
「フェアウェル・ツアー」として発表された“AERO-VEDERCI BABY! TOUR”が遂に始まりました。その最新・極上ライヴアルバムとオーディエンス映像の豪華3枚組が登場です。本作に収められているのは「2017年5月23日モスクワ公演」。「ついこの前、スティーヴンのソロツアーで来日したばかりなのに……」と思われるかも知れません。確かにその通り。まずは、スティーヴンのソロアルバム『WE'RE ALL SOMEBODY FROM SOMEWHERE』以降の活動を整理してみましょう。
《2016年7月15日ソロアルバム発売》 ・2016年7月20日-9月13日:ソロツアー#1 “ROCK 'N' ROLL RUMBLE TOUR 2016” ・2016年9月17日-10月27日:北米+南米(AERO・10公演)・2016年11月1日-2017年4月25日:ソロツアー#2ー約3週間後ー“AERO-VEDERCI BABY! EUROPEAN TOUR 2017”
・2017年5月17日-7月8日:欧州(AERO・18公演)ー約2ヶ月後ー・9月18日-10月3日:南米(AERO・6公演)
以上が現在までに発表されている日程。スティーヴンはソロとAEROSMITHを平行して行っているわけですが、それにしても凄い密度。「ソロツアー#1」と「ソロツアー#2」の間にAEROSMITHの“ROCK 'N' ROLL RUMBLE TOUR 2016”が挟まっているわけですが、そのスキマは4日ほどでソロ→AERO→ソロと切り替えている。公演地の移動だけでも1日がかりだろうに、一体いつリハーサルしてるんだ?という苛烈ぶり。さらに当初は、AEROSMITHの北米ツアーも行われるはずでしたが、「新作が作りたくなった」とのことで延期。スティーヴンは69歳になったわけですが、なんとも凄まじいワーカホリックぶりです。さて、そんな中で本作のモスクワ公演は“AERO-VEDERCI BABY! EUROPEAN TOUR 2017”の3公演目にあたるコンサート。オーディエンス・アルバムをディスク1-2に、オーディエンス・ショットをディスク3に配し、今まさに進行中の「欧州レッグ」を体験できる3枚組なのです。まず登場するライヴアルバムですが、これがまた素晴らしい極上品。冒頭から実にイイ感じのサウンドなのですが、それがショウが進むほどにどんどん良くなる。もちろん、録音ポジションが変わるわけもなく、録音中にセッティングを変えた様子もない。恐らくは、現場PAが良くなっていったのだと思いますが、キリッとしたディテールとダイレクト感が上がる。序盤は「極上オーディエンス」、中盤以降は「まるでサウンドボード」といった感じです。そんなライヴアルバムだけでも凄いのですが、さらに強烈なのはディスク3の映像。一応、分類上は「オーディエンス・ショット」になるわけですが、とてもその言葉から連想されるクオリティではない。ステージ左寄り(ブラッド・ウィットフォード寄り)のアングルなのですが、最前列なのか前方に観客の姿はなく、猛烈に近い見上げ視点。ステージだけが……いえ、メンバーだけが画面を占領し、ズームしようものなら表情ドアップまでばっちり。正直なところ、一番近いメンバーはブラッドになるわけですが、ちょっとカメラを振れば花道を歩くスティーヴンも間近で、ステージ背後には巨大スクリーンにデカデカと映るジョーもたっぷり。猛接写なダイレクト・ショットにしても、スペクタクルなスクリーン・ショットにしても、ほぼほぼプロショット級という超絶映像なのです。そして、そのサウンドもダイレクト感たっぷり。正直な話、美麗端麗なディスク1-2に比べると低音が太すぎてバランスは今ひとつなのですが、観客の存在感さえない激近光景にはピッタリ。もう「AEROSMITHと俺だけ」感覚に浸りきれる映像作品なのです。そのクオリティで描かれるショウは、極上のAEROSMITHワールド。先日のスティーヴンのソロショウも素晴らしかったですが、AEROSMITHの“本来の場所”感は絶品。もはやアイコンタクトさえ必要ないほどのコンビネーション、息をするのと同じくらいに自然なアンサンブル。「Livin' on the Edge」のブレイクでジョーイ・クレイマーをからかうスティーヴンの笑顔と言ったら……(本作はそんな細かいところまでドアップの直写で観られるわけです)。この地球には何千何万というロックバンドがいるわけですが、AEROSMITHほど長く、オリジナルメンバーで呼吸してきたバンドはいない。もはや五体満足な1人の人間ではなく、五人満足な1つの音楽体。そんな次元に達したロックショウがたっぷりと体験できるのです。一度は「フェアウェル」として発表されたツアーですが、開始を待たずにジョーが「本当に最後とは思わない」と言いだし、一方のスティーヴンは「これが最後だよ。永遠に続くけどね」。一体、どこまでジョークでどこまで本気なのか。まったく人を食った話ではありますが、この“変わらぬ5人”はロックが……いえ、霊長類がたどり着いた最長・最高級バンドにも違いない。安っぽい“これが最後”感傷に惑わされず、死ぬまで続けてくれ……そんな風にさえ思ってしまうロックンロール・パラダイス。それが極上クオリティで詰まりに詰まった3枚組。どうぞ、これが人類最高のロックンロール・バンドの“今”です。
Live at Olympijskiy Stadium, Moscow, Russia 23rd May 2017 TRULY AMAZING/PERFECT SOUND
Disc 1
1. Intro. 2. Let the Music Do the Talking 3. Young Lust 4. Cryin' 5. Livin' on the Edge 6. Rag Doll 7. Love in an Elevator 8. Crazy 9. Stop Messin' Around 10. Oh Well
Disc 2
1. Jaded 2. Sweet Emotion 3. I Don't Want to Miss a Thing 4. Chip Away the Stone 5. Come Together 6. Dude (Looks Like a Lady) 7. Dream On 8. Walk This Way
DVD(102:43)
1. Intro. 2. Let the Music Do the Talking 3. Young Lust 4. Cryin' 5. Livin' on the Edge 6. Rag Doll 7. Love in an Elevator 8. Crazy 9. Stop Messin' Around 10. Oh Well 11. Jaded 12. Sweet Emotion 13. I Don't Want to Miss a Thing 14. Chip Away the Stone
15. Come Together 16. Dude (Looks Like a Lady) 17. Dream On 18. Walk This Way
COLOUR NTSC Approx.103min.