神の初降臨となった伝説の初来日。あの伝説のジャパンツアーから秘宝のライヴアルバムが登場です。コージー・パウエルも帯同したことで初来日にして人気の頂点を極めた1981年。オフィシャルでも伝統盤『ONE NIGHT AT BUDOKAN』の他、大阪フェスティバルホール2公演も『WALK THE STAGE』になっておりますが、本作はそれらとは別。「1981年8月14日:名古屋市公会堂」公演の極上オーディエンス・アルバムです。当店では数々の名盤で初来日をアーカイヴしてきましたので、それらも交えて日程で確認してみましょう。
・8月12日:日本武道館 『DEFINITIVE BUDOKAN 1981』・8月14日:名古屋市公会堂 【本作】・8月17日:福岡サンパレス 『INTO THE PALACE』・8月19日:大阪フェスティバルホール(夕)・8月19日:大阪フェスティバルホール(夜)『TALES OF 1981』・8月20日:京都会館第一ホール※注:各公演とも代表作のみ。
以上、全6公演。本作の名古屋公演は日本武道館に続く2公演でした。そんな本作最大のポイントは、素晴らしいサウンド。とにかく圧倒的に骨太で真っ直ぐ届くダイレクト感が凄い。手拍子も生々しいオーディエンス録音ではあるものの、そのクリアさ、細やかさは下手なライン録音にも匹敵する鮮やかさ。何より驚きなのは、距離感のなさ。実のところ、名古屋市公会堂は極上オーディエンス録音の名産地でして、小さめの劇場は反響が少なく、まるでサウンドボードかクラブギグのようなド直球サウンドの名録音が数多く残されている。本作は、その見本とも言うべき銘品サウンドなのです。そんな間近サウンドで浴びる全盛期のフライングVの素晴らしさ……。ピッキング1つひとつのニュアンスどころか、ベントネックで軋む掠れまで超ハッキリ。会場音響に頼らずとも艶やかで甘いトーンもトロけるようですし、強引なチョーキングもヴィブラートも波形が目に浮かぶよう。さらに鮮やかなのがコージー! 「ドラム缶をひっ叩くような」と言われた堅いサウンドの鋭さが全開。1打1打が曇りも濁りもなく目の前に迫る……。さらにはクリス・グレンのベースはゴリゴリ・ブリブリ感まで綺麗に聴き取れ、ポールのシンセも混じり合うことなく降り注ぐ。まったくオーディエンス録音であること忘れる見事な録音です。そんな録音自体も素晴らしいのですが、さらに凄いのが鮮度。実は、録音家本人から直接譲り受けたマスター・カセットからダイレクトにCD化したもの。これがもう凄まじくリアル。極々わずかなヒスにアナログ感が漂うものの、ダビング痕や経年劣化もない。それこそ昨日録音されたデジタル録音かのように瑞々しいサウンドがスピーカーから吹き出してくるのです。そのサウンドで描かれるショウが絶品。この初来日は伝説ではあっても、良い伝説ばかりではありません。修正まみれの『ONE NIGHT AT BUDOKAN』に証明されるように、一番有名な日本武道館はボロボロ。そのために悪評も残っているツアーです。しかし、本作はその日本武道館の次。2日前の絶不調を巻き返し、仕切り直しとばかりの熱演が繰り広げられるのです。正直なところ、本作でも未発表だった『神話』のレパートリーには堅さも見えますが、それでも日本武道館とは雲泥の違い。むしろ、その堅さが丁寧さに繋がり、MSG特有の構築感にも一役買っているほど。さらに、その丁寧さが良い方向に転がっているのがゲイリー・バーデン。もちろん、一夜にしてスーパー・ヴォーカリストに変身しているわけではありませんが、しっかりと歌い込む姿は危なげなく、独特な擦れ声の旨みがしっかりと味わえる。その後「来日を重ねる度に巧くなる」と言われるバーデンですが、初来日からこんなに良い日もあったのか……思わず、36年間の不明を詫びたくなる歌声なのです。日本武道館のリベンジを期すような名古屋の熱演、日本初の名演とも言えるショウ。それを録音家本人が秘蔵していたマスター・サウンドで描きだした大傑作です。「On And On」中盤にテープチェンジのカットがありまいとにかくマイケル・シェンカー初来日でも屈指の銘品。ここに堂々の登場です。
Live at Nagoyashi-Kokaido, Nagoya, Japan 14th August 1981 TRULY AMAZING SOUND(from Original Masters)
Disc 1(54:14)
1. The Ride Of The Valkyries 2. Armed And Ready 3. Cry For The Nations 4. Attack Of The Mad Axeman 5. But I Want More 6. Victim Of Illusion 7. Member Introduction 8. Into The Arena 9. On And On 10. Never Trust A Stranger 11. Let Sleeping Dogs Lie
Disc 2 (42:04)
1. Tales Of Mystery 2. Drum Solo incl. 633 Squadron & 1812 Overture 3. Courvoisier Concerto 4. Lost Horizons 5. Doctor Doctor 6. Are You Ready To Rock
Michael Schenker - Guitar Gary Barden - Vocal Chris Glen - Bass Cozy Powell - Drums Paul Raymond – Keyboards