
大好評となっているイギリス初回プレスLPの復刻シリーズ。遂に大本命の代表作『PARANOID』の登場です。これまでデビュー作『BLACK SABBATH』をはじめ、『MASTER OF REALITY』『SABBATH BLOODY SABBATH』とご紹介してきましたが、このアルバムは特別中の特別。象徴曲「Paranoid」を筆頭に、代表曲ビッグ3とも言える「War Pigs」「Iron Man」を収録した奇跡の名盤。原点の重みでは1stアルバムが勝り、完成度では3rdが上回りながらも、堂々たる代表作の座を譲らぬ歴史的な超名盤です。本作は、そんな決定的なアルバムの原書たる1枚。本国イギリスVertigoレーベルが1970年にリリースした初回プレスLP「6360 011」を海外のオーディオ・マニアが精緻にデジタル化したアルバムなのです。これまでのシリーズに触れられた方ならすでに心を決めていらっしゃるとは思いますが、念のために繰り返させていただきますと、このシリーズはただのアナログ起こしとは次元が違う。何種もの未開封ミント・クオリティ盤を厳選し、最上のものを「アナログのデジタル化」に特化したハイエスト環境で注意深く再生した音。針パチ1つないどころか、盤の歪みも回転ムラさえも感じさせないクオリティで、ただ1回だけの“初回再生の音”をデジタル化しています。そのクオリティは、まさにオリジナル・マスターそのもの。録音から40年以上が経過し、すでに経年劣化しているであろうマスター・テープ現物よりも“本物の音”が流れ出す。デジタル化した後に一切の修正・補正をしていないにも関わらず、微かなノイズも存在しない奇跡のサウンドなのです。こうした工程はシリーズを通して一貫しておりますが、本作のサウンドは、さらに特別。『PARANOID』は大代表作だけあって再発が多い。他のアルバムでも本国系SANCTUARY盤、アメリカ系RHINO盤の2系統がありますが、『PARANOID』にはさらにRHINO制作の別リマスターSUPER DELUXE盤まで存在する。簡単にそのサウンドをご紹介しますと、一番ド派手でデジタルっぽいのはRHINO盤。再発の名作『BLACK BOX』のバージョンです。それに対し、英国SANCTUARY盤は自然でナチュラルな仕上がりがマニア受けしました。そして、2016年にリリースされたSUPER DELUXE盤は、両者の中間。RHINO制作でありながら『BLACK BOX』が派手すぎた事への反省からか、SANCTUARY盤に近い端正サウンドでまとめられていました。では、イギリス初回LPを正確に復刻した本作のサウンドはどうか。これを一言で言うなら「スーパー・ナチュラルSANCTUARY盤」。デジタル後に一切の加工を施していないだけあって各種現行CDよりも音圧は低いのですが、そこに秘められたサウンドは端正を究めている。例えば、ギター・サウンドなら高音部。各種現行リマスターは「サバス=メタルの元祖」のイメージからか、高音のエッジを強調。非常にキンキン・ギラギラしたサウンドに仕上げています。それに対し、本作はシンプルに「ロック・サウンド」。無理矢理ギターを金属的にするような作為がなく、本来の鳴りをそのまま残しているのです。さらにポイントとなるのがバスドラ。実のところ、『PARANOID』録音はバスドラの録音が安っぽく、今ひとつ輪郭がハッキリしない。現行リマスターCDはそれを強引にハッキリさせようと打音のピークを強引に引き上げているようなサウンド。比較的ナチュラルなSANCTUARY盤でさえ、バスドラだけはパンパンしたリミッター直前の迫力押しになっています。それに対して本作は徹頭徹尾、ナチュラル。大元の録音通りの打音が綺麗な山を描き、1打1打の隅々までムリが感じられず、ベースやギターと見事に調和している。1つひとつの要素を素因数分解すると現行リマスターの方が鮮やかに感じられるかも知れませんが、トータルの”バンド・サウンド”では本作こそが圧倒的に自然なのです。これこそ、初回LPの醍醐味。いかにデジタル・リマスター技術が進化しようとも、そこには作業する人間の「サバス観」が紛れてしまう。「SABBATHならこういう音のハズ」「ヘヴィメタルの元祖なんだから……」の意識が働き、“作って”しまう。ところが、本作にはそんな後追いの作為が紛れる余地は1ミクロンもない。単に超極上の未使用LPを、単に初回再生しただけの“本物の音”。オリジナルSABBATHと、当時のVertigoレーベルが世界に送り出したサウンド“だけ”がそっくりそのまま味わえるのです。遂に復刻されたBLACK SABBATHの代名詞『PARANOID』。本物サウンドの『PARANOID』……もう、これだけで十二分の1枚です。しかし、コアなSABBATHマニアの方々に、もうひとつだけ付け加えておきたい。それは、本作をもって初期3部作にの“本物”が出揃ったということ。アイオミ、オジー、ギーザーの3人は「5thこそが頂点」と語りますが、実はビル・ワードだけは「最初の3枚」にこだわっていた。各種楽器を導入して実験を始めた『VOL.4』以降には作り込んだ当人たちの満足感や作品感がありますが、最初の3枚は4人が「せーの」で描いたバンド感が宿っている。これこそビルが愛したフィーリング。その原音が3枚全部揃ったのです。ロンドンの“アイランド・スタジオ”にだけ存在した交感、呼吸感をリアルに残してくれた英国初回プレスLP。その史上最高峰クオリティ盤。
Taken from the original UK LP(Vertigo 6360 011) (42:08)
1. War Pigs 2. Paranoid 3. Planet Caravan 4. Iron Man 5. Electric Funeral 6. Hand Of Doom 7. Rat Salad 8. Fairies Wear Boots