今年のニール・ヤングは本当に精力的。とにかく老いてなお盛んとしか言いようがありません。日本のゴールデンウイークに該当する時期には久しぶりのクレイジー・ホースとの再結集を実現させて世界中をアッと言わせたかと思えば、直後に行われたソロ・ツアーも大好評。その後は近年のレギュラー・バンドとも呼べるプロミス・オブ・ザ・リアルを従えて散発的なギグを行っていました。しかし彼らとの活動も9月に入ると俄然加速。毎年恒例のファーム・エイドを始めとしたイベントへの出演をこれまた精力的にこなしたのです。同イベントは9月22日に行われましたが、翌日にはサラトガ・スプリングスでアウトロー・フェスティバルなるイベントに出演。注目すべきはイベントでのステージながらもファーム・エイドよりもずっと持ち時間が長いということ。おかげでこの日は新曲「(Eternity)」が初めて披露されるというトピックが起きたのです。その曲調は非常に牧歌的なもので、雰囲気はアルバム「ON THE BEACH」に入っていてもおかしくない、と例えれば想像してもらえるでしょうか。近年のニールでは珍しい曲調だといえるかもしれません。しかもこのライブ初演を機に、演奏され続けています。プロミス・オブ・ザ・リアルとの最新アルバム「THE VISITOR」に収録された「Children Of Destiny」は前日のファーム・エイドで初めてライブ披露されましたが、それもまた最新レパートリーとして演奏され続けています。これら二回のショーはどちらも往年の名曲「Tell Me Why」から幕を開けているというのも魅力的。そのオープニングが示すように、セットリスト全体はニール・ヤング・クラシックをずらりと並べた充実のセットリスト。曲目を見れば分かるように「HARVEST」と「COMES A TIME」というアコースティックなサウンドでまとめられた70年代の名盤からの選曲が多いというのもまた魅力的。中でも「Are You Ready For The Country?」はモニターの不調から演奏をやり直すという面白いハプニングが発生。それでいてトラブルに腐った様子もなく、ニールは全体を通して絶好調。圧倒的に70年代のニール・クラシックが多い選曲ですが、最後は「Rockin' In The Free World」で爆裂フィナーレ。御年72歳のニールが未だに轟音ロックをかましてくれる様には感動を覚えずにはいられません。この曲はもちろん、「Love To Burn」でも愛機ブラック・レスポールを弾きまくり。前半は先に挙げた70年代のアコースティック系アルバムからの曲が中心ですので、この柔剛一体となった構成がお見事。そんな活気あふれるライブを捉えたオーディエンス録音ですが、音像にはやや距離感があります。ところが、そんな音像でありながらニールの歌声が大きく響き渡るバランスにて捉えられているので聞き応えは十分。とにかく彼の声が非常に通って聞こえますので、ファン狂喜のセブンティーズ・クラシックを今なおキーも変えずに歌い切る姿がまたお見事。今年のクレイジー・ホース、あるいはソロ・ステージとも違ったバラエティ豊かな名曲連発の最新ステージ。プロミス・オブ・ザ・リアルによる活きのいいバッキングも最高!
Live at Saratoga Performing Arts Center, Saratoga Springs, NY, USA 23rd September 2018 TRULY AMAZING SOUND (78:57)
1. Intro 2. Tell Me Why 3. Field Of Opportunity 4. Country Home 5. Show Me 6. Heart Of Gold 7. Lotta Love 8. Human Highway 9. Eternity 10. Powderfinger 11. Love To Burn 12. Are You Ready For The Country? (With false start) 13. Ohio 14. Rockin' In The Free World
Neil Young - vocal, guitar Lukas Nelson - guitar, vocal Micah Nelson - guitar Corey McCormick - bass, vocal Anthony Logerfo - drums Tato Melgar - percussion