
ZEPライブの魅力を世に知らしめた傑作「LIVE ON BLUEBERRY HILL」と言えば、本来ならTMOQがBLIMPというブランド名を使ってリリースしたLPが当てはまるでしょう。そこに収められた1970年9月4日、LAフォーラムでのコンサートといえば、そのLPのソースであり、ライバル的レーベルだったRUBBER DUBBERがリリースした「LIVE AT THE LOS ANGELES FORUM 9-4-70」に収められた別のオーディエンス録音はかろうじてマニアの間で知られているというレベルでした。それほどまでにTMOQ/BLIMPソースやLPの存在が絶大だったということです。実際にこの日のコンサートが初めてCDに封じ込められたのも同音源だったのだから、その音質の良さは時代を超越したものがあります。そうして長い間TMOQ/BLIMPソースやLPが当たり前だと思っていた状況は90年代に入って突如地殻変動を起こします。それは「あのLPの音源が実はステレオ録音だった」という触れ込みで登場したもの。懐かしのMUD DOGSレーベルを始めとして、新たに登場したブルーベリーヒル音源はそれまでにないステレオ音質のオーディエンス録音というインパクトでアイテムが作られたのです。この頃は9月4日のショーが二種類の音源しか存在しないと思い込まれていた時代ですので、このステレオ音源はTMOQソースのステレオ・アッパー版だと喧伝されてしまいました。ところがどうでしょう、実際に聞いてみると「Heartbreaker」のイントロが始まった瞬間、TMOQソースにはない女性の絶叫が右チャンネルから響き渡ります。彼女の声のおかげで、マニアはあっという間にTMOQソースとは別の音源であることを見抜いてしまいます。ちょっとでも冷静に聞き比べればまったく別の録音であることが容易に判別できたというのに、あのブルーベリーヒルの日というだけで、同じ音源のステレオ版と言う誤解がまかり通ってしまったのだから、まだまだ素朴な時代でしたね。 実のところは第三のソースが登場したに過ぎなかったのですが、このステレオ音源がTMOQソースと誤解されたのには訳があります。何と言ってもそれに負けじとオンな音像でZEPの演奏を捉えていたということ。そこまで音像の近い音源がいくつも存在するはずがない…そんな思いがTMOQソースのステレオ版という誤解を生んだのでしょう。ところが90年代に入り、さらに別のステレオ・オーディエンス録音までもが発掘されてしまい、伝説のブルーベリーヒル・ショーは高音質の音源がいくつも存在するという実態が明らかとなったのです。そんな別音源の先鞭をつけた第三の音源、つまり「source 3」がCDリリースと相成ります。この日の別ステレオ音源といえばWinston Remasterバージョンを元にした当店からのリリースも記憶に新しいところですが、それと比べて今回の音源はより豊かな臨場感と広がりのあるクリアネスが大きな魅力でしょう。Winston Remasterの元になった音源と比べてもよりアナログチックな音質であり、それもまたsource 3の魅力ではないでしょうか。TMOQソースはローリング・ストーンズの「LIVE’R THAN YOU’LL EVER BE」と同じテーパーがその時と同じくAKGのショットガン・マイクを使って録音したことからモノラル音質となり、しかも歓声レベルの低い独特な録音状態を身上としています。確かに演奏を聞き込めるという点において、ショットガン・マイクでの収録には大きなメリットがあった訳ですが、そのせいで会場がしんみりとしているように映ってしまう場面があったのは事実。その点、今回のsource 3はLAフォーラムとZEPのスイートな関係が生まれ始めたウォーミーな臨場感を見事に捉えており、何よりもアメリカでの人気が膨らみ始めたZEPコンサートの熱狂が伝わってくるのが魅力でしょう。それでいて演奏を遮るほどのバランスではなく、ストレスなく聞き込めてしまうところが素晴らしい。さらにsource 3のさらなる魅力は演奏に及んでしまったカットがほとんど無いということも挙げられるでしょう。当店が過去にWinston Remasterバージョンを含めて二度に渡ってリリースした音源(「source 5」)には「Bron-Yr-Aur」の途中で録音が終わってしまうという致命的なカットが入ってしまいましたが、こちらにはそのようなトラブルはなく、あのアコースティックな小品を同一音源で聞き通せるのです。source 3の数少ない曲中カットは「Dazed and Confused」の前半に起きていますが、先の別ソースにて、しかも丁寧に補填してみせたことによって違和感を覚えることはほとんどないかと思われます。同じステレオ録音による、これまた当時としては別格なクオリティを誇ったsource 5とはまた違う極上音質の聞き比べも楽しめるはず。今回の音源の臨場感と、そちらの音源の迫力のどちらもが大きな魅力だからです。そして今回のリリースに当たっては、「LOONEY'S BLUEBERRY HILL」というタイトルでネット上に現れたバージョンを元に収録。十分に素晴らしい音質や状態ですので、もちろん余計なイコライズは施さず、むしろ「Moby Dick」以降で顕著だった、ピッチの極端な下降をすべて完璧にアジャスト。過去にリリースされたアイテム、特に21世紀に入ってからリリースされたアイテムは他のソースと組み合わせる際の辻褄を合わせるべく、過剰でなくともイコライズが大なり小なりと施されていたものです。その点において、今回のナチュラルな状態でのリリースも世界中のマニアに注目を浴びることでしょう。同じ高音質ステレオ・オーディエンス録音でありながらも、Winston Remasterバージョンとはまった違った極上音質に聞き惚れること間違いなし!
Live at the Forum, Inglewood, CA. USA 4th September 1970
Disc 1 (71:11)
1. Introduction 2. Immigrant Song 3. Heartbreaker 4. Dazed and Confused 5. Bring It On Home 6. That's The Way 7. Bron-Yr-Aur 8. Since I've Been Loving You 9. Organ Solo 10. Thank You
Disc 2 (60:30)
1. What Is and What Should Never Be 2. Moby Dick 3. Whole Lotta Love 4. Communication Breakdown 5. Out On The Tiles 6. Blueberry Hill