
わずか数年間だけでありながら、あまりにも濃厚だった“日本とゲイリー・ムーア”の蜜月。その中でも特別なライヴアルバムが登場です。本作の何がそれほどスペシャルなのか。まず第一に、本作が録音されたのが伝説の初来日公演だった事。ゲイリーの人生で日本ツアーは6度ありましたが、中でも1983年の初来日はさまざまな意味で特別でした。まずは、その意味を実感して頂くために彼の来日史をまとめてみましょう。
・1983年1月22日-2月1日(初来日9公演)《1983年5月:ニール・カーター加入》・1984年2月24日-29日(5公演)・1985年10月8日-17日(6公演)・1987年7月13日-17日(4公演)・1989年5月6日-13日(6公演)《21年後》・2010年4月22日-28日(ブルース5公演)
以上、全6回35公演のジャパンツアーが実現しました。最後のブルース来日こそ異彩だったわけですが、それ以外はすべてハードロック公演。『CORRIDORS OF POWER』から『AFTER THE WAR』までのVIRGIN五部作それぞれに一度ずつ来日しました。中でも“特にスペシャル”なのは1983年。初にしてゲイリー来日史上最多となる9公演という人気爆発ぶり、相棒ニール・カーターと出会う前のテクニカル・アンサンブル、専任シンガー入りの編成等々など。他の来日とは異なる日本ツアーだったのです。本作は、そんな初来日公演の「1983年1月27日:京都会館」公演を収めたオーディエンス・アルバムです。このライヴアルバムは、スペシャルな1983年でも更にスペシャルな1本。その特別とは、ずばりクオリティです。初来日は人気爆発だっただけに公式/非公式に数々の記録が残されていますが、その中でも最高・最長。ここで、そのライヴ記録を整理してみましょう。
・1月22日:渋谷公会堂 『FACING GARY』・1月24日:東京厚生年金会館 公式/『HEAVY KNUCKLES』※CD1-2・1月25日:東京厚生年金会館 公式・1月26日:大阪フェスティバルホール『CORRIDORS OF BLOOD』・1月27日:京都会館 【本作】・1月28日:福岡サンパレスホール・1月30日:名古屋市公会堂
・1月31日:東京厚生年金会館 『A THING OF THE PAST』※CD1-2・2月1日:渋谷公会堂 『THE DEFINITIVE END』
このように、公式の名盤『ROCKIN' EVERY NIGHT』を筆頭に、さまざまなライヴアルバムが登場してきました。実のところ、本作の「1月27日:京都会館」も以前から素晴らしいアルバムが知られており、特に『KYOTO 1983 TAPE MASTER』は極上究めるサウンドで「日本公演ベスト」の誉れに浴する名録音中の名録音だったのです。本作は、その名録音の究極バージョン。単にリマスターしたわけではなく、ごく最近になって「KRW_Collection」より発表されたもの。名門がオリジナル・カセットからダイレクトにCD化しており、まさに“これ以上はない”逸品なのです。実際、本作のサウンドは「日本公演ベスト」を証明する十分すぎるもの。とにかく「まるでサウンドボード」を地でいく楽音が強烈で、極太な芯、肉厚な鳴り、詳細なディテールがすべて最上級。全楽器の全ノートが立ち上がりから消音まで力強くも美しい。観客の生々しい手拍子がオーディエンス録音を主張してはいるものの、サウンドクオリティ自体は下手なライン録音など一蹴する素晴らしさ。英国ロックの猛者が一堂に会した激烈アンサンブルにも関わらず、その1音1音同士がぶつかり合いもせずに綺麗に届くのですから、それはそれはもう異常なハイクオリティぶりなのです。そして、そのスーパースター達のアンサンブルこそが本作の命。主役のゲイリーを中心にイアン・ペイス/ドン・エイリー/ニール・マーレイという「COLOSSEUM II+DEEP PURPLE」トリオがガブリ寄り。しかも、これが単に巧いだけの話ではない。この後の来日は“サポートの相棒”ニール・カーターと「ハードロッキン・ゲイリーの理想形」を追及していきますが、ここでは「ハードロック」なだけでなく「プレイヤー同士の激突」にも主眼が置かれている。当時から「COLOSSEUM 3」と言われたものですが、フュージョン時代さえも彷彿とさせる4つに組んだアンサンブルが大爆発しているのです。実際、本作ではロックソングでもギリギリとした緊張感やフュージョンちっくな味付けが楽しめますが、やはりハイライトは本物フュージョンの「Hurricane」でしょう! アルバム『BACK ON THE STREETS』でもCOLOSSEUM IIチーム+サイモン・フィリップスで凄絶なバトルを聴かせてくれましたが、こちらはイアン・ペイスのドラムソロまでフィーチュアして本生ステージ。ハードロックで売り出そうとしていた当時を思えば、公式盤『ROCKIN' EVERY NIGHT』でカットされたのも無理からぬフュージョン大会ですが、だからこそ鮮烈であり1983年ならでは、このメンバーだからこその最高の1曲なのです。もちろん、それ以外にも「End Of The World」「Cold Hearted」「Always Gonna Love You」「Parisienne Walkways」「Don't Take Me For A Loser」「Gonna' Break My Heart Again」といった『ROCKIN' EVERY NIGHT』では聴けない曲がてんこ盛りですし、最終曲「Sunset」では「ランディ・ローズに捧げるよ……」のMCも超クリアに聴けるのです。“ハードロック・ゲイリー”でも特別だった1983年の日本。その頂点録音の頂点バージョンたる1本です。そこにはハードロックだけでなく、フュージョン時代の残照と最終点までもが刻まれていた。ゲイリーの全キャリアでも特級の大傑作。
Live at Kyoto Kaikan, Kyoto, Japan 27th January 1983 TRULY PERFECT SOUND
Disc 1(43:19)
1. Majestuso E Virtuoso 2. End Of The World 3. Wishing Well 4. Rockin' Every Night 5. Guitar Solo 6. Cold Hearted 7. Nuclear Attack 8. I Can't Wait Until Tomorrow
Disc 2(57:00)
1. Always Gonna Love You 2. Hurricane incl. Drum Solo 3. White Knuckles 4. Rockin' And Rollin' 5. Back On The Streets 6. Parisienne Walkways 7. Don't Take Me For A Loser 8. Majestuso E Virtuoso(reprise) 9. Gonna' Break My Heart Again 10 Sunset (Dedicated to Randy Rhoads)
Gary Moore - Guitar, Vocal Ian Paice - Drums Neil Murray - Bass Don Airey – Keyboards John Sloman - Vocal, Keyboards