
『驚異のブルース・ギター/ジェフ・ベック登場』と題された国内盤LPがニュー・ロック・ベスト・シリーズの1枚として東芝の“Odeon”レーベル(OP-8616)から発売されたのは'69年、もちろんこれはジェフ・ベックの1st・アルバム『Truth』('68年、英Columbia/米Epic)のことで、当時は我国において情報が聞き手に伝わるまでかなりの時差が生じており、ジェフは単なる元ヤードバーズのギタリストというぐらいの知名度でしかなく、『Truth』発売前に英国で3枚のシングルをリリースしていることなどは、よほどのマニアでなければ知らなかったはずで、このアルバムもジェフ個人名義だが実質はグループとしての作品と認知されるのにも少々時間を要した。3枚のシングルとはジェフがヴォーカルをとるスコット・イングリッシュ作の「Hi Ho Silver Lining」(b/w Beck's Bolero/ジェフ・ベックのボレロ)、ヤードバーズの「For Your Love」、「Heart Full Of Soul/ハートせつなく」、「Evil Hearted You/いじわるっ娘」、ハーマンズ・ハーミッツの「No Milk Today」、「Listen People」、そしてホリーズの「Bus Stop」など数多くのヒット曲を生み出した売れっ子ソング・ライター、グレアム・グールドマン(10CC)の作品である「Tallyman」(b/w Rock My Primsoul)、ポール・モーリア楽団で世界的ヒットになったアンドレ・ポップ作の「Love Is Blue/恋はみずいろ」(b/w I've Been Drinking)であり、話題性はあったが、「Hi Ho〜」はヒットするもあとは不発に終わっている。注目するのはそれぞれのB面で、特に「Beck's Bolero」は名曲。一応ジミー・ペイジ作と言われる同曲は『Truth』にも収録され光り輝いている。ちなみに日本では『ジェフ・ベックのボレロ/シェイプス・オブ・シングス』(Odeon OR-2233)がシングル・カットされている。当然ながら素晴らしいカップリングで『Truth』の凝縮版である。60年代後半の1年1年は、ポピュラー音楽界にとって非常に変化の激しい時期であり、以後のロックの進展状況からして欠かせない重要な要素をいくつも含んでいた。'67年にビートルズは画期的なLP『Sgt.Pepper's Lonley Hearts Club Band』をリリース、ロック界に大きな衝撃をあたえ、賛否両論を巻き起こして、ロックに音の広がりを持たせ、米国では“サイケデリック・サウンド”がブームとなり、音のみでなくライト・ショーなどにも工夫を凝らしたステージ・セッティングがとられた。この時期のロックは急激に音の厚みが増し、“ニュー・ロック”あるいは“アート・ロック”と呼ばれるようになり、ジェフの1stもそんな変動期に生まれたもので、著しいほどにブルースへの追及をみせ、へヴィーでかつソリッドなサウンドを展開させた。ウィリー・ディクソンの「You Shook Me」、クレジットはされていないが、明らかにB.B.キングの「Rock Me Baby」の改作である「Rock My Primsoul」、他のロッド・スチュアート作となっているものも元はブルース・ナンバーでブルースを基盤として成り立っているわけだが、ほぼ自己都合で脱退したヤードバーズの「Shapes Of Things」(ポール・サミュエル・スミス作)のへヴィーな再演と前述のインストゥルメンタル・ナンバー「Beck's Bolero」が、ツボを得た魅力を持つ曲であることに注目したい。また、トラディショナルの「Greensleeves」の存在が、へヴィーなサウンドでかためたこのアルバムのバランスをとっているように思える。プロデュースはシングル3枚を担当(B面には携わっていないと言われている)した、“シングル・ヒット・プロデューサー”として名高いミッキー・モストとなっているがあくまでも形式だけのクレジットでジェフ達が成し遂げたと見るべきであろう。基本的なバンド・メンバーはジェフ・ベック(g)、ロッド・スチュアート(vo)、ロン・ウッド(b)、ミック・ウォーラー(ds)の4人から成り、曲によりジミー・ペイジ、ジョン・ポール・ジョーンズ、ニッキー・ホプキンス、キース・ムーン他が参加している。ロッド・スチュアートもロン・ウッドもこの時点ではそれ程名が知れ渡っていたわけではなく、ジェフがバンド・メンバーにしたのはそれぞれが未知の実力の持ち主であり、バンドの求める音に適確と言う判断で当時としては適切な人選である。この後、2人はフェイセスに加入、そしてロッドはソロへ、ロンはローリング・ストーンズへと動くロック界での大飛躍の基盤がここにある。しかも、その後ロッドのような強力なヴォーカリストと組むことができなかったと後日ジェフ自身が語っており、『Blow By Blow』以降はほぼ全編をインストゥルメンタルで構成する要因となって、それが吉に転じジェフは今もって音楽界で安定した人気を得ている。このコンビの極めつけは日本ではシングル・カットされた『Beck-Ola』収録のエルヴィス・プレスリーのカヴァー「Jailhouse Rock/監獄ロック」(Odeon OR-2423)と久しぶりに再会し’85年のアルバム『Flash』収録でジェフ自身のプロデュースによるインプレッションズのナンバー「People Get Ready」(カーティス・メイフィールド作)は間違いなく一世一代の傑作。この『Truth』をUK “MONO”(Columbia SX 6293)、しかもマトリックス1のコンディション極上盤からモノラル・カートリッジ使用でダイレクトにCD化!スクラッチノイズは殆んど気になりません。本アルバムはステレオ・ミックスを単にモノ・ミックス・ダウンしたものではなく、ミックス自体が異なっています。違いを自分の耳で感じ取ってください。 「Beck's Bolero」のエンディングにステレオ・ヴァージョンにはないギターソロが……etc.
First Time on CD for UK“MONO”Matrix1 of Early Beck's Classic Album
Here is “Truth”of Jeff Beck's Early works. And You Can Dig It.
01. Shapes Of Things 02. Let Me Love You 03. Morning Dew 04. You Shook Me 05. Ol' Man River 06. Greensleeves 07. Rock My Plimsoul 08. Beck's Bolero 09. Blues De Luxe 10. I Ain't Superstitious