
故郷バーミンガムの地で眠りに就いたBLACK SABBATH。その眠りが永遠なのかどうかは予断を許しませんが、彼らが全世界で「THE END!」と告げて回ったツアーは終わったのです。その最後となったバーミンガム2公演のうち、初日となる「2017年2月2日」の極上ライヴアルバムが登場です。本作最大の旨みは終末迫ったショウを収めた極上のクオリティに加え、貴重にしてやたらと面白い同日サウンドチェックも収録した「丸1日アルバム」ということ。その中身に触れる前に、まずはBLACK SABBATH最後のツアーの最終章となった「欧州#2」レッグの概要から見てみましょう。
・1月17日:ケルン 『COLOGNE 2017』 ・1月20日:ダブリン ・1月22日:マンチェスター ・1月24日:グラスゴウ ・1月26日:リーズ ・1月29日+31日:ロンドン ・2月2日:バーミンガム 【本作】 ・2月4日:バーミンガム『BIRMINGHAM 2017 THE FINAL』
以上、全9公演。最終レッグはドイツ1公演→アイルランド1公演→イギリス7公演という流れでした。当店ではその初日『COLOGNE 2017』や最終日『BIRMINGHAM 2017 THE FINAL』をご紹介してきました。いずれ劣らぬ傑作でしたが、本作はさらに輪をかけて素晴らしい逸品。まず、なんと言っても素晴らしいのがサウンド。前2作を上回る極上サウンドなのです。故郷の英雄を迎えた熱狂を吸い込んでいるので確実にオーディエンス録音ですが、楽音の芯は荒縄の如く極太で、ディテールも超詳細。それこそ、ギーザーの重低音で震える大気の波まで感じられるほどです。もちろん、アイオミのギターも同じく暴虐なエッジまで克明ですし、オジーに至ってはほんの僅かな擦れさえも脳ミソ直結サウンドで迫ってくるのです。
【奇跡的な名演と激レアな「Megalomania」】
そのサウンドで描かれる“最後から2番目”のショウは絶品。丸1年をかけて世界を回ってきたアンサンブルは究極的にこなれ、その上で前日に1日休みを入れた万全の体制。実際に最終公演が終わった今となってからはゴチャゴチャと未練がましいことも言い出しました(笑)が、本作では“いよいよ最後”・“思い残さない”の気迫と準備が完璧に揃ったライヴを聴かせてくれる。難曲であるはずの「Under The Sun」でさえ「これ、差し替え?」と思うほどにキッチリと歌うオジー……。それを迎える故郷の熱狂も素晴らしく、オフィシャル大名盤『REUNION』のように神懸かっている。20年前に“オリジナル復活!”を満天下に示した『REUNION』はアイオミをして「人生のベスト」と振り返る名演でしたが、本作にもまた同じ“漆黒のマジック”が宿っているのです。そしてセットもまた、特別。基本は他国公演と大きく変わりませんが、丸1年をかけた“THE END”で微調整を重ねたセットリストは「これが俺たちだ」の最終形。特にポイントなのは「Supernaut / Sabbath Bloody Sabbath / Megalomania / Rat Salad」のメドレーでしょう。これまでも「Rat Salad」は演奏してきましたが、最終レッグに入って「Supernaut」か「Sabbath Bloody Sabbath」、もしくは両方のジャムをイントロに入れるようになった。しかし、ここでは更に「Megalomania」までもが追加。部分的とは言え、「Megalomania」が演奏されるのは1976年以来、約40年ぶり。“THE END”においても最終3公演だけのアレンジなのです。いかにキーを下げようと現在のオジーに『SABBATH BLOODY SABBATH』や『SABOTAGE』のレパートリーは歌えないでしょうが、このメドレーによって1stから『TECHNICAL ECSTASY』までの要素が凝縮された。まさに“集大成!”のムードも濃厚なショウになったのです。
【強烈極まる当日サウンドチェック】
そんな本編ライヴと同じくらい……いえ、それ以上に聞き物なのが当日のサウンドチェック。本編と同じ録音家が記録したもので、恐らくはVIPチケットの特典で見学したものと思われます。大群衆ヌキで間近で見学しているサウンドは、素晴らしき本編ライヴをも遙かに凌駕する超・超絶。「まるでサウンドボード」でも「まるで公式作」でも全然足りない究極的な極上サウンド。よく卓直結サウンドボードで「メンバーと同じ部屋にいるよう」と書くことがありますが、それを本当にやっているわけです。「いくら良い音でもサウンドチェックだろ?」と思われるかも知れませんが、これがまた最高に面白い。従来のサウンドチェックとは違い、現代は立ち会うファンが楽しめるよう趣向が凝らされている。ビッグ・デイヴ(誰やねん)なる司会者を付けながら、珍しい曲のフレーズを披露してくれる。「『SABOTAGE』に参加したリックの息子(正しくは『SABBATH BLOODY SABBATH』なんですけどね)」と紹介されたアダム・ウェイクマンは『ヘンリー八世の六人の妻』や「Mr. Crowley」を演奏する。これがまた圧倒的なサウンドでして、ヘッドフォンで聴いていても顔には目の前PAからの風圧を、足下には会場の振動を感じられそう。アダムが「Changes」をつま弾くと(恐らく見学している)ファンが歌い、やんやの大騒ぎ。メンバーはもちろん、スタッフもファン心理丸出しの空間に身を置けるのです。そして、ドラムソロが終わったところで遂にBLACK SABBATHの3人が登場! もう、この瞬間のファン達の喜びようったらない。そして、そのまま本番では演奏しない「Symptom Of The Universe」「Wicked World」、さらには「Zero The Hero」「Glory Ride」まで演奏するという……。さすがにオジーが歌うのは「Iron Man」だけですが、観客のいない会場で本物3人を目の当たりする空間。なんとゆー贅沢……。それを超・超極上サウンドで同席できるボーナストラックなのです。最後の迫った魔法のようなライヴ本編。そして、その当日会場でのサウンドチェック。それを同一録音家による極上サウンドでひとまとめにした逸品中の逸品です。本当の最終公演『BIRMINGHAM 2017 THE FINAL』も胸に迫るアルバムでしたが、“当日丸ごと”の本作はさらに凄まじい。“THE END”全体でも類い希なるメモリアルな1本。どうぞ、思う存分お楽しみください!
Live at Genting Arena, Birmingham, UK 2nd February 2017 TRULY PERFECT SOUND
Disc 1(64:21)
1. Intro. 2. Black Sabbath 3. Fairies Wear Boots 4. Under the Sun/Every Day Comes and Goes 5. After Forever 6. Into the Void 7. Snowblind 8. War Pigs 9. Behind the Wall of Sleep 10. N.I.B.
Disc 2(77:46)
1. Hand of Doom 2. Supernaut/Sabbath Bloody Sabbath/Megalomania/Rat Salad 3. Drum Solo 4. Iron Man 5. Dirty Women 6. Children of the Grave 7. Paranoid
SOUNDCHECK at Genting Arena, Birmingham, UK 2nd February 2017
8. Big Dave Intro. 9. Catherine of Aragon snippet 10. Mr. Crowley 11. Sound effects, Chatting and Rhythm Guitar 12. Changes 13. Drum Solo 14. Symptom of the Universe 15. Iron Man 16. Wicked World snippet 17. Zero The Hero / Glory Ride snippets