
今回当店が1971年イギリス・ツアーの音源と同時にリリースしますは1972年オーストラリア・ツアー。そう、イギリス・ツアーの次となるZEPのライブ活動がこのツアー。そこから最古の現存音源である2月19日のアデレード公演をリリースいたします。この音源自体はさして珍しいものではありません。むしろ72年オーストラリア・ツアーにおいてはもっとも有名な音源の一つではないでしょうか。にもかかわらず、今まで当店からはリリースが実現しなかったもの。今回はマスターからの最高音質を実現させつつ、それでいて一切の小細工なしに収録してみせたベスト・バージョンたるアイテムなのです。72年のオーストラリアとニュージランドでのツアーは各所で良好なオーディエンス録音が存在しており、そのすべてが過去にアイテムとしてリリースされてきました。軒並みレベルの高い音源群の中においても、ひときわ高音質を誇るのがアデレードでしょう。非常にオンな音像であるだけでなく、ステレオ録音ならではと言える音の広がりが素晴らしい。クリアネスという点では少々物足りない点のある録音状態ではあるものの、逆にウォーミーさが際立つ豊かな質感もまた大きな魅力でしょう。ところがそうした録音状態をさらに強調すべく、イコライズを加えたり、あるいはジェネ落ちの状態を緩和すべく、これまた施されたイコライズによって元の音源からかけ離れたアイテムがいくつも生み出されてきたのも事実。実はこの音源をもっとも原音に忠実に収録してみせていたのは、一番最初にこの音源をリリースしたオーストラリア産「SHIVERS 'N' SHAKES」だったのかもしれません。しかしこのアイテムにも大きな欠点があり、一枚のCDへまとめるために「Tangerine」を始めとしたカットの入っていた演奏を未収録としていたところでしょう。むしろそのせいで音源全体を完全収録したアイテムがいくつも生み出されることになったのです。確かにこの音源における多岐に渡るカットは大きなマイナス・ポイント。録音状態を推測するとテーパーが使ったリールの残りを気にしながら、極力曲間をカットして録音していたのだと思われます。それは仕方がないとしても「Moby Dick」のカットなどはかなり露骨。ドラム・ソロが始まってしまったから止めてしまえ…そういった感が満載。それ以上に涙ぐましいのが「Whole Lotta Love」。メドレーの途中で演奏がブレイクする度に録音をストップさせているのですが、そんなテーパーの努力も虚しく、結局最後まで録音できずに終わってしまった。とはいえ音質クオリティはそうしたカットを差し引いても実に素晴らしいもの。ショーの序盤から演奏が驚くほどオンな音像で捉えられているだけでも見事ですが、ZEPがステージから放つ音量の激しさに脅威を覚える観客(テーパー本人?)の声が当日の会場の生々しさを伝えてくれます。これも貴重な歴史の一ページであることは間違いありません。それが「Whole Lotta Love」になるとサウンドボードというよりも、もはや自分がステージ横のスピーカーの前にいるかのような生々しさで演奏が捉えられている点もこの録音の卓越した点でしょう。ZEP音源界にに溢れているサウンドボード音源もよいのですが、彼らのライブ会場に居たとすれば、実際に目の当たりにしたのはこのようなサウンドだったはず。一方でZEPの演奏もこれが72年オーストラリア・ツアー二回目のステージとは思えない激しさ。当初は前日に行われる予定だったのが、湿気によって木で建てられたステージが変形してしまったことや、アンプが不調となってしまったことから一日延期となり、オーストラリアで思わぬタイミングでくつろげてしまったことが功を奏したのかもしれません。それに前年のイギリス・ツアーから演奏がさっそく進化。「Heartbreaker」では前年までペイジが弾かなかったようなフレーズが盛り込まれています。期間的には半年以内の出来事ながら、年号が変わっただけでもはっきりが変化するのがZEPライブの面白さ。「Stairway To Heaven」などは未だに反応が鈍いのにも笑わせられるものがあります。この数か月後のアメリカではプラントが曲名を告げただけで拍手喝采となるのだから、この曲にとっては最後の無名な時期だと言っていいかもしれません。いつものごとく長い「Dazed And Confused」もとにかくフットワークが軽い。この後のアメリカと比べてもまだリズム指向の展開が芽生えておらず、やはり71年の側に即した雰囲気が強い。それでいて純然たる71年版のノリとも違う。やはり変化が激しい時期のZEPライブ音源というのは本当に聴いていて飽きがこないもの。確かに後半を中心として随所で起こるカットはマイナス・ポイントでしょう。しかし、それを補って余りあるライブ音源であることが、この文章によってわかっていただけたはず。せっかくの優良音源ながら、意外とおざなりにされていたピッチの微妙な狂いもアジャスト。そして何よりも「ナチュラル」かつ「ウォーミー」という言葉がピッタリと当てはまる状態で収録。1972年オーストラリア・ツアーの中では定番中の定番と言えるアデレードの決定版がようやく登場です。72年初頭ならではのフットワークの軽い演奏、さらに音源本来が持つ豊かな味わいを心ゆくまで味わってください!
Live at Memorial Drive, Adelaide, Australia 19th February 1972
Disc 1 (52:08)
01. Intro 02. Immigrant Song 03. Heartbreaker 04. Black Dog 05. Since I've Been Loving You 06. Stairway to Heaven 07. Going To California 08. That's The Way 09. Tangerine 10. Bron-Y-Aur Stomp
Disc 2 (43:06)
01. MC 02. Dazed and Confused 03. Moby Dick 04. Whole Lotta Love