
デヴィッド・カヴァデールにとっては“理想のコラボ”、ジミー・ペイジにとっては“久々の本領発揮”、そしてロック・ファンにとっては“夢の合体”。やる側/見る側、双方にとって幾重にも思い出深いプロジェクトだったCOVERDALE/PAGE。その極上ライヴアルバムが新登場です。世紀の合体はロック界を揺るがし、アルバム『COVERDALE・PAGE』を全英4位/全米5位に送り込んだにも関わらず、大本命の全米ツアーはチケットの不振によりキャンセル。本生ステージが実現したのは、1993年12月の日本だけでした。当店では、これまでも傑作ライヴアルバムでレポートしてきましたので、まずはその概要から見てみましょう。
・12月14日:日本武道館『KNEES AND PRAY』 ・12月15日:日本武道館 【本作】ー1日移動&オフー・12月17日:国立代々木競技場・12月18日:国立代々木競技場ー1日移動&オフー・12月20日:大阪城ホール『PRIDE & JOY』・12月21日:大阪城ホール・12月22日:愛知県体育館『OVER NOW』
以上、全7公演。本作に収められているのは、その2公演目「1993年12月15日:日本武道館」公演です。当時は空前のブートレッグブームの上に久々のペイジ来日も相まって全公演の記録が登場しましたが、本作はそのコピーやリマスターではありません。ごく最近になって「KRW_CO」が発表したマスターで、オリジナル・カセットの1stジェネから起こされた極上品なのです。実際、そのサウンドは実に素晴らしい。「まるでサウンドボード」というタイプではありませんが、極太にしてクリアな楽音は距離感をほとんど感じさせず、全楽器がビビッドに届く。特に素晴らしいのは肝心要のヴォーカルとギター。もちろん、現場PAは主役2人をフォーカスしているわけで、そのバランスを正確に記録。その上でよく転がるブレット・タグルのエレピやデニー・カーマッシのグルーヴィなドラミングもしっかりと味わえるのです。そのサウンドで描かれる“世紀の合体”。日本人としては「PURPLEのシンガー+ZEPのギター」と捉える向きもありましたが、その内実は「白蛇+ZEP」。しかも、比重はグッとZEP寄り。バンドメンバーはWHITESNAKE系譜ではあるものの、白蛇レパートリーは3曲だけに止まり、ZEP風だった『COVERDALE・PAGE』の全11曲8曲とZEPナンバーがてんこ盛り。実際ところ「ペイジ大好き」なカヴァデールと「付き合うよ」レベルなペイジの熱量がそっくり現れているわけですが、このチョイスは大正解。カヴァデールのファンにしても大部分は「ペイジが白蛇をどう弾くか」よりは「カヴァデールが憧れのZEPをどう歌うか」に興味があったでしょうし、ペイジのファンにしてみれば「久々!」もしくは「やっと!」の想いが爆発している。本作でも“本物が弾くZEPナンバー”に驚喜しているのがよく分かります。それは演奏ぶりも然り。ペイジはWHITESNAKEナンバーで何となくソロを執る(「Still Of The Night」に至っては速弾きソロを丸投げ:笑)のに対し、カヴァデールはプラントよろしく自慢のハイトーンを連発しながらZEPをドラマティックに歌いまくるのです(やはり「PURPLEの」ではなく「WHITESNAKEのカヴァデール」ですね)。なんだか褒めてるのか違うのか分からなくなってきましたが、だからこそCOVERDALE/PAGEは素晴らしい。WHITESNAKEで「ZEPクローン」と言われながら大成功を収めたカヴァデールは心底ZEPサウンドを愛しており、ヒットを狙っていない『RESTLESS HEART』でさえZEP風の曲を入れるほど。その彼が本物ペイジと並ぶ“夢”を叶えた。百戦錬磨の大物シンガーでありながらリスペクトも喜びも丸出しだからこそ、ペイジも素直に「ZEPサウンド全開」で応えることができた。これがTHE FIRMとは決定的に違うところ。その果実を現場のバンド、観客が思う存分楽しんでいるのです。 この夢から24年が過ぎました。そんな今だからこそ、この素直さが眩しい。ここにはアコースティックも東洋風アレンジもオーケストラもありません。LED ZEPPELINにはさまざまな要素が詰まっていましたが、同時にハードなロックバンドでもありました。本作に詰まっているのは、そんなZEPから“ハードロック”だけを抽出・濃縮還元したサウンド。それを何のてらいも迷いもなくぶちまけ、さらに濃厚ZEP風の新曲までたっぷりと上乗せして、日本武道館をガンガンと揺さぶるのです。当時からやれ「プラントのモノマネだ」やれ「手がドラえもん」等々、いろいろと言われたものですが、今の耳にはそれが如何に盛大な贅沢だったのかを思い知らされる。ZEP解散後、もっとも清々しいペイジ・ミュージックが詰まった1本。
Live at Budokan, Tokyo, Japan 15th December 1993 PERFECT SOUND
Disc 1 (63:43)
1. Intro 2. Absolution Blues 3. Slide It In 4. Rock And Roll 5. Over Now 6. Kashmir 7. Pride And Joy 8. Take A Look At Yourself 9. Take Me For A Little While 10. In My Time Of Dying 11. Here I Go Again
Disc 2 (53:01)
1. MC 2. White Summer / Black Mountain Side 3. Don't Leave Me This Way incl. Drum Solo 4. Shake My Tree 5. Still Of The Night 6. Out On The Tiles / Black Dog 7. The Ocean / The Wanton Song / Feeling Hot
David Coverdale - Vocals Jimmy Page - Guitar Brett Tuggle – Keyboards Guy Pratt - Bass Denny Carmassi – Drums