでなく、各楽器のディティールがまた見事なクリアネスで再現されているのも素晴らしいものがありました。特に低音の捉え方が素晴らしく、正にウォーミーな質感をたっぷりと味わえることでしょう。今回のツアーで使われた会場は録音位置によってむしろメリハリを欠いた音質となってしまうことがあるのですが、ここでの立体感溢れる音像は極上オーディエンス録音の見本だと言っても過言ではありません。低音が見事なバランスで捉えられつつも、それに押されることなくディランの歌声も実にリアル。これほどの極上音源から今回選ばれたのはまず4月8日の東京公演。この日はライブ開始早々に音響トラブルから中断してしまったことで話題を呼んだ日です。「Beyond Here Lies Nothin'」の演奏が後半に差し掛かったところでPAトラブルによるノイズが発生し、曲が間奏する前で何となく終わってしまいます。しかもHIDE音源の高音質ぶりゆえ、そのノイズも実に生々しく捉えられているので緊張感が高まります。そのあとディランを中心として似たような曲調のジャム(実は先の曲の続きを演奏するつもりだったのかもしれません)で場をつなぎますが、結局復旧に時間がかかるということでライブは完全に中断。その間にもアナウンスが入ると緊張感が伝わってきますが、実際にはこの25分に及ぶ中断の間はディランやバンドメンバーが無駄にステージをウロウロするなど、むしろ和やかですらありました。これがアメリカだったらブーイングや物が飛んでもおかしくないハプニングでしょう。そんな状況を穏やかに乗り越えたのはやはり日本人の気質でしょうか。しかも回復後の演奏と盛り上がりがまた実に素晴らしく、先のトラブルがマイナスとなった様子がまったく見受けられないのがこの日の感動的な雰囲気です。ショウの最後まで会場の熱狂的な盛り上がりとディランのやる気に満ち溢れた歌を味わってください。カップリングされたもう一つの音源は大阪公演の初日である4月21日。こちらはツアー終盤ということでディランの歌や演奏がもはや盤石の域なのですが、だからこそ実現した「Workingman's Blues #2」の演奏がこの日最高の場面でしょう。この曲そのものは四日前の名古屋で久々のライブ復活を果たして世界中のファンを喜ばせたのですが、ここにきてさらに見事な演奏を披露したのです。しかもその美しい演奏が極上の音質で聴けるとなればなおさらです。
しかもこの日は「Love Sick」辺りから異様なほどの盛り上がりを見せます。それどころか「Scarlet Town」のような静かな曲ですらファンの盛り上がりがエスカレートしたほど。この曲では右側で酒に酔ったと思われるファンの野次も飛ぶのですが、それが真横でなかったこと、はっきりと聞き取れないのは不幸中の幸いと言えます。それでも会場全体の盛り上がりは和やかで、この日が来日公演中ベスト・ショウの一つに数えられたのも納得というもの。このように雰囲気がまったく異なる、しかしどちらも聴きどころ満載のショウを捉えた極上音源を遂にリリースいたします。ハプニングの東京と盛り上がりの大阪それぞれをじっくりとお楽しみください!
Zepp DiverCity, Tokyo, Japan 8th April 2014 TRULY PERFECT/ULTIMATE SOUND Zepp Namba, Osaka, Japan 21st April 2014 TRULY PERFECT/ULTIMATE SOUND
Live at Zepp DiverCity, Tokyo, Japan 8th April 2014
Disc 1(77:52)
1. Things Have Changed 2. She Belongs To Me 3. Beyond Here Lies Nothin' 4. Short Instrumental Jam 5. 25 Minutes Break(PA problems) 6. Huck's Tune 7. Duquesne Whistle 8. Waiting For You 9. Pay In Blood 10. Tangled Up In Blue 11. Love Sick
Disc 2(59:05)
1. High Water (For Charley Patton) 2. Simple Twist Of Fate 3. Early Roman Kings 4. Forgetful Heart 5. Spirit On The Water 6. Scarlet Town 7. Soon After Midnight 8. Long And Wasted Years 9. All Along The Watchtower 10. Blowin' In The Wind
Live at Zepp Namba, Osaka, Japan 21st April 2014
Disc 3(51:09)
1. Things Have Changed 2. She Belongs To Me 3. Beyond Here Lies Nothin' 4. Workingman's Blues #2 5. Waiting For You 6. Duquesne Whistle 7. Pay In Blood 8. Tangled Up In Blue 9. Love Sick
Disc 4(60:38)
1. High Water (For Charley Patton) 2. Simple Twist Of Fate 3. Early Roman Kings 4. Forgetful Heart 5. Spirit On The Water 6. Scarlet Town 7. Soon After Midnight 8. Long And Wasted Years 9. All Along The Watchtower 10. Blowin' In The Wind
Bob Dylan - Vocal, Piano, Harp Tony Garnier - Bass George Recile – Drums Stu Kimball - Guitar Charlie Sexton – Guitar Donnie Herron - Banjo, Violin, Electric Mandolin, Pedal Steel, Lap Steel